長谷川ミラが考えた、多様性の時代にふさわしい“自分らしさ”を活かしたビジネスのカタチとは

  • 写真:溝口 拓
  • 文:久保寺 潤子

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アメリカン・エキスプレスがスモールビジネスを応援するイベントRISE with SHOP SMALL 2023でスペシャルサポーターを務める長谷川ミラ(写真左)と受賞者の林聖子さん(写真右)。

年齢や性別、国籍などさまざまな面での「自分らしさ」が受け入れられやすくなってきているいま、ビジネスにも多様性の概念が広がりつつある。
アメリカン・エキスプレス(以下アメックス)がスモールビジネスを応援するイベント RISE with SHOP SMALL 2023 でスペシャルサポーターを務める長谷川ミラが新しいビジネスのカタチを受賞者と語り合った。  

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100人がひとりずつアクションを起こせば、社会を変える大きな力になる

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2017年にオールジェンダーに向けたブランド「JAMESIE」(現Jam apparel)をローンチした長谷川ミラ。現在はモデル活動と並行してSDGsの情報発信を行う。

10代からモデル・俳優として活躍し、20歳でアパレルブランドを立ち上げた長谷川ミラ。ラジオやポッドキャストでは社会問題や恋愛、ビジネス、生理、セックスなどさまざまな話題について発信し、Z世代のオピニオンリーダーとして絶大な支持を集めている。彼女が起業家としてマイノリティに関心を持ったのは、父親の影響が大きかったという。

「南アフリカ人である父は、母国の社会をよくするための活動を行っていました。それは日本においても同様で、東日本大震災が起こった1週間後には現地へ向かっていました。幼い頃からそんな姿を見て育ったので、困っている人がいたら手を差し伸べるというマインドが自然と身についていました」

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経営者としても精力的に活動している長谷川。

自身のブランドJam apparelでは、メンズ/レディスといったカテゴリーを明示せずに展開している。

「私は女性だけどメンズものも好き。自分の好きなものって性別に左右されるものではないのに、区別されているから『これは自分が着るものじゃない』と無意識に判断してしまう。私のブランドではよけいなものは取っ払って、誰でも『気に入ったらどうぞ』という姿勢でやっています」

身の回りで感じたことを素直に発信することで、世間の常識は変えられるということを伝えている長谷川。社会を変える力を持っているのは個人個人のアクションだという。

「ひとりで100の社会課題は解決できないけど、100人がひとりずつ何かをやれば大きな力になるのは間違いない。Z世代の子たちは起業に抵抗がないけれど、日本では多様性に配慮したインクルーシブなビジネスモデルがまだ少ないですよね。社会活動はボランティアでやるべきっていう意識がまだ強いかもしれません。アメリカではNPOの代表で経済的に成功している人はたくさんいますよね。課題解決型の事業は、ビジネスとして成立しないと持続するのは難しいと思うんです」

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「三方よし」の精神で、ビジネスを伸ばしていきたい

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ジュエリーショップ「atelier ST,CAT」を経営する林 聖子さん。多様性の時代にふさわしい、自分らしく自由な結婚・婚約指輪を発信している。

アメックスが取り組む「RISE with SHOP SMALL」は、多様性に配慮した店づくりを通してビジネスを活性化させようとする中小店舗経営者やショップオーナーの挑戦を応援するプログラム。今年は250組の応募の中から8名が受賞した。去る9月23日、恵比寿ガーデンプレイスにて行われた授賞式に登壇した受賞者のひとり、ジュエリーブランド「atelier ST,CAT」代表の林 聖子さんに長谷川が話を聞いた。

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atelier ST,CATではセミオーダーで0.2単位でのサイズ注文ができる。シンプルで日常づかいしやすいデザインがヒットしている。

長谷川 林さんは、以前からファッションジュエリーのお店を始めていたそうですが、今回、新たにカップルリングの事業を始めたきっかけを教えてください。

林 2017年にファッションジュエリーの店を始めたんですが、コロナ禍でジュエリー業界の競争が激化しました。どうやって独自性を打ち出そうかと考えたとき、もともとうちのブランドはアトリエを構えて自社製造していたので、その強みを活かしてオーダーメイドの結婚・婚約指輪をつくったんです。既存のイメージにとらわれない、ファッションジュエリーのようなセミオーダーのプロダクトが、Z世代を中心に柔軟な価値観の人たちに響き、今年は前年対比250%と大きく伸びました。

長谷川 女性同士のカップルからの注文もあったとか。

林 特にジェンダーレスなデザインを意識したわけではありませんが、自分たちらしいものを身に着けたいという彼女たちの価値観と私たちのブランド理念が合ったのでしょう。

長谷川 コロナというネガティブな状況をポジティブに変えられたのですね。

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「コロナ禍で人々の価値観が変わるなか、事業の方向性を決めるのは大変でした」と振り返る林さん。

長谷川 ビジネスを始める上で、どんな苦労がありましたか?

