ツルの恩返し…ケガを救った男性と親友になり、昨年から「決して離れない」

  • 文:青葉やまと
Share:

ことばを交わせないヒトと動物とのあいだであっても、不思議なほど深い友情が育まれることがある。男性がケガをしたツルを助けたところ、ツルは決して男性の元を離れようとしない——。そんな心温まるニュースがインド南部から舞い込んできた。

イギリス民間放送のITVは、もう1年以上も両者の関係が続いていると紹介し、「類い希なる友情」「このツルは飛び去るのではなく共にいることを選択し、家族の一員になった」と報じている。

インド放送局のニューデリー・テレビジョンによると、完治して再び大空を飛べるようになってからも、深い友情関係が続いているという。

---fadeinPager---

希少な光景、スクーターにツルが大空から併走

ツルを助ける善行を行ったのは、インド南部に住むアワニッシュ・シャランさんだ。政府機関のインド行政サービスに務めるシャランさんは、昨年のある日、脚の折れた野生のオオヅルを見つけて保護した。

傷を手当てし、食べ物と水を与え続けたところ、1ヶ月ほどで立てるようになったという。完治してからというもの、ツルは恩義を感じてか、どこに行くにもシャランさんのあとを飛んで回っているようだ。

シャランさんは自身のTwitterにて、ツルと暮らす日常の光景を動画で公開した。スクーターで田舎道をゆくシャランさんを、後ろから捉えた映像だ。シャランさんはこのツルに特段名前を付けていないが、オオヅルを意味する「サルース」と呼んでいる。

小気味よい走行音を響かせながら砂道を快走するシャランさんの真後ろを、大きな翼をはためかせたサルースが迷いなく追いかけている。高さを自在に操りながらどこまでも追ってくるその様子は、まるでのどかな農村部の散歩を一緒に楽しんでいるかのようだ。

---fadeinPager---

一緒に楽しむ旅路は、ときに30キロ以上にも

シャランさんがサルースを軽く振り返って左手を伸ばすと、サルースはシャランさんの操るスクーターの左横に場所を移し、真横を併走しながらシャランさんの視線の高さに合わせて悠々と飛び続ける。

動画は1分ほどの短さだが、お互いを完全に信頼しきっている様子が画面越しにはっきりと伝わってくる。現在までに28万回以上再生され、1万7000以上の「いいね」が寄せられた。サルースはスクーターとの散歩が気に入っているようで、最大で30〜40キロほどもついてくることがあるという。

別の動画では、サルースと並んで飛ぶ光景がスクーターの上からの迫力の自撮りで収められている。サルースの脚が頭に触れようかというほど接近した瞬間には、シャランさんもさすがに驚いた表情を見せる。サルースにしてみれば、新しくできたとびきりの友人への、ちょっとしたいたずら心だったかもしれない。

---fadeinPager---

束縛しないというシャランさん、「友情には自由が必要」

ツルは本来、警戒心の強い動物だ。しかし、辛抱強く手当を施した甲斐あって、現在ではシャランさんにとてもよく懐いている。翼長2メートル40センチほどの巨大な翼を自在に操り、どこへ行くにも一緒だ。

翼を休めるひととき、シャランさんがパンをちぎって差し出すと、サルースは迷うことなくシャランさんの手から直接クチバシでついばみ、おいしそうに飲み込んでゆく。

背中をなでても逃げるそぶりは一切見せず、心の底から仲間だと認めているかのようだ。散歩を一緒に楽しむシャランさんだが、あまり干渉しすぎないようにも気を配っているという。

英タイムズ紙に対し、「友情には自由が必要です。彼は自由に飛び回れますし、私たち(家族)が束縛することはありません」と語る。日によっては遠くへ飛び去ってしまうこともあるが、日暮れまでには必ず「帰宅」するのだという。

---fadeinPager---

「治れば飛んでゆくだろうと……」良い意味で裏切られた予想

オオヅルはツル科最大の種であり、全長は150センチ超にも及ぶ。全身はグレー系統の羽毛で覆われ、頭部からクビにかけては赤い色の皮膚がじかにみられる。インドから東南アジアを中心に分布する。

その性格は本来、鳥類の中でもかなり攻撃的な部類に入るとされる。クチバシを使って相手を傷つけることがあるほか、全長と同じく鳴き声も非常に大きい。そんなオオヅルを助けようとしたシャランさんの勇気ある行動が、稀な友情物語のきっかけとなった。

シャランさんはITVの取材に対し、治療の経緯を次のように振り返っている。「草原に座っている彼(サルース)を見つけました。ケガを負っていましたので、家にあった薬で手当をしました。治れば飛んでゆくだろうと私たち家族は考えていたのです」

「けれど、そうではありませんでした。友人同士になったのです。」

 「100%離れることはない」

ニュースはインド中を駆け巡り、シャランさんは一度に5つのTV局のインタビューを受けるほどの時の人となった。

シャランさんは英タイムズ紙に対してこう語る。「私の元を離れることはないと、100%確信しています。もし離れたとすれば、心が痛むでしょうが、そうはならないと感じています」

基本的にオオヅルは渡りを行わず、ひとつの地域に留まる習性がある。インドやイギリスに笑顔をもたらした、シャランさんとサルースのめずらしい友情関係。1人と1羽の物語は、これからも長く続くことになりそうだ。

関連記事

---fadeinPager---

希少な光景、スクーターにツルが大空から併走

---fadeinPager---

一緒に楽しむ旅路は、ときに30キロ以上にも

---fadeinPager---

束縛しないというシャランさん、「友情には自由が必要」

---fadeinPager---

---fadeinPager---

---fadeinPager---

@mk_gabbar arif gurjar bhai ka dost sabse pyara he #gujarati #mkteam_ #duet ♬ Udte Badal Se Pocho - 𝐒𝐀𝐌🇫🇷

---fadeinPager---

@itvnews An unlikely friendship blossomed between a man and a #crane after he healed the wild bird's broken leg using mustard and turmeric #itvnews #animals ♬ original sound - itvnews

---fadeinPager---

---fadeinPager---

---fadeinPager---

---fadeinPager---