3年間の努力が実った! カップルのDIYが大成功、配達用バンが夢のキャンピングカーに変身

  • 文:青葉やまと

Share:

スクリーンショット 2023-09-21 13.22.30.png
中古車を移動式マイホームに大改造する様子。Ladi & Margaret-YouTube

海外のカップルが、実に3年間を費やし、配送会社の業務用バンをキャンピングカーに改造した。すべて手作業と3Dプリンタで仕上げたというバンは、まるでプロ並みの仕上がりだ。

見事に走る我が家へと変貌させたのは、チェコの田舎町を拠点に活躍するラディさんとマーガレットさんのカップルだ。欧州で人気のバン「フィアット・デュカト」に、太陽パネル、ウォータータンク、電動式ベッドなどを搭載。本来のマイホームとは別に、2人はオリジナル設計の快適な住環境を手に入れた。

フィアット・デュカトは業務用の配送車として重宝される一方で、キャンピングカーへの転用用途でも人気が高い。見事車両を生まれ変わらせた2人は、すぐにでもこのバンで旅に出る予定だという。

暗闇から光へ…ルーフウインドウで一変の住空間

ラディさんたちは3年間の改造の歴史を、36分間の動画にまとめている。動画によると、2020年に入手したばかりの車両は、味気ない配送車そのものだ。ありふれた真っ白の車体に、欧州の配送会社「dpd」のロゴが描かれている。

中古車両を格安で手に入れた二人は、ロゴを剥がすところからスタート。広いラゲッジルームには、荷物は衝撃から守るクッション材が取り付けられていたが、これを思い切りよく剥がしてゆく。代わりに防音性能の高いゴム板を取り付け、騒音対策も抜かりない。

屋根を切り出して自作のルーフウインドウを設けると、薄暗かった車内は一変。明るい太陽の光がさんさんと差し込む、やすらぎの空間へと変化した。

エクステリアは塗装を一新した。ダークグレーを基調とし、シックなデザインに仕上がっている。タイヤを囲うフェンダーやドア下のロッカーパネルは、ブラックの塗装で引き締めた。塗料はすべて手作業で吹き付けたようだが、ほぼムラも目立たずプロ級の仕上がりだ。味気なかったホワイト一色のボディが、DIYを通じて個性的に輝き始める。

---fadeinPager---

情熱がつくり上げる新たなライフスタイル

ラディさんたちが「シーズン2」と呼ぶ、2年目。改善を進める2人は、搭載装備の充実に全力を投じた。

4枚の太陽光パネルを屋根に搭載し、エンジンをかけない際にもある程度の電力を賄えるようになっている。パネルは最大47度の角度まで立ち上がり、発電効率を最大化するよう設計した。スイッチひとつでパネルが揃って起動する様子は、もはや最初から車両に備わっていたのではないかとすら感じさせるクオリティだ。

ほか、シートの布地を新品に張り替え、愛猫用の居住スペースを3Dプリンタで自作し、万一のためにセキュリティカメラを車外に装備し……と、愛車にかける2人の情熱は留まるところを知らない。

3Dプリンタで好みの空間に

膨大な工具と3Dプリンタを使いこなす2人は、市販車のオプションでは対応が難しいようなアイテムを続々と生み出し、空間をパーソナライズしてゆく。パッセンジャーシート後部には、「テック・ウォール」と呼ぶ収納スペースを設けた。

ドローンから携帯バッテリーまでを集中管理するこのコーナーは、あらゆるガジェットを特製のホルダーで壁に固定。走行中も散らばらず、かつ容易にアクセスできるよう工夫が詰め込まれている。

こうした小さな改善と並行して、インテリアの施工も着々と進む。木目調のモダンなフロアシートを貼ると、車内はリビングの雰囲気へと一気に変化した。見た目にも美しい床面だが、その下にはなんと床暖房を忍ばせる周到さだ。ラディさんたちは「設置は簡単」と言いながら、こともなげに作業を進める。

まさかのキッチンまで! 極小スペースに設備充実

順調に改造を進める2人は、13kWhの大容量バッテリー、造り付けの家具類、ベッドなどを追加で搭載。限られたスペースに2人分の作業机まで積み込み、完全に自宅として活用できる環境を整えた。

壁面にはフライ返しやおたまが装備されている。もしやと思い車内の一角に目をやると、どうやらミニキッチンまで据え付けたようだ。シンク、カットスペース、IHヒーターを搭載した、機能性抜群のコーナーになっている。

ベッドは昇降式とし、空間を最大限に有効活用。上げた状態で後部のハッチを空ければ、ベッド下の収納スペースに素早くアクセスできる。この空間には2人分のeバイクが積み込まれており、冒険の可能性をさらに広げてくれる。

ほか、簡易シャワー、トイレ、電動リクライニング式のカウチを導入。もはやふつうの家よりも充実しているのではないかとすら思える凝りようだ。

専門家も賞賛「重要な部分をきちんとこなしている」

完成した家は、広さこそ車両サイズの制限を受けているものの、小さいながらも愛情はひとしおだ。動画の概要欄を通じて二人は、「この映像を見返していると、今の小さな家に対して本当に感謝がこみ上げてきます。なんという乗り心地でしょう!」と愛着を綴っている。

動画のコメント欄には、二人を応援する前向きなコメントが数多く寄せられている。「このバンが本当に大好き。まさに入魂の取り組み!」「これまで見たバンの設計のなかでも一番完璧で考え抜かれているね」など、視聴者の関心は高い。

メカニカルエンジニアの資格を持つある視聴者も、二人に賛辞を贈っている。「重要な部分のディテールにこだわっていること、そして創造的な創意工夫をしていることが、とくに素晴らしいと思う。お二人の忍耐力、ユーモア、野心、そして相性の良さに、本当に感動します」

冒険の続きは実際の旅路で…

二人の取り組みは、自動車関連のニュースを報じる米モーター1でも取り上げられた。「このバンがとても印象的なのは、すべてカスタムで作られていることだ」と、記事は舌を巻いている。

今夏バンを完成させたばかりの2人は、すぐにでもこの車両で旅に出るつもりだと語っている。旅の様子はYouTubeチャンネルで随時報告する予定だ。

3年分の苦心を詰め込んだバンが旅路をどう支えてくれるのか、はたまた思わぬトラブルが待っているのか。自分たちだけの人生を駆けるチェコのカップルから、今後も目が離せそうにない。

---fadeinPager---

3年をかけ、中古車を移動式マイホームに大改造。荷物を運んでいたバンが、今後は2人の旅人カップルを運ぶ。