「迷子の雲の赤ちゃん!?」道端でゆらり渦巻く雲、AI生成の幻想的動画に心癒やされる

  • 文:青葉やまと
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 「ミリオネア・トラベルズ」Instagram(@millionaire_travels)より

 さんさんと照りつける夏の日差しのもと、海を見下ろす絶景のドライブウェイ。ふと道端に目をやると、駆け寄れば届きそうなほどの距離に、真っ白な雲のかたまりが転がっている——。こんな幻想的なショート動画が人気を集めている。

フォロワー数70万人超のInstagramアカウント「ミリオネア・トラベルズ」が紹介するこの動画は、6月頃からInstagramやTikTokなどのソーシャルメディアで話題になり、広く拡散されている。

動画ではカメラがパンして全景を捉えるなか、道端の雲がゆらゆらと対流を続ける。その動きはさりげなく、かつ非常にリアルな仕上がりだ。高所のドライブウェイでは稀にこのような現象が本当に起きるのではないかと、思わず錯覚してしまいそうなほどの説得力を帯びている。

画像処理で生まれた癒やしの光景 

残念ながらこの光景は現実のものではなく、画像処理によって生成されたものだ。動画のコメント欄でも複数のユーザーが、画像を生成するジェネレーティブAIによる創作だと推測している。

もっとも、画像編集ソフトのPhotoshopのタイムライン機能と変形操作を使っても同様のアニメーションを作成できるため、この手法を使っている可能性も考えられる。

ここ数ヶ月ほどで、画像処理技術を活用した幻想的かつクリエイティブな作品を目にする機会が多くなった。凝った作品も多く、森の中の朽ち果てた図書館や大自然に囲まれた豪華なベッドルームなどは人気のテーマだ。

そんななか本作は、道路と夏の空と雲というシンプルなオブジェクトを主題に据えながら、心癒やされるのびのびとした作風で異彩を放っている。せわしない短編動画が続く昨今のソーシャルメディアにおいて、リラックスできるコンテンツという点でも視聴者の心に響いているようだ。

「まるではぐれた赤ちゃん」視聴者の数だけストーリーが生まれる

視聴者たちは思い思いの豊かな想像力で状況を受け止め、動画のコメント欄を賑わせている。あるユーザーは、手を伸ばせば届きそうな位置にある雲の触感に思いを馳せ、「この雲を抱きしめたい。かわいいし、とってもフワフワしていそう」と書き込んでいる。

別のユーザーは小さな雲をまだ赤ちゃんだと見立て、「かわいそうな雲の赤ちゃん、お母さんとお父さんからのところへ飛ぶのが怖いんだね!」と綴っている。雲は地上で生まれ、天へと飛び立っていくというストーリーを思い描いたようだ。

空を漂う雲が地面に降り、つかの間の休憩を取っていると捉えた人物もいるようだ。「『ぼくは雲。飛ぶのにちょっと疲れちゃった』」とセリフを充てたコメントは、1万9000件以上の「いいね」を集めている。

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まだまだある雲をテーマにした架空世界 

このほか、掲載元の「ミリオネア・トラベルズ」のInstagramアカウントでは、非日常的な動画を多く紹介している。本作と同じく、雲をテーマにした作品も少なくない。 

7月下旬に投稿された別の作品では、同じく夏のドライブウェイと雲をテーマに、より壮大な感覚を演出する。山頂へと向かう道の先端が、ぐるぐると渦巻く巨大な積乱雲の中へと呑み込まれており、一夏の冒険の始まりを予感させる。

同じく7月下旬に加わった別の動画は、山の高見から尾根を見下ろしたものだ。天空から落ちてきた雲が、ちょうど尾根の稜線にかかって宙ぶらりんになったような光景だ。

さらに別の作品では、砂漠地帯をゆくトラックが日差しを浴び、雲へと昇華してゆく。こちらも大胆なイマジネーションを働かせた作品だ。

雲に最小限のアニメーションを加えただけで、架空の情景は格段にリアルになり、見る者の想像力を刺激する。雄大な景色にぽつんと雲がたたずむだけの動画だが、不思議な癒やしのパワーで世界の視聴者を魅了しているようだ。

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