9月23日の正午前後、「史上初」となるある抗議デモが行われた。
場所は何とバッキンガム宮殿。アルファベッド1文字が掛かれたTシャツを着た9人が広間のような部屋に一列にならんだ。Tシャツの文字をつなげて読むと「Not My King(私の王ではない)」と読める。
🚨🚨BREAKING NEWS: Republic activists have staged the first-ever protest INSIDE Buckingham Palace! #NotMyKing #AbolishTheMonarchy pic.twitter.com/Vey1MQbkw4
— Republic (@RepublicStaff) September 23, 2023
彼らは君主制(王室)を廃止し、選挙によって選ばれた人物を国家元首にすることを訴えている団体「リパブリック(共和国・共和政)」のアクティビストだ。イギリス王室の「本拠地」とも言うべきバッキンガム宮殿内で抗議活動が行われたのは、史上初のことである。といっても、アクティビストたちが無理やり宮殿内に押し入って抗議デモを行ったのではない。
バッキンガム宮殿は毎年夏季に内部(一部)を一般公開する。アクティビストは他のビジター同様チケットを購入して入場し、中でTシャツの文字を見せてデモ活動を行った。
Join us today on Instagram from 14:00 BST for a special visit to the State Rooms at #BuckinghamPalace. Our curator Sally will be with us to answer your questions about the rooms and the Coronation display, which is part of a visit this year. pic.twitter.com/zX6zDQ9LSO
— Royal Collection Trust (@RCT) August 16, 2023
デモは係員によってすぐに止められた。アクティビストの内6人は警備員によってごく短時間拘束された後、宮殿外に連れ出されたという。そして同日に「リパブリック」側は声明を発表。「今回の抗議活動は、君主制の将来に関する議論を進めることを目的とした一連の行動の最新のものである」と述べ、「リパブリック」のCEO、グレアム・スミス氏のコメントも発表した。
Anti-monarchy protester suing Met chief over coronation day arrest https://t.co/M8PRtEc1Xx
— Republic (@RepublicStaff) September 12, 2023
「バッキンガム宮殿内での反君主制デモは初めてのことです。世襲権力に反対することを宣言するために、市民が君主制の本拠地で立ち上がる、という素晴らしい意思表示でした」
チャールズ国王については、踏み込んだ発言もしている。
「チャールズ国王はアンタッチャブルな君主ではありません。批判を免れないわけではなく、母親が王位にあった間、君主制を守ってきたことに対する敬意を享受していません」
「チャールズ国王は一貫性のある人物ではなく、環境問題に関しては偽善者であり、賞金やカタールからの危険な寄付についての疑惑があり、生活費の危機に苦しむ一般人の懸念を無視しています」
ベルサイユ宮殿での超豪華晩餐会は「誰のため?」
実はこの抗議デモが行われる前日までの3日間、チャールズ国王夫妻はフランスに公式訪問していた。初日である9月20日には豪華な晩餐会がベルサイユ宮殿で催された。
📍 Château de Versailles
— The Royal Family (@RoyalFamily) September 20, 2023
An honour to be hosted by President @EmmanuelMacron and Madame Macron for a State Banquet at the historic Palace of Versailles. #RoyalVisitFrance pic.twitter.com/1wEfHVq0Ai
多くのセレブが出席したこの晩餐会は大変きらびやかなものだった。そもそもチャールズ国王夫妻のフランス訪問は今年3月の予定だったが、フランスで年金支給年齢の引き上げへの抗議デモが多発していたため、延期となったという経緯がある。加えフランスでもイギリスでも、現在市民はインフレに直面している。生活苦にあえいでいる人が多い中、浮世離れした「大晩餐会」の開催に嫌悪感を持った人は多かった。晩餐会の主催はフランスであったが、この訪問にプライベートジェットで向かう等、国王夫妻の行動も批判されたばかりだった。
We are so looking forward to joining you in Paris and Bordeaux, as we embark on our first State Visit as King and Queen to France, a country for which we both have the greatest love and admiration.
— The Royal Family (@RoyalFamily) September 20, 2023
We will celebrate the special bond between our two countries and all that your… pic.twitter.com/oEsUDIw0gh
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Patrouille de France x Red Arrows. pic.twitter.com/kgjN9numDK
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) September 20, 2023
そんな中で起った宮殿内での抗議デモだけに、普段王室や君主制に対してあまり意を唱えていない人たちからも注目された。
戴冠式当日の「平和的抗議活動」で逮捕者多数
また今回の抗議デモは、今年5月、チャールズ国王の戴冠式の日に行われた抗議デモにまつわる一件について、人々が再度思い出す結果となった。
London police have apologized to six anti-monarchy protesters who were arrested on the coronation of King Charles III.
— Human Rights Watch (@hrw) May 9, 2023
Peaceful protest is a human right. #UnitedKingdom pic.twitter.com/gBARHrooQq
戴冠式の日に君主制廃止を訴える抗議デモが行われることは想定内だったが、この日デモ参加者50人以上が警察に逮捕された。これにより「平和的に抗議を行う自由と権利」を巡り大きな論争を巻き起こした。
こうした状況を含め、市民感情的には現在、何となく王室側に分が悪い状況になっているが、次の君主制廃止を求める抗議デモは、チャールズ国王が国会の開会式に出席する11月7日に行われる模様だ。
今後民意の風向きがどうなるのか注目したい。
【次ページ:動画アリ】宮殿内でのデモと、超豪華晩餐会の模様
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@itvnews Anti-monarchy campaigners protest inside Buckingham Palace. #itvnews #news #royals #kingcharles #buckinghampalace ♬ original sound - itvnews
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Last night's banquet for Charles and Macron at the Palace of Versailles
— tinkerbib (@tinkerbib1) September 23, 2023
These lot are pushing carbon-zero and “eat ze bugs” agenda for you, but not for them. pic.twitter.com/6XIfdxfrhh