【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『みどりの王国』

人は庭になにを求めるのだろう。本書は写真家の戎康友と編集者で文筆家の鈴木るみこがイギリスの庭を訪ねた記録だ。イギリスで最も美しい個人庭園といわれるヴォラートン・オールドホール・ガーデンをはじめとする名だたる名園のほか、ヴァージニア・ウルフが自ら命を絶つまで暮らしいまもそこで眠る庭や、デレク・ジャーマンが原発のそばで最後の作品としてつくりあげた庭も登場する。単なる庭園ガイドではない。神から授けられた“みどりの指”をもつ庭師たちが奏でる命の詩、その奥深い魅力へと誘ってくれる。
※この記事はPen 2023年11月号より再編集した記事です。