テーマはタンゴ。ラテンアメリカにルーツを持つ写真家のマジカルな描写に酔いしれて

  • 文:中島良平
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「タンゴ・コンフュージョン」シリーズより ©︎Daniel Machado

東京・日本橋本町の太郎平画廊を会場に、写真家ダニエル・マチャドの個展『Tango×3(タンゴ・ポル・トレス)』が5月3日まで開催されている。アルゼンチンやスペインで暮らした経験もあり、現在は日本を拠点とするマチャド。複合的な文化背景を持つことで多角的な視点が養われ、幼い頃から親しんできたタンゴというモチーフが、ノスタルジックでありながらもシュルレアリスティック、マジックリアリスティックな雰囲気を備えて視覚化される。

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「タンゴ・コンフュージョン」シリーズより ©︎Daniel Machado

 3シリーズより作品を展示。個性的なダンサーが他のジャンルの動きを取り入れて踊り、模倣、反復されてひとつのスタイルができあがっていくニュータンゴの世界観を、一種のパロディとして表現した「タンゴ・コンフュージョン」。タンゴダンサーの官能的な脚と、タンゴ音楽を奏でる楽器バンドネオンで構成される「脚とバンドネオン」。脚と楽器が一体化したオブジェのような美しさを醸し出す。そしてもうひとつが、「音楽ラッキーホール」。蓄音機とレコードと女性モデルが配置された、シュールで遊び心あふれる作品だ。

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ともに「脚とバンドネオン」シリーズより ©︎Daniel Machado
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「音楽ラッキーホール」シリーズより ©︎Daniel Machado

アートをはじめ、あらゆる分野で他ジャンルから表現を取り入れたハイブリッド化が進んでいるが、それはタンゴも同様で、クロスオーバーな現代社会のあり様が反映されている。ハイブリッド化による新しさと同時に、クラシックなタンゴの世界観も漂わせたマチャドの視覚表現。エロティックでノスタルジック、コミカルでもあるマチャド独自のタンゴの世界に酔いしれてみてはいかがだろうか。

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「音楽ラッキーホール」シリーズより ©︎Daniel Machado

ダニエル・マチャド展『Tango × 3(タンゴ・ポル・トレス)』

開催期間:2023年4月14日(金)〜5月3日(水)
開催場所:太郎平画廊
東京都中央区日本橋本町1-7-12日本橋太郎平ビル
TEL:
開廊時間:12時〜19時
休廊日:日・月・火曜
入場無料
https://tarohei-gallery.com/2023/04/12/tangox3/