自撮りをするファンを注意した歌手に賛否 観客とアーティスト、それぞれのあるべき姿勢とは?

  • 文:中川真知子
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「ここで一旦止めさせて、ごめんなさい」

カントリーミュージック歌手のミランダ・ランバートは観客を見つめて言った。視線の先には、自撮りに勤しむ女性たちの姿があった。

「彼女たちは自撮りするのに必死で歌を聞いていない。ムカっとする。みんなここにカントリーミュージックを聴きにきていて、私はそのカントリーミュージックを歌っているの」

注意されたのはアデラ・カリンと友人だった。驚いてすぐに自撮りをやめると、ミランダは再び歌い出した。

動画には、ミランダの毅然とした態度に観客の多くが賛同するように拍手する様子が映っている。だが、後半には「ファンにこんな態度をとるなんて」と会場を後にする人が確認できる。その声色からは、拍手を送った人たちとは異なるファン心理が読み取れる。

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変わってしまった場の空気

ステージ上から直接注意を受けたカリンは、報道番組「グッド・モーニング・アメリカ」のインタビューに次のように話す。

「歌よりも自撮りに興味があると決めつけて、着席するように彼女は言いました。まるで学校の先生に注意された気分になりました。あのときはみんな立ち上がって踊りながら楽しい時間を過ごしていたのに空気が変わってしまった」

ライブパフォーマンスは、没入感、会場の一体感を楽しむ場であり、パフォーマーや関係者はそのような空気を作れるように最大限の努力をする。自撮りの観客が場の雰囲気を壊し、ミランダの熱意を削いだのは想像にがたくない。

一方で、観客にも観客なりの方法でパフォーマンスを楽しむ権利がある。さらに、コンサートに参加するくらい好きなミランダに注意されたショックを考えると、気の毒に思えないわけでもない。会場を後にした人は、ミランダにファン心理を理解してほしかったのではないだろうか。

SNSでは様々な意見が交わされているこのできごと。ミランダ・ランバート本人は「ノーコメント」を貫いている。

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