林 私は特に経営の勉強をしたわけではなかったので、最初は大変でしたね。どうやってビジネスを軌道に乗せようかと、自分の頭の中で考えているだけでは限界があります。そんなとき、 アメックスのビジネス・カード について知る機会があり、私たちのような小さな会社にとてもていねいに対応していただいたんです。

長谷川 誰に相談していいかわからないと孤独ですよね。私も アメックスのビジネス・カード を使用しているのですが、細やかなサポートがたくさんあるので助かっています。

 そうですよね。 アメックスのビジネス・カード は、資金繰りの面でも、使いたいタイミングで利用できる幅の広さに魅力を感じます。あとは税金の支払い方法など、経理に関する細かい点も相談できます。希望者には、税理士も紹介してくれるそう。多岐にわたるサポートが心強いですよね。

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ファッションブランドの経営者として共通する部分も多い長谷川と林。小規模な店の経営理念を、大企業であるアメックスが評価することの重要性を語り合った。

長谷川 今回の受賞をどのように受け止めましたか?

林 私たちの思いやコンセプトを評価してくださったのがとても嬉しかったですね。プロダクトの魅力とブランドコンセプトを発信する力を両輪として、さらに事業を伸ばしていきたいと思っていたタイミングだったので、このように大きなカード会社からサポートいただけることを非常に心強く感じています。

長谷川 こういった企業からのサポートはちょっと前だったら考えられませんでしたよね。

林 事業を伸ばす上で私が意識しているのは、江戸時代の近江商人の哲学「三方よし」という言葉です。顧客、従業員、社会の三者が幸せになるよう心がければ商いは必ずうまくいくという意味で、この三者のバランスをとりながら事業を大きくしていきたい。

長谷川 日本には中小企業がたくさんあって社会を変えるパワーを持っているけれど、ユーザー、会社、自治体の3つが連携しないとその力を発揮できない。それは私も実感しています。

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この賞をきっかけに、Z世代の社員の声に光を当てられた

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2023年の授賞式に登壇した受賞者と、スペシャルサポーターを務めたMEGUMI(前列右から2番目)と長谷川ミラ(前列右端)。

長谷川 RISE with SHOP SMALL 2023の取り組みについてはいかがですか?

林 女性同士のカップルにカップルリングをおつくりしたことで、Z世代の社員から「多様性のある人たちにブランドのことをもっと知ってもらいたい」という声が上がりました。ちょうどそのタイミングでアメックスが行う多様性に配慮した中小企業を支援するプログラムを知ったので応募したんです。

長谷川 今回の授賞式でも、SHOP SMALLとして頑張っている企業がたくさんあることがわかりました。さらにこうしてサポートしてもらえるのは心強いですよね。

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授賞式の日は恵比寿ガーデンプレイスに、個性的なショップが全国から集まりマルシェを開催。店主と言葉を交わす長谷川。

林 アメックスというグローバル企業が小さなお店の話を聞いてくれて、100万円、500万円という予算を組んで補助してくださるのは本当に素晴らしい。うちはLGBTQ+フレンドリーなブランドであることをもっと発信したいので、ウェブなどのビジュアルづくりに資金を使わせていただこうと思っています。

長谷川 経営者の方は、こういう賞に積極的に参加することで、自らの事業のビジョンに真摯に向き合えると思うんです。どうしたら多くの人に届くのか、ということを、深く考えるようになると思う。

林 そうですね。率先して情報を取りに行き、学ぼうとする姿勢は大事です。自分のできる範囲で小さなステップを積み重ねながら、できることを伸ばしていくのもいいと思います。

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「誰かに支えられている、頼れる存在があるという実感は、経営者にとって心の安定につながります」とアメックスのサポート事業を支持する長谷川。

今回のRISE with SHOP SMALL 2023の授賞式では、林の他にも社会の問題解決を目指す企業が多く表彰された。障がいのあるアーティストの社会的サポートを行うギャラリー、外国人の雇用とエンパワメントを目指す食堂、震災やコロナ禍で生きづらさを抱えている若年女性のためのオーガニックカフェレストランなど、オーナーの熱い思いをカタチにした事業はどれも個性的だ。これからも日本全国に小さなダイバーシティの種が撒かれ、それぞれの花を咲かせることで、たくさんの笑顔が広がることを期待したい。

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