屋外型国際写真祭『T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2023』が東東京エリアに繰り広げる、新たな写真表現

  • 文:中島良平
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エルザ&ジョアンナ『First floor』2018年 メインの企画展『態度が〈写真〉になるならば』に出展するエルザ・バラ&ジョアナ・ベナイヌは、フランス人アーティスト・デュオ。写真、パフォーマンス、映像が交錯し、自身を被写体に映画の物語のような演出された世界を創出する。

2017年の開始から5回目を迎える屋外型国際写真祭『T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2023』が、10月7日から29日までの23日間、東京駅東側エリアで開催される。東京スクエアガーデンや東京ミッドタウン八重洲、国立映画アーカイブなどを中心に、八重洲、日本橋、京橋界隈にプログラムが展開する。

本年度のテーマは「LINK UP!」。「古いものと新しいもの」や「リアルとオンライン」が混在し、つまりは「時間」と「距離」という座標軸において、そのグラデーションが最も豊かな現代。「LINK UP!」は、その座標軸のなかで、いままで想像もしなかった点と点を結ぶためのキーワードだ。エリア内の美術館をはじめとする文化施設、大型複合施設等とも連携し、国内外のアート作品を巡りながら時間と距離の新しい「つながり」を発見する、そんな楽しみを打ち出す写真祭だ。

 

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『T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2023』を主催するのは、一般社団法人TOKYO INSTITUTE of PHOTOGRAPHY。写真ギャラリーや撮影スタジオをもち、教育事業、アーティストインレジデンス(AIR)事業、地域文化事業を軸に運営する。

 

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参加作家のひとりは、『サハリン』で第47回木村伊兵衛写真賞を受賞した新田樹。『サハリン』に加え、その原点となったシリーズ『鏡』の新作も出展する。

メインの企画展タイトルは、『態度が〈写真〉になるならば』。参加作家は、エルザ&ジョアナ、システム オブ カルチャー、スキャン ザ ワールド、デヴィッド・ホーヴィッツ、寺田健人、西野壮平、新田樹、リリィ・ルーレイの8名(組)。家族や都市、歴史、ジェンダー、環境など、さまざまなものに目を向けるアーティストの視座を「態度」とするならば、それらが写真になるとき、そこには何が写されるのだろう。 

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デイヴィッド・ホーヴィッツ『Change the name of the days』 アメリカ出身のコンセプチュアル・アーティストは、写真やパフォーマンス、サウンドにはじまり、美食から自然環境まであらゆる形態の表現を行う。

 

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街を歩き回って写真を撮影し、その膨大な点数のイメージをコラージュすることで作品を手がける西野壮平は、エベレストに登り撮影して手がけた作品を出品する。

 

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アペルト 17 SCAN THE WORLD [NEW GAME] 2022 金沢21世紀美術館 by TAKAGI Yuu 石毛健太とBIENにより2018年に始動したSCAN THE WORLDは、ハンディスキャナで新しい遊びを考えるプロジェクトの総称。インタラクティブな参加型作品を発表する。

国立映画アーカイブのロビーでは、1982年に写真家で映像作家の山崎博が2日間都内10ヶ所で同時に長時間露光して制作し、当時の個展や『アサヒカメラ』誌上で発表した大作を展示。37年ぶりのお披露目となる幻の大作は、会期に先んじて10月3日より公開される。また、京橋に建設中の戸田建設本社TODA BUILDINGの仮囲いでは、写真家と書き手がペアを組み、京橋を舞台に「写真」と「言葉」で変わりゆく都市の姿を紡ぐ『Tokyo Dialogue 2023』を昨年に続き実施。写真の多様な表現が東東京エリアに展開し、会場を巡りながらその大きな可能性を感じられるはずだ。 

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山崎博『10 POINTS HELIOGRAPHY』(1983年)より

 

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『Tokyo Dialogue 2023』には、3組の写真家+作家が参加する。

『T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2023』

開催期間:2023年10月7日(土)~10月29日(日)
開催場所:東京駅東側エリア(八重洲・日本橋・京橋)
東京スクエアガーデン、東京ミッドタウン八重洲、 東京駅(八重洲中央口改札外 グランスタ八重洲)、国立映画アーカイブ、 工事仮囲、東京建物八重洲ビル、東京建物日本橋ビル、東京建物八重洲仲通りビル、大丸東京店、+2、art space kimura、ASK?、72 Galleryほか
入場無料
https://t3photo.tokyo