解体も含めて芸術? イギリスの街に、段ボール製の巨大建物が出現

  • 文:山川真智子
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kyoshino-istock ※画像はイメージです

イギリスのニューカッスルで開催されたイベントの一環として、段ボールでつくられた巨大な建造物が登場した。たくさんのボランティアの力を借りて完成した力作だったが、イベント終了とともにあっさりと取り壊された。わずか数日の展示となったが、デザインしたアーティストは、取り壊される姿にも美があると述べている。

壮大な段ボール・アート!サイズは実物大

ニューカッスル・サマー・フェスティバルは、8月11日から13日に開催された新しいマルチ・アート・イベントだ。国内外の芸術家を紹介し、観客がアート、音楽、パフォーマンスの制作や発表に参加できる文化の遊び場を目指したという。

このイベントの一環として、段ボール箱でつくられた巨大な建物が中心街に出現した。4階建てのホールを模してデザインしたといい、高さは約14mで、木や街灯も見下ろせる実物大となった。

デザインしたのはフランスのビジュアルアーティスト、オリビエ・グロッシテート氏。実在の建物をもとに段ボールで建造物をつくることで知られており、これまでもイギリスの中世の古城、ドニントン城などのランドマークを再現している。

ボランティア大活躍!すべて手作業で完成

BBCによれば、ニューカッスルの建物づくりには、子どもを含む数百人のボランティアが参加した。数日間にわたって1500以上の段ボールのパーツづくりを手伝い、何時間もかけて茶色のテープでパーツをつなぎ合わせたという。イベント初日には、機械を一切使わず、巨大な段ボールの建物が手作業で組み立てられた。

グロッシテート氏は、「人が集まれば、美しいものをつくることができる」とし、ボランティアたちを讃えた。

3日で取り壊し…早くも来年の作品に期待!

もっとも、建物はイベント終了時には取り壊すように設計されていた。13日の最終日には人々が周りに掛けられたロープを引いて解体し、クリエイティブな作品は、わずか3日間で段ボールの山に戻った。BBCによれば、使用した段ボールはリサイクルされる予定だという。

グロッシテート氏は、取り壊されるところもまた美しいと述べ、出来上がった建物だけが作品なのではなく、その周りで起きていることを含めてこそ、完成形だという考えを示した。

フェスティバルの文化・イベント担当者は、この作品をきっかけに、今後同様の作品が登場することを期待しているとコメント。また将来的にはもっとイベントの規模を大きくし、ニューカッスルの代名詞になるように育てていきたいとしている。

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BBCによる投稿。

実際の建物と同じサイズ感。

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ニューキャッスルによる投稿。

ボランティアによる作業の様子。