ファッションを再定義する、未来のスタンダードとは? 新進気鋭のブランドから最新技術&アイデアを紹介

  • 写真:三部正博
  • スタイリング:小林 新(UM)
  • スタイリング(プロップ):今吉高志
  • 編集&文:飴李花
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パンデミックを乗り越え、インクルーシブな世界へと向かう我々は、ファッションに求める意味や楽しみ方まで見直そうとしている。未来の“基準”となりえる、最重要ブランドの技術・アイデアを紹介。Pen最新号、2023年秋冬ファッション特集『時代を超える服』より抜粋して掲載する。

Pen最新号は、2023年秋冬ファッション特集『時代を超える服』。新作でありながら、時代を超えた魅力を放ち、心をくすぐる服に注目し、さらに最新トレンドのクワイエット・ラグジュアリー、一歩先のジェンダーレススタイルまでを紹介。過去と現在、未来を行き来しながら、気になるファッションの“いま”を解き明かす。

2023年秋冬ファッション特集『時代を超える服』
Pen 2023年11月号 ¥990(税込)
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ANREALAGE

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テックのインパクトを最大化する、伝統的職人技

紫外線によって変色する「フォトクロミック」素材のセットアップに象徴されるように、テクノロジーとファッションを融合したコレクションで時代をリードするアンリアレイジ。しかし、迷彩柄風のフライトジャケットを形づくっているのは、泥臭くも精緻な手仕事によるパッチワークだ。テックとクラフツマンシップという両輪によって、彼らはファッションの過去と未来をつないでいく。ベスト¥85,800、ブルゾン¥495,000、ニット¥41,800、パンツ¥63,800、シューズ¥138,600、コサージュ¥9,900/すべてアンリアレイジTEL:03-6416-0096

 

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BETA POST & GOLDWIN|SPIBER

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社会問題とリンクした、思考を促すプロジェクト

右:ファッションアイテムとしてだけでなく、見る人に問題提起をする媒介としてのプロダクトを生み出すという、既成概念にとらわれないクリエイションを続けるベータポスト。今季も路上生活者の思考を意識した「段ボールレザー」や、ビニールに模した「ダイニーマ」、 エアパッキンを思わせる透明ファブリックなどを駆使しながら、唯一無二の“洒落た”世界観を表現する。ベスト¥53,900、ブルゾン¥49,500、パンツ¥57,200、グローブ¥29,700、ウエストポーチ¥35,200、ハンドバッグ¥37,400/すべてベータ ポスト(ベータ https://betapost.jp)

環境配慮型の新素材により、革新された象徴たち

左:ゴールドウイン社とスパイバー社との共同研究開発により誕生した、新素材「ブリュード・プロテイン」。今季はザ・ノース・フェイスをはじめとする4ブランドのアイコニックなモデルにこのリジェネラティブな素材が採用され、アウトドアウエアの新たな価値を示している。無染色のジャケットやパンツ、そしてブーツの表地はすべて、糖を原料に微生物がつくり出す人工タンパク質素材だ。ジャケット¥110,000、ブーツ¥38,500/ともにザ・ノース・フェイス、パンツ¥99,000/ゴールドウイン(すべてゴールドウイン カスタマーサービスセンターTEL:0120-307-560)

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KEIMEN & DOUBLET

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農業をファッショナブルにする、越境系新世代ブランド

右:「カイメン」とは、ドイツ語で発芽の意味。シティ(都市)とカントリー(農村)を自由に往来し、土、水、光と出合い、一緒に遊び発芽する。そのような、より楽しく豊かになるためのアパレルやギアを提案している。農具の鍬をオリジナルで展開するファッションブランドなど、古今東西あっただろうか? 他にもファッションと農業の垣根を取り払う、機能的かつスタイリッシュなアイテムが勢揃いしている。ジャンプスーツ¥54,450、ベルト¥9,790、帽子¥22,000、鍬¥14,850/すべてカイメン (カイメン eメール:keimenproducts@gmail.com)

独創的なアイデアで、ベーシックに遊び心と驚きを

左:ベーシック&スタンダードに唐突なアイデアを混ぜ込んだ、「違和感のある日常着」をコンセプトとするダブレット。今季は「モンスター」をテーマに、互いに“異形”に見えても中身はなんら変わらないという本質を、ユーモアたっぷりに表現している。「風船のジャケット」「狼になれるフーディー」「着ぐるみの頭バッグ」など、どれもがインパクト絶大だが、ちゃんとウエアラブルなアイテムであることも見逃せない。ブルゾン¥94,600、パーカ¥74,800、手に持ったシャツ¥52,800、バッグ¥74,800/すべてダブレット(エンケルTEL:03-6812-9897)

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LASTFRAME & HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE

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日本の伝統技術を世界へ届け、未来に継承していくものづくり

右:日本が世界に誇る伝統的職人技術を、未来へと受け継ぐものづくりを行うラストフレーム。2020年春夏に登場したニットバッグには、国内に数台しか現存しない特殊な編み機を使用。精緻な柄表現と上質な素材感に加え、縦方向には伸びにくく横方向の伸縮性は十分。そのためコンパクトかつ軽やかで、豊富な収納力がある。上から、ノットバッグ(H39×W19×D10㎝)¥24,200、マーケットバッグ(H37×W19×D10㎝・レザーストラップ付き)¥27,500、フラップバッグ(H17×W24×D10㎝)¥26,400/すべてラストフレーム(TAKA TEL:03-6670-8089)

幾何学的構造から見出した、新たなものづくりの可能性

左:イッセイ ミヤケの代表的技法である「製品プリーツ」を背景に、着る人の多様性に寄り添う、普遍的で新しい日常着を提案するオムプリッセ イッセイ ミヤケ。今季はバックミンスター・フラーが提唱した構造体をヒントに、シンプルな図形の組み合わせで衣服としての複合的なフォルムを構築。三角形が連なるトラス構造でつくられたコートは、継ぎ目にひもを通すことで輪郭を強調し、その調節によってシルエットが可変する。コート¥93,500、中に着たブルゾン¥99,000/ともにオム プリッセ イッセイミヤケ(イッセイ ミヤケTEL:03-5454-1705)

   

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