史上初…バッキンガム宮殿内で君主制廃止デモが勃発「Not My King(私の王ではない)」とTシャツでメッセージ

  • 文:宮田華子
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@RepublicStaff - Xのキャプチャ画像

9月23日の正午前後、「史上初」となるある抗議デモが行われた。

場所は何とバッキンガム宮殿。アルファベッド1文字が掛かれたTシャツを着た9人が広間のような部屋に一列にならんだ。Tシャツの文字をつなげて読むと「Not My King(私の王ではない)」と読める。

 彼らは君主制(王室)を廃止し、選挙によって選ばれた人物を国家元首にすることを訴えている団体「リパブリック(共和国・共和政)」のアクティビストだ。イギリス王室の「本拠地」とも言うべきバッキンガム宮殿内で抗議活動が行われたのは、史上初のことである。といっても、アクティビストたちが無理やり宮殿内に押し入って抗議デモを行ったのではない。

バッキンガム宮殿は毎年夏季に内部(一部)を一般公開する。アクティビストは他のビジター同様チケットを購入して入場し、中でTシャツの文字を見せてデモ活動を行った。

 


毎年行われている「バッキンガム宮殿 サマー・オープニング(夏季公開)」。

デモは係員によってすぐに止められた。アクティビストの内6人は警備員によってごく短時間拘束された後、宮殿外に連れ出されたという。そして同日に「リパブリック」側は声明を発表。「今回の抗議活動は、君主制の将来に関する議論を進めることを目的とした一連の行動の最新のものである」と述べ、「リパブリック」のCEO、グレアム・スミス氏のコメントも発表した。

 


「リパブリック」のCEO、グレアム・スミス氏。

「バッキンガム宮殿内での反君主制デモは初めてのことです。世襲権力に反対することを宣言するために、市民が君主制の本拠地で立ち上がる、という素晴らしい意思表示でした」

チャールズ国王については、踏み込んだ発言もしている。

「チャールズ国王はアンタッチャブルな君主ではありません。批判を免れないわけではなく、母親が王位にあった間、君主制を守ってきたことに対する敬意を享受していません」

「チャールズ国王は一貫性のある人物ではなく、環境問題に関しては偽善者であり、賞金やカタールからの危険な寄付についての疑惑があり、生活費の危機に苦しむ一般人の懸念を無視しています」

ベルサイユ宮殿での超豪華晩餐会は「誰のため?」

実はこの抗議デモが行われる前日までの3日間、チャールズ国王夫妻はフランスに公式訪問していた。初日である9月20日には豪華な晩餐会がベルサイユ宮殿で催された。

多くのセレブが出席したこの晩餐会は大変きらびやかなものだった。そもそもチャールズ国王夫妻のフランス訪問は今年3月の予定だったが、フランスで年金支給年齢の引き上げへの抗議デモが多発していたため、延期となったという経緯がある。加えフランスでもイギリスでも、現在市民はインフレに直面している。生活苦にあえいでいる人が多い中、浮世離れした「大晩餐会」の開催に嫌悪感を持った人は多かった。晩餐会の主催はフランスであったが、この訪問にプライベートジェットで向かう等、国王夫妻の行動も批判されたばかりだった。

 


「環境活動家」として名を売っていたはずなのに…のチャールズ国王夫妻。

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英仏両国の空軍機による儀礼飛行まで行われた。マクロン大統領自らツイート。

そんな中で起った宮殿内での抗議デモだけに、普段王室や君主制に対してあまり意を唱えていない人たちからも注目された。

戴冠式当日の「平和的抗議活動」で逮捕者多数

また今回の抗議デモは、今年5月、チャールズ国王の戴冠式の日に行われた抗議デモにまつわる一件について、人々が再度思い出す結果となった。

 

戴冠式の日に君主制廃止を訴える抗議デモが行われることは想定内だったが、この日デモ参加者50人以上が警察に逮捕された。これにより「平和的に抗議を行う自由と権利」を巡り大きな論争を巻き起こした。

こうした状況を含め、市民感情的には現在、何となく王室側に分が悪い状況になっているが、次の君主制廃止を求める抗議デモは、チャールズ国王が国会の開会式に出席する11月7日に行われる模様だ。


今後民意の風向きがどうなるのか注目したい。

【次ページ:動画アリ】宮殿内でのデモと、超豪華晩餐会の模様

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@itvnews Anti-monarchy campaigners protest inside Buckingham Palace. #itvnews #news #royals #kingcharles #buckinghampalace ♬ original sound - itvnews

 

 

係員によって抗議デモを制止されるアクティビストたち。

 

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各界セレブを多数招いての超豪華晩餐会(9月20日、ベルサイユ宮殿)。一体いくらかかったのだろう…。