「ドアが開かない!」通勤ラッシュ時にロンドンの地下鉄で乗客がパニック…車内に煙が立ち込め

  • 文:松丸さとみ
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The Telegraph-Twitter

チャールズ国王の戴冠式を前日に控えた英ロンドンで、ラッシュアワーの地下鉄車内に煙が立ち込め、乗客がパニック状態になる出来事があった。

5月5日の午後5時45分ごろ、ロンドン中心部を通って南北につなぐノーザンラインで、電車がクラパム・コモン駅に到着したところ、一部車両に煙らしきものが立ち込めた。ところが車両の扉が開かず、車内はパニックとなった。

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煙が立ち込める車内…乗客は窓を破って脱出

テレグラフのYouTube動画では、約14秒目以降、車内がパニックになっている様子が捉えられている。車内には煙のような白っぽいものが漂い、乗客が必死にドアを開けようとしているが開かず、「ヘルプ!」と叫ぶ声や泣きそうになっている声も聞こえる。

ツイッターユーザーのJake Sharpさんは、車外から撮影した動画をツイッターに投稿した。男性がハンマーのようなもので窓ガラスを割り、そこから人々が出てくる様子が収められている。Jakeさんは、「クラパム・コモンで電車内に閉じ込められた。車両には煙が立ち込め、ドアは開かないし、プラットフォームで作業してくれた人がいなかったら、外に出られていなかったよ!」と書き、地下鉄を運営するロンドン交通局(TfL)をタグ付けし、「恥を知れ!」と続けた。

Jakeさんのツイートには、TfLの公式アカウントからリプライが付いており、ロンドン消防隊が対処し、出火はなかったことは確認済みで、現在調査中だと説明している。

TfLの広報担当者がスカイニュースに説明した話では、原因は欠陥車両からのブレーキダスト(ブレーキをかけた際に発生する摩擦で表面が削れて生じる鉄粉)である可能性があるという。このダストが煙のように見え、燃えていると誤解されることはよくあるとしている。

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過去の悪夢も…

BBCによると、ロンドン消防隊が現場に到着する前に、乗客500人が電車から脱出した。けが人の報告はないという。BBCはまた乗客の話として、「煙のにおい」がして、「(電車から)下りろ!」と叫ぶ声や窓を叩く音が聞こえたと伝えている。

幸いにも、今回は火災もなくけが人も出なかったが、パニックする車内の様子を見て、ロンドン地下鉄で発生した過去の悪夢を思い出した人も少なくなかっただろう。

ロンドンでは2005年7月7日、朝のラッシュ時にロンドン地下鉄の3駅とバス1台の合計4カ所がテロ攻撃により同時に爆破され、52人が死亡する痛ましい事件が起きている。

また1987年11月18日には、ロンドン地下鉄のキングス・クロス駅で火災が発生し、31人が犠牲になった。事故の2年前までは地下鉄駅構内で喫煙が許されており、禁煙となった事故当時も駅で喫煙する人が絶えなかった。喫煙者が火の付いたマッチ棒を落としてしまい、それが当時木製だったエスカレーターの隙間から下に落ち、またたく間に燃え広がったという。

ロンドン消防隊によるとこの1987年の事故は、歴史を変えるほどの「ロンドン地下鉄史上最悪の事故」と呼ばれている。これをきっかけに、木製のエスカレーターが廃止され、地下鉄内での喫煙は全面的に禁止となった。

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テレグラフによる動画

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Jake Sharpさんのツイッター

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2005年7月にロンドン地下鉄とバスで発生した同時爆破事件。BBC-YouTube

 

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1987年のキングス・クロス駅火災事故当時の報道

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