部屋のドアは閉める、「簡単すぎる」でOK...自重トレの「神」が語る「プリズナートレーニング」の真髄

  • ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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AzmanL-iStock

<多様な選択肢は邪魔、関節を傷めず肉体強化。必要なのは、自分の力とその能力を最大限に発揮するための心と体だけ。ポール・ウェイドに聞く、継続するための秘訣と心得>

日本でも定着した「自重トレーニング」。そのきっかけは2017年に出版された『プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』(CCCメディアハウス)だった。それから約6年、その図解版となる『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』が刊行された。ポール・ウェイド氏に「プリズナートレーニング」の魅力を聞く。

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──「自重トレーニング」という言葉が日本でも定着しました。「プリズナートレーニング」の魅力について、改めてうかがえますか?

ウェイト、マシンなど、特別な器具は一切要らない。必要なのは、自分の力とその能力を最大限に発揮するための心と体だけだ。そういった純然たるいにしえのキャリステニクスが、揺るぎない魅力の核心だと思っている。

──アメリカでは自重トレーニングはいつ頃から人気があったのでしょうか?

本書のメソッドはとても古く歴史は長い。少なくとも2世紀前には存在していた。囚人による筋力トレーニングについては、『レ・ミゼラブル』で知られる、フランス人作家ヴィクトル・ユーゴーも19世紀半ばにはすでに作品の中で言及している。

また、第一次世界大戦中に収容された囚人がこの手法でトレーニングを行っていたという記録もある。私の師匠は、1950年代にサン・クエンティン(刑務所)でこれらの技術を習得した。

自重トレーニングは、現代のフィットネス界で主流となっているウェイト、器具、ステロイドなどという狂気からは完全に切り離され、昔ながらの手法がそのまま保持されている。

20年の監獄生活を終えて私が『プリズナートレーニング』を執筆したのは2008年だった。その時初めてフィットネス界がこのメソッドに着目し、それから爆発的な人気となった。したがって、ここアメリカで有名になったのもごく最近のことだ。

──「プリズナートレーニング」はかなりハードなトレーニングであることは間違いありません。継続するために心がけていることや秘訣、座右の銘などを教えてください。

現代人は選択肢が多すぎる。しかし、囚人にはその選択肢がないからこそ、コンディションを整えることができる。このいにしえのメソッドを本当にものにしたいのであれば、まずは「囚人マインド」を培う必要がある。

そのためにもトレーニング中は部屋のドアを完全に閉め、自分の中に閉じこもってほしい。そして「トレーニング以外に強くなる選択肢はない」と自分に言い聞かせるのだ。明日、いかなる試練が待ち受けているかわからない。これは老若男女問わず、誰でも共通している。トレーニング以外に選択の余地はない!

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──「プリズナートレーニング」でポール・ウェイドさんご自身が変わったことは何でしょうか? または読者から寄せられる声などうかがえますか。

ウェイトトレーニングや激しいスポーツによって怪我をしたアスリートからは、「生まれ変わった」「怪我を治しながらも、力をつけることができた」という声をたくさん聞いている。

自重トレーニングでは自然な人間の身体の動きを伴うため、他のトレーニングのように関節にダメージを与えることはない。多くのウェイトリフティングの選手は怪我で身体がボロボロになるが、年齢を経ても強く、パワフルで居続けることができる。

私自身、「プリズナートレーニング」に人生を救われた。私は非常に夢中になりやすい人間だ。したがってこのトレーニングに出合わず、他のトレーニングを続けていたら、今頃生きてはいなかっただろう。それだけは確信している。

──あなたにとって、トレーニングの楽しみは何でしょうか? または最初は苦手でも克服したり、得意になったトレーニングはありますか?

誰もが各々に異なる才能や能力があることに気づくだろう。私の師匠であるジョー・ハーティゲンは、鉄扉の角からぶら下がるエクササイズに夢中だった。毎日何時間もぶら下がっていたため、70歳を過ぎても背中と前腕の筋肉、そして鉄のピストンのような指を持っていた。

私はワンアーム・ハンドスタンド・プッシュアップが好きだ。逆立ちのやり方を覚えて40年経った今でも、毎日やっている。しかし、私は背が高いためワンレッグ・スクワットは難しく、スクワットは苦手だった。しかし、今では習得している。いかなるエクササイズであっても、時間さえかければ高度なレベルまでマスターできる。

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ワンアーム・ハンドスタンド・プッシュアップ『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』218頁より

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──今回の新刊『完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて』は図解版のため、自重トレーニングに初挑戦する人にとってもわかりやすい内容と思います。初心者の方に気を付けてほしいポイントはありますか?

自重トレーニングで絶対的に大切なことは「力を蓄える」ことだ。つまり、ゆっくりと段階を上げていくことでバランス、筋力、筋肉がついていく。そうすることで難しいエクササイズに取り組んだときに後から役立つ。

もちろん、急速にトレーニングすれば強くはなる。しかし、それでは筋肉はあまりつかない。私のトレーニング方法では体を強くしながら筋肉もつけていくというように、両方を鍛えることができる。

自分に合うエクササイズを見つけ、時間をかけてレップ数を増やし、たとえそれが「簡単すぎる」と思えても、そこから得られるものをすべて引き出してほしい。そして、今の自分にとって少し難しいと思うようなエクササイズに段階を上げ、それを繰り返していくのだ。

──今回は図解版なのでトレーニングの用語に疎い、女性も挑戦しやすくなると思います。女性へのメッセージや注意点などを教えてください。

女性はエアロビクスやヨガ、ダンスなど、器具を使わないトレーニングに慣れているため、自重トレーニングも理解しやすいだろう。バーベルやダンベルのような器具を必要としない、自分の体と心だけを頼りにした自立したトレーニングをぜひ学んでほしい。

──「自重トレーニング」という言葉を今回初めて知る読者もいると思います。最後に日本の読者に新刊やトレーニングに関して、メッセージをいただけますか?

日本には身体トレーニングや武道という素晴らしい歴史があるため、日本で拙著を出版することは長年の夢でもあった。日本人はそういった歴史・文化的背景を持っていない欧米人よりも私のメソッドに早く馴染み、完璧に理解してくれることを確信している。

今回、図解版という形で新刊の出版が実現したことは、大変光栄だ。出版社をはじめ、私のメソッドを取り入れてくれるすべての方に心から感謝を申し上げる。

このトレーニングを探求し、「あと一回、もう一回」と自分を深く追い込むと、これまで想像していなかったような強く、新しい自分に生まれ変わっていることだろう。私はその精神に寄り添い、いつもそばで励ましている。さあ、自分を〝閉じ込め〟!

特設サイト:『プリズナートレーニング』全シリーズ(※ポール・ウェイド氏からのコメントおよび関連記事を公開中)

 

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 完全図解版 プリズナートレーニング 自重力で筋力を作る方法のすべて
 ポール・ウェイド[著]
 山田雅久[訳]イワイヨリヨシ[イラスト]
 CCCメディアハウス[刊]


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※この記事はNewsweek 日本版からの転載です。