トム・クルーズが主演した映画『ミッション：インポッシブル』シリーズは、20年以上の歴史をもつスパイアクション映画の名作だ。いずれの作品もトムが困難なミッションに挑み、想像を絶するアクションの連続を経て、そのクライマックスで「任務、完了！」となる。ミッションには多くのメンバーが関わっているので、完遂するためには時間を正確に知る必要がある。だから、このシリーズでも多くの腕時計が登場する。

１作目の『ミッション：インポッシブル』（96年）と２作目の「M:I-2」（00年）でイーサン（トム・クルーズ）が身に着けているのが、日本のカシオの腕時計。いずれも高い機能性をもつタフなモデルで、これらはこの作品のアクションシーンに合わせて選ばれたのかもしれない。

シリーズ４作目に当たる『ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル』（11年）にはいま、世界的に話題を集めている人気の腕時計が登場する。チューダーのクロノグラフだ。４作目の主な舞台はロシアと中東のUAE。チューダーの腕時計が登場するのは物語後半だ。ロシアで秘密のファイルを奪取することに失敗した上に、テロリストの汚名を着せられたイーサンとそのチームは、中東UAEのドバイに脱出。女殺し屋サビーヌ（レア・セドゥ）から、ファイルを取り戻そうと作戦を開始する。その時にイーサンが身に着けていたのが、チューダーの「ヘリテージ　 クロノ Ref.70330N」というモデルだ。このモデルの発売は2010年で、1970年のプロトタイプ Ref.7033のオリジナルデザインを活かしながら、現代風にアレンジを加えたモデルと言われている。

映画では時計の文字盤などが大写しになることはなく、オープンカーを操縦する時、ドバイの隠れ家でイーサンがシャワーを浴びるシーンなどでチラリと映るだけなのだが、多くの時計マニアたちは見逃さず、チューダーだと見抜いた。

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元は"チュードル"だった

チューダーは、ロレックスの創始者であるハンス・ウイルスドルフが、1926年に創業したスイスの時計ブランド。ロレックスの技術と信頼性を備え、確固たる信頼と先駆的な時計を創りたいという思いからスタートしたと聞く。

ブランド名はロレックス誕生の地であり、エリザベス１世を輩出したイギリスの王家チューダー朝から採用されたもので、当初、時計に刻印されていたロゴはチューダー家の紋章である薔薇をモチーフにしていた。1970年代ごろまで日本では「チュードル」というブランド名で呼ばれていたが、その後取り扱いがストップし、2018年に日本再上陸を果たした時に「チューダー」という表記に改められた。

今回紹介するのは、４作目でイーサンが身に着けた「ヘリテージ クロノ」と並ぶ、チューダーのアイコン的なクロノグラフと言える「ブラックベイ クロノ Ref.M79360N-0002」だ。イーサンが身に着けたモデルはブラックダイヤルだったが、こちらはオパラインダイヤルで、ブラックのサブカウンターとのコンビネーションがより精悍な印象を与える。ムーブメントは「マニュファクチュール キャリバーMT5813」を搭載、両方向回転ローターシステムを搭載した機械式の自動巻で、パワーリザーブ約70時間、200m防水を備えている。

ちなみに４作目でイーサンチームに新たに加わったジェレミー・レナー演じるウィリアムは、ロレックスのダイバーズウォッチ「サブマリーナ」を劇中で身に着けている。これもチラリとしか映らないので、時計好きの方はぜひとも目を凝らしてチェックを。

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