アメリカ・フロリダ州のダンキンドーナツで、めずらしい“割り込み”騒動が発生した。ところが人々は腹を立てるどころか、逆に癒やされてしまったようだ。割り込んだ主は、つぶらな瞳のアライグマ。ドライブスルーの列を完全に飛ばして先頭付近に登場すると、なんとドーナツを見事に入手した。
可愛らしい小さな手でドーナツを受け取る瞬間を収めた動画が、TikTokで2200万回される人気を集めている。
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ドライブスルーのレーンに現れた小さなお客さん
動画は助手席の女性とみられる人物が撮影したものだ。ドライブスルーの受け取り口よりやや手前に停車した状態で、フロントガラス越しに前方の道路を映している。そのレーン脇には、ちいさなアライグマの姿が。茂みから登場して目の前を横切ろうとしていたため、受け取り口の手前で車を停めたようだ。
「どういうこと……」と口走りながらカメラを向ける女性だが、このときはきっと、少しめずらしい動物がいるな、くらいに思ってことだろう。アライグマはのそのそと気ままに歩きながらドライブスルーのレーンを横断。女性はこれに「彼はダンキンドーナツがほしいようですね……」と実況を加えている。この時点ではそのトーンはあまり気乗りせず、まあ一応動画を回しておくか、といった具合だ。
ところがその後、アライグマの行動が女性を徐々に大興奮へと導いていく。アライグマは受け取り口から2mほどの地点まで慣れた様子で近づくと、まるで誰かがドーナツをくれるのを待っているかのように、きょろきょろと辺りを見回しはじめた。そのあまりの落ち着いた様子は、もしかするとこのアライグマは、このダンキンドーナツの“常連”かも……とすら思えるほどだ。
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待望のドーナツ登場で視線は釘付けに
きっとドーナツをもらいに来たに違いない考えた女性は車内から、「もらって、さあもらって!」と控えめなエールを送る。すると、ドーナツ店の受け取り口に、商品のドーナツを持った女性店員が登場。撮影女性は「あげるの?ドーナツをあげるの!?」と一気にテンションが上がったようだ。
アライグマは店員の姿に気付いたようで、まるで期待に胸を膨らませるかのように2本足で立ち、一心に窓口の内側を見つめている。顔を心持ち突き出しており、視線は店員の手元に釘付けだ。
そしてついに、待ちかねた瞬間が訪れた。店員女性が受け取り口のガラス窓を開き、白いフロスティングのたっぷりかかったボリューミーなドーナツを1個、アライグマにプレゼント。右手を伸ばし、地面の方へと差し出した。
駆け寄ったアライグマは再び2本足で立ち、ゆっくりと落ち着いた様子で店員の右手に接近。小さな2本の前足を伸ばすと、その手から直接、おいしそうなドーナツを受け取った。大きな口を開けて念願のドーナツをくわえ込むと、レーン反対側のもといた茂みの方へそそくさと持ち帰った。
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アライグマの「大胆な決断」として報じられる
この動画は大きな関心を集め、公開から1ヶ月で約2200万回再生されている。米FOXニュース系列の地元局は、この動画をニュース記事として配信した。記事は「アライグマがダンキンドーナツでドーナツを入手しようと決意し、さらにはおやつを手に入れるためには列をまるごと抜かしてしまおうという、大胆な決断を下した」と報じている。
アライグマが手に入れたふわふわのドーナツは、ダンキンドーナツにとって思わぬ宣伝となったようだ。ある視聴者が動画のコメント欄で「アライグマの動画に影響されてダンキンへ」と投稿すると、このコメントは2000件の「いいね」を集めた。
アライグマは気性が荒いことで知られるが、この“お客さん”は終始落ち着いた様子を見せている。ドーナツを無理に催促したわけでもなく、さらには受け渡しの際にも2本の前足で丁寧に受け取っていた。ある視聴者は「なんという小さな紳士」とコメントし、このコメントは1万件以上の「いいね」を集めている。
野生動物に食べ物をやることは必ずしも良い行為ではないものの、このめずらしい一件はギスギスしがちな今日において、ほっこりとした話題を振りまいたようだ。
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@samguptuppy #Raccoon at #Dunkin ♬ original sound