来日公演も決定! 名門ブルーノートに移籍した、ミシェル・ンデゲオチェロが生み出す今日的な音世界

  • 文:中安亜都子
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photo: Charlie Gross

ミシェル・ンデゲオチェロの音楽は、ジャズ、ヒップホップ、ファンクなどの要素を内包しつつも、それらのどれにも属さない。もしマイルス・デイヴィスが健在であれば、彼女をメンバーに招き入れただろうーー。これは筆者が以前、書き記したミッシェルについての文章。執筆当時から時間は流れ、その間に彼女は複数枚の作品をリリースしているが、この感想は最新作『オムニコード・リアル・ブック』でも変わらない。

優れたベース・プレイヤーであり、ボーカリストであり、キーボード、ドラムもこなすマルチプレイヤーでもある彼女は、93年のデビュー以来12作をリリース、またグラミー賞には10回ノミネートされている。

今回、新作にまつわるトピックとしては、この度、名門レーベルであるブルーノートに移籍したことが挙げられる。本来ジャズを主軸にしたこのレーベルは、ここ最近は枠組みにこだわらず、ブラック・ミュージックを核とした現代的な音楽家の新作をリリースしている。今回の移籍は、ここで彼女は音楽を深くするであろうと予感させるものだった。

新作ではレーベル・メイトとなったヴィブラフォン・プレイヤー、ジョエル・ロスをはじめジュリアス・ロドリゲス(ピアノ)、ブランディー・ヤンガー(ハープ)らニュー・カマー組、オリヴァー・レイク(本来サックス・プレイヤーだが、アレンジャーとして参加)、マーク・ジュリアナ(ドラムス)、ジェイソン・モラン(ピアノ)、ジェフ・パーカー(ギター)などのキャリア組ら、いずれも音楽の技と知力を兼ね備えた錚々たる顔ぶれが参加。また、プロデュースにはマカヤ・マクレイヴンほか、多数のジャズ・アーティストのプロデュースで知られる、ジョシュ・ジョンソンを起用している。

カバー集だった前作『ヴェントリロクゥイズム』(1998年)から5年。新作は全曲彼女のオリジナルで、デビュー以来これまで築いてきたオリジナルな音世界が、奥深く、かつふくよかだ。かつての突き刺さるような表現ではなく、新作はときに悟りきったかのような穏やかな表情が印象的だ。しかし、やはりミッシェル・ンデゲオチェロである。非凡な才能のキラメキは相変わらずで、俊英ミュージシャンとつくり上げた今日的なサウンドは別格であり、ここで彼女の音楽世界に、新たなページが加わったことを思わせる。

ここで来年2024年2月に来日公演決定(12、13日・東京、15日・大阪)の嬉しいニュースが到着した。かつての来日ライブで、ビートルズの「トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ」を、大胆なアレンジと圧巻の演奏力で披露した驚きはいまも筆者の記憶に焼き付いている。卓抜したベース演奏と、染み込むような低音のボーカルが聞けるライブ・パフォーマンスが再び体験できるとは、いまから楽しみである。

ミシェル・ンデゲオチェロ来日公演情報

【ビルボードライブ東京】(1日2回公演・2DAYS)
2024年2月12日
1stステージ 開場15時30分 開演16時30分 / 2ndステージ 開場18時30分 開演19時30分

2024年2月13日
1stステージ 開場17時 開演18時 / 2ndステージ 開場20時 開演21時

【ビルボードライブ大阪】(1日2回公演)
2024年2月15日
1stステージ 開場17時 開演18時 / 2ndステージ 開場20時 開演21時

【発売日】
Club BBL会員先行=2023年10月20日 12時より
一般予約受付開始=2023月10月27日 12時より
*公演のご予約はビルボードライブWEBサイトおよびプレイガイド(e+・ぴあ)にて行います。ビルボードライブ予約センターでの電話受付はございませんので予めご了承ください。なお、ビルボードライブWEBサイトからのご予約は無料のゲスト登録が必要となります。

http://www.billboard-live.com/
 

『オムニコード・リアル・ブック』

ミシェル・ンデゲオチェロ 
UCCQ-1187 ユニバーサル ミュージック ¥2,860