Teslaの人型ロボット「テスラボット」の開発状況が披露、二足歩行でAIを搭載

  • 文:青葉やまと
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Tesla Bot Update-YouTube

自動運転EVで野心的な計画を進める米Teslaが、ヒューマノイド(人型ロボット)の世界でも革命を起こそうとしているようだ。同社は5月16日に行われた年次株主総会「サイバー・ラウンドアップ」において、最新の開発状況を公表した。

このヒューマノイドは以前から「Tesla Bot」の名で呼ばれ、計画が進められていた。海外デザインサイトのデザイン・ブームによると、イーロン・マスクCEOは近年、新たに「Optimus Sub-Prime(以下「Optimus」)」の名称を用いているという。

Tesla関連の情報を報じるテスラ・ラティによると、5月の株主総会のスタートから1時間ほどが経過したイベント中盤で、開発状況を示す新たな動画が披露されたようだ。

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より安定した歩行が可能となったOptimus

Teslaはイベントと同日、この動画をYouTubeでも公開している。Teslaのサイバートラックを背景に、5台ほどのOptimusが並ぶ。Optimusたちはこの1分少々の短い動画を通じ、2足歩行でゆっくりと前進し、日常動作をこなす様子を披露した。

デザイン・ブームは「量産化に向けたシャシー(骨組み)を備えたロボットたちが前へ歩み、スローペースでありながらも、初披露のときよりも安定性を向上した様子が映像からうかがえる」と分析している。

歩行時は腰を重心としてバランスを取り、人間が歩くときのように両手を振りながら、一歩ずつ慎重に歩を進めている。動画によると歩きながら周囲の環境を学習し、歩いたエリアを3Dのマップとして記憶できるという。

日常動作としては現時点で、握力を調整しながらものを掴んだり、モーターのトルクを調整しながら繊細に脚を動かしたりが可能になっている。人間の動作をベースにしたAI学習を進め、今後はより複雑なタスクをこなせるようにする計画だという。

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ヒューマノイドはEVを超え、やがて事業の中核に?

テスラ・ラティによると株主総会の場においてマスク氏は、OptimusもTesla車と同じく、FSD(完全自動運転)技術が搭載されることを強調したという。

さらにマスク氏は、ヒューマノイドがEV以上に将来的に普及すると確信しているようだ。同記事によると氏は、OptimusがTeslaを「数で大きく凌駕する」ようになると述べたという。

また、「Teslaの長期的なバリューの大半は、Optimusとなるでしょう。この予測には自信があります」とも述べ、将来的には同社の中核事業のひとつに据える考えを示している。

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激化するヒューマノイド開発競争

ヒューマノイドの普及に賭けているのは、マスク氏だけではないようだ。ChatGPTのOpenAI社は、ノルウェー発のロボット企業である1X社に巨額を出資しており、汎用ヒューマノイドの開発競争は激化の気配を見せている。

さらに米インサイダーは、Amazonが同社の家庭向けロボット「Astro」の次期版を極秘に開発していると報じている。

こちらは人型ではないものの、ChatGPTにも使われているような大規模言語モデルを活用し、人間のことばを分析して「理解」する予定だという。より広範囲の物事に対応できるインテリジェントな機能を目指している模様だ。

自動運転技術や生成系AIが話題だが、各社は水面下ですでにそれらを活用した次世代の製品を模索しているようだ。TeslaのOptimusも、量産化に至れば大きな話題となりそうだ。

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