隈研吾「商店街の歴史と未来を繋ぐ架け橋を」、東村山の商店街で築52年の空き店舗をデザイン

  • 文:Pen編集部

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隈研吾建築都市設計事務所が築52年の空き店舗をデザイン監修した「和國商店(わくにしょうてん)」の新店舗が2023年秋、東京・東村山市の青葉商店街で開業する。

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今秋オープンする和國商店のイメージ ©隈研吾建築都市設計事務所

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和國商店は、屋根や外壁などの板金を手掛けるウチノ板金の工芸品ブランド。板金の折鶴は海外のファンも多く、日本文化とともに板金技術を海外に伝える活動なども行っている。

青葉商店街は約60年の歴史をもつが、現在は以前ほどの活気はない。幼少期に青葉商店街で育ったウチノ板金の代表・内野友和が、この商店街の文化を活用し、地域活性、職人不足・技術継承などの様々な問題を解決したいという想いから、今回のプロジェクトがスタートした。

建設予定の店舗は「循環」をテーマに、隈研吾のデザインとウチノ板金の建築板金の技術を掛け合わせられ、外壁には板金が用いられる。設計・施工は自然素材で高性能住宅の建築を得意とする岡庭建設が担当する。 

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(左から)ウチノ板金 内野友和、隈研吾、岡庭建設 専務取締役 池田浩和

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隈研吾 コメント
「僕は日本の板金の技術は世界一だと思っています。その世界一の日本の中でも、飛び抜けた技を持つウチノ板金の職人技術を世界にアピールしながら、青葉商店街再スタートの象徴となるような建物をデザインしようと思いました。商店街ならではの建築スケールを残しながら、ファサードから家具まで様々なスケールを板金で製作することで、かつて賑わっていた商店街の歴史と、新たな商店街の未来とを繋ぐ架け橋をつくります。普段屋根や外壁で目にしている板金にはこんな使い方があるんだ、と驚いてもらえるような空間になります。東村山の子どもからお年寄りまで、みんなが気軽に立ち寄れる街のカフェとして、人々に愛され続けるコミュニティの場となることを願っています」

池田浩和(岡庭建設)コメント
「僕は工務店として職人集団としてのウチノ板金と共に様々な建築を共にし、磨き抜かれた板金技術を長年にわたり目にしてきました。その職人技術をより今後の成熟社会に活かしていくために、今回はあえて既存の建築物再生(リノベーション)に挑戦しています。築年数が経過した建物は見え隠れや、想定と異なることも多く設計も施工も技術を要します。象徴的な建築デザインと性能向上にも挑んでいくので、より高い板金、職人技術が不可欠です。だからこそ、建築家・板金職人・地域工務店、高い技術を結集し、想いの具現化にかけたエネルギーが商店街や地域に伝承されていくことでしょう。そして『建築』と『場』から商店街の活性化を願うと共に、今後もその活動と歴史を応援し続けていきたいと思います」