「ほとんど重さゼロ」商品を好きなだけ持ち帰れるEVカートで、買い出しが変わる⁉︎

  • 文:青葉やまと
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毎日の楽しいショッピングが、さらに快適になるかもしれない。英ブリストルの学生チームが、自転車やキックボードで牽引する買い物用カートを発明した。英BBCが報じている。

スーパーや近くの商店街で買い物をしていると、ついつい何でもカートに放り込んでしまうものだ。レジを通してみたはいいものの、何袋にもなったレジ袋にびっくりした経験は誰にでもあるだろう。

持ち帰りの問題を解決するため、まとめ買いで膨らんでしまった買い物を一挙にカートに入れて持ち帰るというシンプルなアイデアが登場した。

大きなカートがあれば、自転車での買い物も思いのまま

同大学修士課程のSlantと呼ばれる学生ビジネスチームは、特大サイズの亀の甲羅をひっくり返したようなカートを考案した。車輪が付いており、電気モーターで駆動するEV式だ。

自転車やキックボードの後部に取り付けて牽引することで、両手で抱え切れないほどの大量の荷物を持って帰ることができるという。チームは、徒歩で引くことも可能だと説明している。

チームによるとこのカートは、搭載のモータのおかげでほぼ「重さを感じない」という。いつもより大容量の買い物を、通常よりもずっと楽な力で持ち帰ることができるとなれば、日々の買い出しの強い味方になりそうだ。

年間45億回の買い物を、ラクで環境にも優しく

BBCによるとチームは、自動車で買い出しに向かう環境コストを削減したいと考えたようだ。イギリスでは自宅とスーパーとの往復が年間累計45億回も発生しているという。

車ではなく、代わりに自転車やキックボードとこのEVカートを活用することで、「気の遠くなるような数」の車移動を削減できるとチームは考えている。車でスーパーへ出向けば、せいぜい重さ数キロの買い物を運ぶために、重さ1トン近い自動車が移動していることになる。対する本EVカートは、これよりも軽量だ。

イギリスではすでに、レジ袋有料化を受け、その使用量が95%削減されている。商品を直接カートに詰め込むことで、さらに抑えることもできそうだ。

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大学のビジネスコンペを勝ち抜く

このアイデアはブリストル大学のビジネスコンペで提案され、優秀賞を勝ち取った6案の1つに選ばれた。優れた案を表彰し、賞金1万ポンド(約170万円)がチームに贈呈されている。チームは今後、シード資金の調達を行う。

もちろん、天候やスーパーまでの距離によっては、車の方が適している場面もありそうだ。とはいえ、手持ちの自転車やキックボードを運搬車両に早変わりできるこのカートは、今までになかったアイデアではある。

環境問題を抜きにしても、毎日のショッピングをより気兼ねなく楽しめるようになるメリットは大きそうだ。

スーパーでの試験展開を計画中

チームは今後数ヶ月をめどに、スーパーとの提携を模索しているという。試験的に導入し、対象店舗に配置して貸し出してもらいたい考えだ。構想では利用後、スーパー従業員に回収を依頼することも可能になるという。

利用料金は平均で4ポンド(約690円)程度になるとチームは見込んでいる。まだ量産前ということもあってか、価格については多少の割高感も否めない。チームは、スーパーへの往復にタクシーを利用するよりは割安だと説明している。

試験導入が好評を博したならば本格的な展開が行われ、より手頃な料金で日常利用できる日も来るかもしれない。