世界で最も有名なロックバンド、ビートルズ。その一員であったポール・マッカートニーが愛用し、いまなお彼のトレードマークとされているヴァイオリン型ベース「ホフナー500/1」。
彼が最初に手にしたホフナー500/1は1969年以降行方不明になっており、その手がかりを世界的に呼びかける「ザ・ロスト・ベース」が、ホフナー社によってスタートした。1961年、ポールはドイツのハンブルグでこのベースを見つけ、30ポンドで購入。従来とは逆に弦を張って、左利きの彼がベースを構えても左右対象なフォルムで違和感がないことに一目ぼれしたと言われている。
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初期のヒット曲で聴くことができる音色
その後、英リヴァプールのキャヴァーン・クラブでのライブやアビーロード・スタジオでの初レコーディングで使用、「ラブ・ミー・ドゥ」や「シー・ラブズ・ユー」「ツイスト&シャウト」などの初期のヒット曲ではその音色を聴くことができる。
しかし1969年1月、ロンドンで「ゲット・バック/レット・イット・ビー」のレコーディングの際に紛失、以来その行方は知られていない。
1966年のインタビューで「いまではホフナー社のヴァイオリン型ベースを3本持っている。でも最初に手に入れたものが一番のお気に入りなんだ」と語っているほどポールにとって特別な1本だったという。
寄せられた数百件の情報
このプロジェクトを率いているのは、ホフナー社でエレクトリックギターの開発に関わり、長年ポールとも親交があるニック・ワス氏、ジャーナリストのスコット・ジョーンズ氏とTVプロデューサーのナオミ・ジョーンズ氏だ。ワス氏がこのベースの調査をポールに直接依頼されたことがきっかけとなり、リサーチのプロであるジョーンズ両氏とタッグを組むことに。
BBCの報道によるとプロジェクト立ち上げから48時間で数百件もの情報が寄せられ、そのうちの2つは重要な手がかりとして新たな調査がスタートしているという。
この失われたホフナー500/1は、1961年から64年の間に手が加えられており、ポールの購入時とはかなり違っているのが特徴だ。本体の色は濃茶、赤みを帯びた茶色、薄茶の三層のグラデーションに塗り替えられており、弦の振動を拾うピックアップは2つから大きな1つのブロックに変更。また真珠貝でつくられたピックガードは取り外されている。そしてもちろん左利き仕様だ。
現在の価値は約18億円?
もしも発見された場合、このベースの現在の価値は1000万ポンド、日本円にして18億円になるのではないかと英新聞「ザ・テレグラフ」紙は伝えている。調査の進展は随時、登録者にはニュースレターで、それ以外はSNSで報告されることになっている。
もしも「このベースについて知っている!」という人がいたら、「ザ・ロスト・ベース」のサイトにアクセスしてみてほしい。有力な情報提供者として、その名が世界的に報道されるチャンスとなるかもしれない。
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ホフナー500/1で演奏するポール(右から3人目)。
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Welcome to The Lost Bass Project - the global search for Paul McCartney's original Höfner bass. Between 1961 and 1969 this bass changed the world. Today it's the Holy Grail of Rock and Roll. Follow the trail. And help trace the bass. Visit https://t.co/4eZFkyULMv @tracingthebass pic.twitter.com/VauQW8G9bB
— TracingTheBass (@TracingTheBass) September 2, 2023
「ザ・ロスト・ベース」で探しているホフナー500/1を抱えるポール。紛失直前に撮影された貴重な写真だ。