ファッションブランドが一斉にシーズンの顔となる新作を発表する一大イベント「ファッションウィーク」。一度の舞台のために、デザイナーたちは数ヶ月も前からコレクションや、キャスティング、演出までをタイトなスケジュールで製作している。この業界にいる誰もがストレスを抱えて過ごしていることだろう。そんな中、あるイタリア発のファッションブランドが「ミラノ・ファッションウィーク」にて、なんとも“準備不足”のような衝撃のコレクションを発表した。
服を着ながら登場!?“未完成”のコレクション
前代未聞のコレクションを発表したのは、イタリアのサステナブルブランド「AVAVAV」。同ブランドのクリエイティブ・ディレクターであるビート・カールソンさんは、昨シーズンにもモデルが全員転倒するランウェイを披露するなど、観客の目を引くランウェイで注目されている。
「今年は何をするのか?」。イベント参加者たちの期待は大きなものだったが、彼女は裏切らなかった。ショーはまず、バックステージのスタッフが「AVAVAV」と書かれた黄色の付箋を壁に貼り付けるこころから始まった。最初のモデルは、黒いジャケットにオーバーサイズのブーツを履き、ランウェイを全力ダッシュで駆け抜けた。
次に "ADD BACK?!"と書かれたグラフィックTシャツを着用した男性モデルが登場。彼が背中を向けると、服の後ろが未完成のまま。彼の後には、慌てて服を着ながら登場するモデルや、マスカラたっぷりの涙を流しながら歩くモデル、バックステージのスタッフに突き飛ばされて登場するモデルなどが並んだ。なんとも慌ただしく、観客までもがプレッシャーを感じるようなランウェイである。しかし、この“未完成”のようなコレクションには、ある意味が込められていた。
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「デザインする時間も、説明する時間もない」コレクションの背景
今シーズンのコンセプトは「デザインする時間も、説明する時間もない(no time to design, no time to explain)」。この背景には、ファッション業界ならではの膨大な締め切りに追われる“プレッシャー”と“ストレス”があるという。ファッショントレンドの動きが日増しに早まったことで、ファッション業界では”ストレス”がつきもの。カールソンさんは、そんな業界の様々な苦悩と向き合いながら、シーズンカレンダーに従って新しいコレクションを創作しなければならないという、自身の経験をファッションに反映したと語っている。
このファッションウィークの多忙さを皮肉るようなショーに対して、ネットユーザーの反応は賛否両論。「面白い!」「業界の問題提起をファッションで表す...かっこいい」「これはもうアート。素敵すぎる」という絶賛の声や「コンセプトはいいけれど、本当に手抜きに見える」「ミラノ・ファッションウィークにこれはどうだろう...」という意見が集まった。AVAVAVの型にはまらない斬新なランウェイはとても印象的であった。次回のコレクションにも注目したい。
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