ピエール・アルディ×河原シンスケ、パリを拠点とするふたりのコラボが心を躍らせる理由とは?

  • 文:一史

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コラボコレクションをともにつくった、シューズ&バッグデザイナーのピエール・アルディ(写真左)とアーティストの河原シンスケ。GINZA SIXでのポップアップストアにて。

付き合いの長いパリ暮らしの友人同士がタッグを組んだらどうなるか。そのひとつの答えがここにある。フランス人と日本人のふたりがともに好きな共通ジャンルは、アートとファッション。ひとりはエルメスのシューズも手がけるベテランのシューズデザイナー。ひとりは1980年代にパリに渡り日本の感性に根ざすアーティスト。親密なコラボレーションで、ポップな絵柄のコレクションができあがった。

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コラボコレクションの一部。写真右のシューズ ¥100,100(税込)、左のシューズ ¥110,000(税込)、手前のTシャツ 各¥11,000(税込)。

コラボコレクションを記念して東京・GINZA SIXで3月に行われたポップアップストアに、デザイナーのピエール・アルディ(以下、ピエール)と、アーティストの河原シンスケ(以下、シンスケ)が揃って訪れた。いつもにこやかなピエールが、シンスケのシンボルであるうさぎ図案を手に取りさらに笑顔に! 彼が友人とのコレクションに込めた思いを語った。
「あたかも子どもがスニーカーやバッグに落書きしたかのような、ドリーミーな世界です。純粋にものごとを楽しむ心を思い出させるコレクション。ポップカルチャーの文脈に属するものです。シンスケとわたしの作風は正反対。だからこそ一緒にモノづくりする意味があるのです」
各アイテムには、自由奔放に絵や言葉が踊っている。ふだんシックな服装を選ぶ大人の男性なら、あまり目を向けないデザインかもしれない。ピエールはそうした気持ちを承知のうえで、あえて大胆な提案をしてきた。子どもの頃に立ち返り、凝り固まった頭をほぐしてくれるファッション。アイテムのベースは自身の名を冠したピエール アルディ(PIERRE HARDY)の定番品で、絵柄はパリで認められたアーティストの作という上質な組み合わせである。大人こそ愛すべき、毎日をともに過ごせるアートピースだ。

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手前の黒サンダル ¥78,100(税込)、チャームつきショルダーバッグ ¥96,800(税込)

シンスケがデザインのプロセスを次のように語った。
「絵をピエールに渡して、あとはおまかせです。この部分にこう入れたいという話はしましたが、ふたりの日常的な会話での制作。できたアイテムを初めて見たとき、一発OKと思える完成度の高さでした」
互いに長年の信頼関係があるからこそのやり取りだったようだ。シンスケのうさぎの絵は、鳥獣戯画など日本の古典的漫画絵を彷彿させるもの。彼がこれらや花鳥風月に影響されたのは、パリに渡ってからのこと。
「当時はパリのシャルル・ド・ゴール空港の滑走路(の脇)がまだ草むらで、うさぎがたくさんいたんです。その記憶がずっと残ってます。ヨーロッパの中世の絵にも日本の絵にも描かれているほど、うさぎは世界のどこにでもいる動物。特別じゃないのにとても自由な存在でもあり。パリに来た異国の自分がのちに日本のよさを再発見していくとき、両者の狭間にいるうさぎがモチーフになったのは自然な流れでした」

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若かりし頃はダンサーとしてコンテンポラリーバレエ団に所属、イラストレーターからデザイナーのキャリアをはじめた才人のピエール・アルディ。

 

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武蔵野美術大学を卒業後に渡仏したマルチアーティストの河原シンスケ。ピエール・アルディとのコラボは20年の初回に続き、今回で2回目。第1回はオーダーメイドでの手描きサービスを行った。

ふたりの出逢いはシンスケが運営していたサロン的なレストランにて。15年以上前のことである。近くに住んでいたピエールが足繁く通い交流が深まった。前衛的な試みをしていたこの店で、日本への関心を深めたのかもしれない。それまで彼が抱いていた日本のイメージは、ヨーロッパのファッション業界人らしいものだった。
「ブランドですとヨウジヤマモト、イッセイミヤケ、カンサイヤマモト……。80年代の印象が強いです。映画はオズ(小津安二郎監督)、ミゾグチ(溝口健二監督)。音楽だとサカモト(坂本龍一)でしょうか。もちろん浮世絵などのジャポニズムには関心がありました」
ピエールは学生時代にファインアートを専攻し、美術や建築分野に造詣が深い人物。感性のベースにあるのはミニマルアートや、3D的なオプティカルアート。インテリアや建築ならドイツの芸術運動バウハウスに夢中だったそうだ。「自分が本当に好きな世界を皆さんにお伝えして、コミュニケーションしていくのがピエール アルディの役割」という。
ピエールのシャープで幾何学的な作風を「冷」とするなら、柔らかな手描きによるシンスケの絵は「温」だろう。今回のコラボレーションは、ピエール アルディに確かな体温が宿った瞬間の記録でもある。単にファッションとしてポップなシューズを履き、バッグを斜めがけして生活するだけでも十分に楽しい。その一方で作品の奥に込められたストーリーを思い浮かべると、また違ったモノの見え方が生まれてくる。

PIERRE HARDY TOKYO

www.pierrehardy.co.jp

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【画像】ピエール・アルディ×河原シンスケ、パリを拠点とするふたりのコラボレーションが心を躍らせる理由とは?

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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