スパイ、諜報部員は決して目立ってはいけない。『ミッション：インポッシブル』シリーズでトム・クルーズ演じる主人公イーサン・ハントは作戦に取り掛かり、敵陣に潜入する時には、スーツや軍服、あるいは完璧なフォーマルスタイルが常だ。

しかしミッション完遂に向けて自ら行動を起こす、あるいは反撃に転ずる時にはイーサンはドレススタイルからカジュアルスタイルへと大変身を遂げる。レザー素材のブルゾンに合わせるのは、ブラック、あるいはダークカラーのTシャツ。ボトムスも同様のカラーを合わせることが多い。全身真っ黒な格好。これもある意味、諜報部員らしいスタイルとも言えるだろう。

今回取り上げるのは、この変身した時にイーサンが着用するTシャツについてだ。実はイーサンのTシャツがどこのブランドのものか、いろいろと調べたが、わからなかった。シリーズを通して黒っぽいTシャツを着用しているが、デザインはさまざま。１作目で着ていたのは浅いネックラインのVネックのTシャツ。２作目以降はオーソドックスなクルーネックタイプ、４作目ではクラシックなヘンリーネックタイプのTシャツを選んでいる。素材も布帛をからニット素材まで、多彩だ。

もちろん最新作でもトムは黒のTシャツ姿を披露しているが、デザインはVネックに戻っている。最新作は過去作へのオマージュ的要素も感じられる作品だ。１作目に登場したIMFエージェントのキトリッジ（ヘンリー・ツェニー）が再登場するし、前作に続いて起用されたホワイト・ウィドゥ（ヴァネッサ・カービー）は、１作目の武器商品マックスの娘という設定になっている。今回のヒロインであるグレース（ヘンリー・アトウェル）との「鍵」を巡る手品は、１作目でも同じような場面があった。過去へのオマージュを込めてイーサン＝トムは１作目と似たVネックのTシャツを選んだのではないだろうか。

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イギリス生まれの完璧な肌触りのTシャツ

そんなTシャツ好きのトムにお薦めしたいのが、サンスペルのTシャツ。イギリスのノッティンガムでサンスペルが創業されたのは1860年。創業当時はアンダーウェア、つまり下着を製造していた。「シーアイランドコットン」と呼ばれる希少な素材を採用したアンダーウェアで世界的に有名になり、36年にアンダーウェアを展開するブランド名であった「サンスペル」に社名を変更する。

47年にはボクシングでボクサーが履くショーツを元に「ボクサーショーツ」をデザインし、大ヒット。現在ではコレクションも下着だけでなく、アウターとして着用できるモデルまで拡大、イギリスや日本だけでなく世界的に人気を集め、女性にも支持が高い。製造する工場はノッティンガムからダービーシャー州のロングイートンという場所に移ったが、現在でもイギリスで製品を続けている希少なブランドだ。

同ブランドの多彩なTシャツの中から今回ピックアップしたのは「クラシックTシャツ」と呼ばれるブランドを代表する定番モデル。素材にカリフォルニア生まれの最高級スーピマコットンを使い、自社工場で仕上げまで行った「サンスペルの顔」とも言えるTシャツ。薄手ながら耐久性が高く、ガス焼きによって不純物や毛羽を取り除いており、滑らかでソフトな肌触りで吸湿性も高い。

シリーズのほかの作品同様、本作でもイーサンが全力疾走するシーンが出てくるが、こんなTシャツならば、どれだけ走っても快適でカッコよく見える。トムにぜひとも推薦したい一枚だ。

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