こんな黒フーディを着たかった!ヘビロテ決定のトウナイ最新作

  • 写真・文:一史

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ブラックフーディ、スタンダードのその先に

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トウナイの新作コレクションのプルオーバー型フーディ。

この佇まい、ヤバくないですか!?
闇に消えていきそうな静寂にキラリと輝く星のようなメタルパーツ。
色気を漂わせつつとても上品。
声高でないアピールがニッポン的なセンス。
上等なウールのスラックスを組ませ、気取って着たいスウエットフーディです。

初見したのは約半年前のTOHNAI(トウナイ)の2023-24年秋冬展示会。
「ありそうでない傑作」と心が動いたものの、仕事で行く展示会ではリサーチモードに突入する性質です。
個人オーダーがチラリと頭に浮かびつつも、理性的にその考えを消し去り会場をあとにしました。
しかし時が過ぎても「あれほしかったなー」との想いは消えず。
「良いものだからメディア掲載しよう。撮影用にサンプル借りに行くか」
そう考えていた秋のある日に、突然トウナイのデザイナー藤内さんから荷物が届きました。
封を開けるとそこにはあの黒フーディが!!
わたしの眼差しを覚えていてギフトしてくださったんです!

自分の名を冠したブランドを22-23年秋冬シーズンに立ち上げ、わずかな型数を丁寧に仕立てる道に歩みを進めたベテランの藤内さん。
気持ちを込めてつくった服を、身近な人に着てもらいたい、という考えからのようで。
そんなお人柄です。

ここに撮影した服は私物。
ええ、もうわたしのモノですから。
借りに行く手間が省けましたよ w
撮影後はヘビロテでガンガン着倒すつもりです。

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ファスナーのタブは上質なレザー。5つ並んだメタルドットの下2つはスナップ留めパーツで、上3つは飾り。この飾りはなんとスターリングシルバー!純銀に近い銀で、コーティング加工なしで黒っぽく変色します。首周りにシルバーアクセサリーをつけたムードで着られるデザイン。

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穏やかなブランドタグが藤内さん流の温もり表現。京都で入手した品に文字プリントしたそう。縫い目の補強(バインダー処理)も美しく、一般のフーディとは一線を画す工夫に満ちた服。

実はここ2年ほど、若い頃のように再び黒フーディを着たくなってました。
ファッションのジェンダーレス化に対抗する「男っぽさ」へ新鮮味を感じるようになってから。
男性が女性のセンスに倣いクリーンに服を着るジェンダーレスには大賛成です。
わたし自身が基本的にそちら派なのですが、でも化粧した男性タレントの爽やか笑顔はちょっと苦手。
発想を逆にして「女性が化粧しなくていい社会のほうがストレスフリーでよくない?」というのがわたしの考え。
ダボパン+スニーカー+フーディといった、メンズ系のラフな服装の女性が大好きです。
(昔からずっと)
ピタピタ or フリフリワンピでフルメークの巻き髪さんより、色気が自然に出ていて好印象。
古着屋の店員さんとか「めちゃ可愛い!」とドキドキしちゃうんですよね。

黒フーディーはクラシックなメンズアイテムであると同時に、90年代音楽カルチャーともリンクする服。
「昔はよかった」とは絶対に口にしたくない台詞ながら、デザインやビジュアルの感性の基盤になった90年代に気持ちがなびく昨今です。

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トウナイ展示会にて試着

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襟を立たせるとモードなムードに。防寒性も高まります。剣先を尖らせたレザータブもネックレスのように効果的な飾り。

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片側にだけシルバーの飾りパーツをつけた、アシンメトリーな動きのあるバランス。フーディ ¥39,600(税込)/TOHNAI

自身のしょーもない試着姿をお見せしてすみません、ホントに……。
皆さんが着るご参考にしていただけたら。
藤内さん自身も小柄なほうだからでしょうか、高身長でイケメンじゃなくても洒落見えするのがトウナイのよさのひとつ。
ファッションモデル映えを意識したモード系デザインではないのでしょう。
ファッションメディアはもっと、「一般人にとって最良の服」を探求すべきと常日頃感じてます。
頭脳明晰で美的センスを持ち何でも買える裕福な人でも、ルックスまでいいとは限りませんから。
ルッキズムの着眼点が、太った、痩せた、人種が、以外に広がるといいですね。

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「黒フーディ=ファッション」のルーツ、ヒップホップ

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「Enter the Wu-Tang (36 Chambers)」(日本語タイトル:燃えよウータン)。93年リリースアルバム。

  

Wu-Tang Clan - Da Mystery Of Chessboxin' (Official Video)

70〜80年代にパンクとニューウェーブが誕生し、音楽とファッションの新しいジャンルを築きました。
同じ意味で80〜90年代に革新的だったのがアメリカのヒップホップ。
ダボダボのワークウエアやスポーツウエアこそがカッコいいと示して、ストリートスタイルの新たな流れを世界中に広げた存在です。
ニューヨーク系(東海岸系)を代表するグループ「ウータンクラン」に限らず、フーディはヒップホップスタイルの代表的アイテム。
縮れ毛で短髪の人が寒さを防ぐのに役立つこと、購入しやすい価格なこと、スポーツしやすいこと、顔を隠せる(意味深)なことなどが理由でしょう。
ウータンクランはNYスタテン島の「プロジェクト」と呼ばれる集合住宅出身。
彼らのように富を持たない者にとって憧れの成功者の代表がスポーツ選手。
スポーツ愛は単なる趣味でなく社会構造と深く関わるようです。

いまの時代、そんな彼らと重ね合わせて黒フーディを着ると「文化の盗用」とも言われ兼ねませんが、一般アイテムですからどんなカルチャーをイメージするかはその人しだい。
近ごろ週に何度か、仕事の行き帰りに耳につけたイヤホンでウータンクランを流してます。
いちばん多く聴くのが上に載せたYouTubeの曲。
当時衝撃だったサウンドワークをいまもカッコよく感じるのは、昔を懐かしむノスタルジーでしょうか?

Still life photos&text©KAZUSHI

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www.pen-online.jp/columnist/kazushi-takahashi/

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【画像】こんな黒フーディを着たかった!ヘビロテ決定のトウナイ最新作

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トウナイの新作コレクションのプルオーバー型フーディ。

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ファスナーのタブは上質なレザー。5つ並んだメタルドットの下2つはスナップ留めパーツで、上3つは飾り。この飾りはなんとスターリングシルバー!純銀に近い銀でコーティング加工をしていないので黒っぽく変色します。首周りにアクセサリーをつけたムードで着られるデザイン。

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ブランドタグの優しさが藤内さん流の温もり表現。京都で入手した品に文字プリントしたそう。縫い目の補強(バインダー処理)も美しく、一般のフーディとは一線を画す工夫に満ちた服。

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襟を立たせるとモードなムードに。防寒性も高まります。剣先を尖らせたレザータブもネックレスのように効果的な飾り。

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片側にだけシルバーの飾りパーツをつけた、アシンメトリーな動きのあるバランス。¥39,600(税込)/TOHNAI

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「Enter the Wu-Tang (36 Chambers)」(日本語タイトル:燃えよウータン)。93年リリースアルバム。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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