昨今の気候変動や環境保護への取り組みから、消費者の環境問題への意識が高まっている。パンデミックによって古着やリサイクルが再注目されているが、アメリカでも身近なところから消費者が参加できるリサイクルのプログラムが広がっている。リサイクルは今に始まったことではないが、下着や化粧品のボトルなど、洋服だけではないリサイクルのシステムが広がっていることにも注目したい。
---fadeinPager---
下着のリサイクルも当たり前の時代に?
「ユニクロ」や「H&M」、「ZARA」などファストファッションチェーンは、ファストファッションという環境保護に逆行した商品を作っているという一般的なイメージを理解してか、早い段階から店頭などでのリサイクルプログラムを徹底してきた。そのため、これらの店舗でのリサイクル回収ボックスはアメリカでは一般的に浸透してきているが、日本でも同じではないだろうか。
筆者が個人的に驚いたのは、下着のリサイクルだった。サステナビリティ、ダイバーシティー&インクルージョンを掲げるランジェリーブランドの「パレード」は、下着のリサイクルを行っている。パンデミック前まではマンハッタンのSOHOに路面店を構えていて、残念ながら現在はリアル店舗をクローズしてしまったのだが、店頭に下着回収ボックスが設置されていた。対象となる下着はブラジャーやキャミソールなどだけだと思っていたが、ショーツもOKだったので驚いた。
現在ではオンラインから回収キットを取り寄せてリサイクルをできるようになっている。下着をリサイクルする理由に関しても、地球に優しいことはもちろん、「元彼との思い出の下着にさよなら」など、女性なら誰もが共感しそうなメッセージもユニークだ。イメージビジュアルのボディポジティブの打出しや、メンズモデルのランジェリー着用など、体型や性別に捉われない、常に斬新な発信を行っている「パレード」らしい。
他にも2018年にニューヨークで創業した「ハンキーパンキー」は12年以上に渡り、繊維工場から出る繊維廃棄物のリサイクルを行ってきた実績を持っており、ランジェリーのリサイクルを手がけている。こちらのブランドもオンラインよりシッピングキットを請求するシステムになっているが、ショーツもリサイクル可能だ。
地球に優しい選択ができるなら消費者はアイテムにこだわらない。洋服だけでなく、化粧品の空き容器の店頭リサイクルも徐々に広まっている。「ジ・オーディナリー」の店頭には容器のリサイクルボックスが設置され、「サックス・フィフス・アベニュー」や「ノードストローム」などの大手百貨店の一部店頭でも化粧品の空き容器の回収ボックスが設置されるなど、各社でリサイクルの動きが活発化している。
再生プログラムのキーマンはテラサイクル社
大手百貨店や大手SPAでもリサイクルの動きは少しずつ広がっているが、こうしたリサイクルプログラムの背景にはキーとなる会社がある。前述した「パレード」や「サックス・フィフス・アベニュー」、「ノードストローム」のリサイクルプログラムはすべて、ニュージャージーを拠点とするテラサイクル社とパートナーシップを組んでいる。過剰な使い捨て文化によって引き起こされた環境汚染に警鐘を鳴らし、「捨てるという概念を捨てよう」をスローガンに、自社リサイクルプログラムのソリューション提供や小売店でのリサイクルプログラムの展開、地域に根ざした回収拠点の提供などを行っている。
現状、多くの小売店のリサイクルプログラムが、テラサイクル社との提携により成り立っているのだ。また、同社はLOOPというパッケージプログラムを行っている。このプログラムは従来使い捨てされていたシャンプーの容器など日用品のプラスチック容器を、ガラスなどの耐久性のあるものに変え、繰り返し利用できるようにするという商品提供システムだ。日本でもイオンなどの店頭でLOOPの容器回収が行われている。
今後、下着や化粧品容器のリサイクルも当たり前になってくるのだろう。
文:菅礼子
---fadeinPager---
パレード
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
ハンキーパンキー
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---