住民から苦情続出‥米のエイズ記念碑、デザイン変更を余儀なくされる

  • 文:山川真智子
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アーティストが提示していたデザインの模型。fabhaus-Instagram

米カリフォルニア州パームスプリングスでは、エイズやHIVによって亡くなった人々に敬意を表す目的で、記念碑となる彫刻の製作が決まっていた。ところが、そのデザインが人体のある部分を彷彿とさせると地元住民から苦情が続出。担当している芸術家が、デザインの修正に乗り出す事態となった。

資金面でも準備万端 永遠のランドマークになるはずだった 

地元紙のデザート・サンによれば、記念碑となる彫刻をデザインしたのは、パームスプリングスのアーティスト、フィリップ・K・スミス氏。オリジナルのデザインは大きな石灰岩を使用し、前面を円形に形作り、中央の穴を囲むように同心円状の溝がいくつも刻まれているというものだった。

この彫刻製作の支援を行うタスクフォースによれば、溝は闘争と悲しみを経験してできた団結を示し、彫刻全体は地面の上に浮かんでいる時を超えた永遠のランドマークを表現しているという。記念碑として、コミュニティと個人の苦闘にとっての試金石となる可能性があると説明されていた。

彫刻には、既に設置費用として6万5000ドル(約970万円)の予算が付き、50万ドル(約7500万円)とされた製作費も、タスクフォースを通じて民間で調達できていたという。出来上がった作品は、市のダウンタウン・パークにある巨大なマリリン・モンロー像、“フォーエバー・マリリン”の近くに設置される予定だった。

住民は赤面…裏側のデザインが恥ずかしすぎると大不評

ところが、問題視されたのはこの彫刻の裏側のデザインだった。まるで人間の“お尻の穴”のようだと眉をひそめる市民が続出。地元放送局KESQによれば、「生々しい」「ソーシャルメディアなどで嘲笑の的になりかねない」という懸念の声が出ていたという。

実際のところ、この彫刻の外観はソーシャルメディア上でネタとして取り上げられ、複数の動画が出回っている。また、オンラインニュースにも掲載され、製作の是非についての議論も起きた。デザート・サンによれば、多くの人々がこの像が市に恥をもたらす可能性があると苦言を呈したり、一体これがエイズやHIVと何の関係があるのかと疑問視したりしていたという。

デザイン変更やむなし…公共の場における芸術の課題が浮き彫りに

このような状況を受け、デザインしたスミス氏は、パームスプリングス公共芸術委員会の会合で修正に取り組むと発言した。デザインの変更は数か月前から行われており、当初の意図を尊重しつつ、人々が最も懸念していることに直接対応する形で変更する予定だという。

誰かを不快にさせるつもりはなかったと言うスミス氏だが、100%コミュニティを満足させる像をつくるのは不可能で、それが公共の場における芸術の現実だとも語っていた。

芸術委員会の委員長は、この彫刻の議論においては賛否両論を尊重すると発言。市費を投入する芸術作品の選択における難しさを象徴する論争だと述べた。

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 問題のデザイン。

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ご近所さんになる予定の巨大マリリン・モンロー像。

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