壮大なスケールと奥行きを生む、楽器表現を拡張した新解釈

  • 文:小室敬幸(音楽ライター)
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【Penが選んだ、今月の音楽】
『イザイ:6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27』

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ヒラリー・ハーン ユニバーサル クラシックス UCCG-45073  ¥3,080

ヒラリー・ハーンは王道の作品を正攻法で聴かせると同時に、新しい音楽の紹介にも力を注ぐバイオリニストだ。彼女にとって師の師(=大師匠)にあたる作曲家イザイの傑作についに挑んだ新譜は、期待値を軽々と超えてきた。これまで名技性を強調する演奏が多かったこの曲を、ハーンは楽器の表現を拡張した作品として捉え直すことで、1台のバイオリンから100名近い管弦楽のようなスケールと奥行きを生み出すのだ! 本作がJ.S.バッハの無伴奏作品と並び立つ傑作であることを納得させられる名演である。

※この記事はPen 2023年10月号より再編集した記事です。