「大人の名品図鑑」ミッション:インポッシブル編 #1
トム・クルーズが主演を務め、世界的な人気を誇るアクション映画「ミッション:インポッシブル」シリーズ。待望の最新作、シリーズ7作目の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』が今年7月に公開された。今回の「大人の名品図鑑」は、この人気アクションシリーズに登場した名品について考察する。
いよいよ公開されたシリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』。もうご覧になったという方も多いはずだ。最新作でイーサン・ハント(トム・クルーズ)に課せられたミッションは、全人類を脅かす新兵器に関係する「鍵」を追跡し、悪の組織の手に渡る前にそれを入手すること。そんな中、イーサンがIMFに所属する前の過去を知る男が現れ、同じ「鍵」を入手するため、イーサンだけでなく愛する者たちの命が狙われる。タイトルにある「デッドレコニング」とは「推定航法」の意味。進んだ経路や距離などから、過去や現在の位置を推定する航法のことで、今回の作品はイーサンのこれまでのシリーズ作品では語られなかった過去と、イーサンとそのチームが現在直面するミッションが交錯するような筋立てになっている。
そんな最新作において今回我々が注目したのが、物語の前半に登場するイーサンのサングラス。ある意味、身を隠すことが多い諜報部員にあって、サングラスは必須のアイテムだ。この作品でイーサンが選んだのは、ゴールドのフレームに濃い目のカラーレンズを装着したいわゆる「ティアドロップ」型のサングラス。実は前作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(18年)のプロモーションでも、トムは同様のサングラスをかけており、多くの写真が残されている。
そしてこのサングラスは高級宝飾メゾン、カルティエのもので「サントス ドゥ カルティエ」というモデルであることが確認されている。最新作でトムがかけているのも「カルティエのサングラスでは」とカルティエの広報に尋ねたところ、「まだ正式には確認できていない」という返答を頂戴した。しかし公開された作品を観ると、デザインやディテールはほぼ同じで、前作のプロモーションに続いて、トムお気に入りの一本で最新作の撮影に臨んだのではないだろうか。
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150年以上の歴史をもつメゾン、カルティエ
カルティエは、ルイ=フランソワが1847年にフランスで創業したのがブランドの始まりだ。53年に早くもパリにブティックをオープン、その6年後にはフランス皇帝ナポレオン3世の皇后ウジェニーを顧客とし、39年までには15カ国から王室御用達の特許状を受けるまでになった。
カルティエはラグジュアリーなジュエリーでよく知られているが、実は豊富なメンズコレクションを揃えている。「サントス」「タンク」「パシャ」などの名品が揃う時計はもちろんのこと、財布などの革小物やライターまで展開し、王侯貴族だけでなく、エグゼクティブたちから愛用されている。サングラスもその一つ。早くから自社工房で製作をスタート、質の高い材料を用い、精緻なつくりで眼鏡ファンからも絶大な支持を受けている、まさに名品だ。
時計の「サントス」は、ブラジル人飛行士のアルベルト・サントス=デュモンからの「操縦中に時間を確認したい」との相談を受け、サントスの友人であった3代目のルイ・カルティエがデザインしたもの。同じ名前をもつサングラスは、時計同様にビスモチーフがテンプル部やブリッジにアクセントとしてあしらわれている。磨き上げられたゴールドのフレームと、濃いカラーレンズの組み合わせがトムに上品さをもたらしてくれる。
「ミッション:インポッシブル」シリーズでは1作目からトムはいろいろなサングラスや眼鏡をかけているが、それ以前に出演した作品でもトムのサングラス姿は大きな話題となった。『卒業白書』(83年)や『トップガン』(86年)ででかけたサングラスは、売り上げが倍増するぐらいの人気になったという話もある。このティアドロップ型のサングラスも、最新作の公開で話題を集めることは必至だ。
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