京都を拠点にグローバルな活動を展開し、数々の展示を通じてフランスの文化芸術と日本を接続してきた彫刻家・名和晃平。そんな彼の新作大型彫刻《Ether(Equality)》が、2023年6月28日にフランス・セーヌ川の中洲に浮かぶセガン島に誕生する。
セガン島ではフランスの新たな文化の中心地を目指した再開発が進んでいて、2017年には建築家・坂茂の設計によって音楽総合施設「ラ・セーヌ・ミュジカル」が完成。そうした一環として、2019年に「égalité(平等)」をテーマに大型モニュメント作品を展示する国際コンペティションが開催された。名和はフランスのデジタルアートを牽引するDANAE.IOとタッグを組んで《Ether(Equality)》を提案。世界中から集まった35作品の中から選出された。
《Ether(Equality)》は25mもの高さを誇り、薄いシルバーピンクに輝くステンレスの彫刻は十二角形をベースとした多面体で構成。地面に落下するさまざまなフォルムの雫が視覚的なリズムを生み出し、セーヌ川を伝ってあらゆる方角へと響きわたっていく。それはさながら、地球上のあらゆるものにはたらく重力とそのハーモニーが奏でているかのようだ。
背後に建つラ・セーヌ・ミュジカルの多面球ドームと呼応して、まるでセガン島を導く道標のようにそびえ立つ《Ether(Equality)》。セーヌ川の新たなシンボルの歴史がここから始まる。