俳優・白鳥玉季、13歳。彼女が語る、谷川俊太郎の詩の魅力とは?

  • 写真:下山智章
  • 編集&文:佐野慎悟
  • スタイリング:小宮山芽以
  • ヘア&メイク:豊田千恵
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70年を超えるキャリアの中で、詩集、絵本、翻訳、作詞など、あらゆる分野で数え切れないほどの作品を残してきた谷川俊太郎。13歳から101歳まで、各世代を代表するファンのことばから、いつまでも色褪せることのない、谷川作品の魅力の神髄に迫る。現在発売中のPen最新号『みんなの谷川俊太郎』から抜粋して紹介する。

Pen最新号『みんなの谷川俊太郎』。今年4月から開催されている『谷川俊太郎 絵本★百貨展』の見どころから、谷川俊太郎のインタビュー、自宅で見つけた思いが宿った品々などを掲載。また、10代から101歳までの俳優・作家・ミュージシャンらが、谷川作品について語ってくれた。谷川俊太郎の「ことば」をいま改めて見つめ直し、その魅力を未来へとつなげたい。

『みんなの谷川俊太郎』
Pen 2023年7月号 ¥880(税込)
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Tamaki Shiratori
2010年、東京都生まれ。16年にNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」でテレビドラマ初出演。WOWOWオリジナル連続ドラマ「0.5の男」に出演中。7月13日に始まるNetflixシリーズ「御手洗家、炎上する」にも出演予定。

ことばから自由に広がる世界に身を委ねて

「小学2年生の時に、学校の授業で初めて谷川俊太郎さんの詩に触れてから、詩を読んだり書いたりすることが大好きになりました」と語るのは、今年中学2年生になった俳優の白鳥玉季。それ以来、同じく詩が好きな同学年の親友と、気に入った詩を教え合ったり、それぞれが書いた詩を見せ合ったりすることが、彼女たちの楽しみのひとつになったそうだ。

「谷川さんの詩を読んでいると、紙に書かれていることばは少なくても、そこから周りの風景がどんどん広がっていきます。そうやって、自分なりの解釈で自由に世界を膨らませていけることが、詩の面白さのひとつだと思います」

白鳥さんは自分で詩を書く時も、頭の中で自身の想像力を飛躍させていくことに、創作の醍醐味を感じているそうだ。

「自分で詩を書く時は、自分自身とは違う性別や年齢とか、動物みたいに、なるべく遠い存在の主人公を、いちからつくり上げることが多いです。そうすることで、自分でも思いがけない方向に世界が膨らんでいくからです」

そんな素養をもった白鳥さんは、小学校卒業を目前に控えた昨年、オーケストラの演奏にのせて谷川俊太郎の詩を朗読するという、自身の感性を活かす絶好の機会に恵まれた。谷川の詩集『はだか』から、「むかしむかし」「おじいちゃん」「おばあちゃん」「おとおさん」「おかあさん」「とおく」の6篇を引用した武満徹の「系図―若い人たちのための音楽詩―」は、これまでも名だたる俳優たちが語り手を務めてきた楽曲だ。しかし、弱冠11歳の小学生が抜擢された例は、白鳥さんの他にない。

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白鳥さんが語り手を務めた兵庫芸術文化センター管弦楽団の定期演奏会では、武満徹の「系図―若い人たちのための音楽詩―」が、佐渡裕の指揮によって演奏された。写真はその時の楽譜と、手作りの台本。
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『はだか』
谷川俊太郎 詩 佐野洋子 絵
筑摩書房 ¥2,310

ことばの力と奥行きを伝える、ひらがな詩の最高傑作。身近な人やものを題材に、子どもの心の機微をストレートに表現した36作目の詩集。絵は当時の妻、佐野洋子が担当。

そのときひとりでいいから

すきなひとがいるといいな

( 「とおく」より )

 

「谷川さんの詩は好きでいつも読んでいましたが、好きだから朗読もできるというわけではないことに気づかされました。最初は本当に棒読みになってしまって悩んでいたんですが、オーケストラのみなさんの演奏を聴いたり、音楽監督の佐渡裕さんに指導していただいたりしていくうちに、少しずつ、こうやって読むといいという感覚がつかめるようになって、それまでと詩の見え方も変わっていきました。朗読した中でいちばん心に残ったのは、最後に読んだ『とおく』の“そのときひとりでいいから〜”の部分。遠く離れた未来に対して、希望を抱くイメージで終わる感じが好きでした」

これまでは、詩を通して自身の想像力を自由に飛躍させながら、自分だけの解釈を楽しんできた白鳥さん。彼女は朗読という経験を通して、他者と共有したイメージを自分の語りで表現するという、詩世界との新しい向き合い方を学んだ。この経験は、表現者として生きる彼女に、多くの気づきをもたらしたことだろう。

詩、絵本、歌、翻訳、心に響く”ことば”のすべて
『みんなの谷川俊太郎』
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Pen 2023年7月号 ¥880(税込)

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