NFTアートとパリの美術界をつなぐ辣腕プロデューサー

NFT、Web3、ブロックチェーンなど、デジタルアートに関する言葉を耳にすることが多くなった。パリを舞台にデジタルアート界を動かしているのが、ダナエ社。デジタルの世界をギャラリーや公共の美術館、コレクターなどとつなぎ、革新的なアート体験をデザインできるように支援する。ダナエ社の成長に貢献しているのが5年目のCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)のマルゴ・サンズだ。
そんなサンズさんの仕事は多岐にわたる。たとえば今年、パリの西にあるブローニュ・ビヤンクールのセガン島に完成する名和晃平のモニュメント作品『ETHER(平等)』の制作にも関わり、デジタルと現実の世界を行き来しているのだ。
平日のオフィスにおける仕事は、彼女の仕事のほんの一部でしかない。アーティストと打ち合わせをしたり、ギャラリーやイベント会場、制作現場へと足を運ぶサンズさんの足には、パリにおけるコンパクトカーの代名詞「ルノー ルーテシア」がよく似合う。我々が用意した最新モデルのE-TECH FULLHYBRID仕様のハンドルを握って、オフィスのあるパリ1区から、マレ地区、そしてサン・ジェルマン・デ・プレへの細い路地を軽快に走り抜けた。
「デジタルアートは架空の存在のように思われがちだけれど、そのあり方はさまざま。それまで造形をしていたアーティストがデジタルをツールにすることもあれば、デジタルからスタートしたアーティストが他の表現をすることもあります。ギャラリーや美術館、批評家やコレクターなどとの関係はいままでのアートと同様にとても大事なんです」とサンズさん。自ら美術史を学びアートマネジメントの仕事をしてきただけに、デジタルになってもアート界とのパイプ役としての責任は変わらない。
1.サン・ジェルマン・デ・プレの有名画廊での打ち合わせ

取材日は、ギャラリーが林立するサン・ジェルマン・デプレの美術学校近く「ギャラリー・ベルテ・アイトゥアレス」のオーナー、オディール・アイトゥアレスとの打ち合わせが最初の仕事。1987年に創立したギャラリーはピエール・ボナールやアンドレ・ドランら近代絵画の巨匠から、現代の作家が所属。アイトゥアレスさんはアンドレ・マルファンやジャン・ドゴテックスといった死後忘れられていたアーティストを再発掘する審美眼をもっており、ギャラリーの個性を際立たせている。

コンピューターアートのパイオニアとして知られる99歳の女性アーティスト、ヴェラ・モルナールも所属するこのギャラリーと、最新のアート界を結んだのもサンズさん。定評のあるギャラリーでアーティストとコレクターをつなぐことによってウィンウィンのコラボレーションが生まれている。デジタルアーティストであるアントワーヌ・シュネックとユーグ・エルヴェがその例だ。
最新のアート情報から女性の生き方まで、サンズさんとアイトゥアレスさんとの話は尽きることがない。今日は、ギャラリー前に路上駐車した真っ赤なルーテシアも話題のひとつ。「自分でこの色を選ぶかと言われると、思いつきもしなかった色だけれど、周りの景色まで明るくなるようだわ」とサンズさん。
道が細く一方通行や行き止まりだらけのギャラリー街は、駐車の難度が高い。奇跡的に一台分のスペースが空いていたが、そこにルーテシアは一発でぴたりと縦列駐車することができた。駐車アシストカメラや使いやすいシフトノブなどが駐車のストレスを緩和する。

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2.手に触れるアートを探して、工芸品のコンセプトストアへ

仕事の合間にサンズさんが向かうのは、デジタルとは対極にある工芸品のコンセプトストア。1868年に創設されたという、フランス最大の工芸家の組合「アトリエ・ダール・ド・フランス」に所属する作家たちのクリエイションに触れることのできる大型のギャラリー兼ショップはマレ地区の路地の奥。2016年にオープンして以来、少しずつ進化し、現在は400平米の広さの2フロアに300人の作家による2000以上のオブジェが並んでいる。
手づくりの工芸作品だけにひとつひとつの風合いが違い既製品にはない温かみがある。在仏日本人陶芸家、Koh Satoの作品にもここで出会った。
「クラフトマンシップとアートは、手仕事によって定義されます。デジタルであろうとなかろうと、手仕事が不可欠であることに変わりはありません。手仕事は、すべての創造の本質です。アンプラントに来ると、素材を感じ、素材に包まれるような感覚を覚えます。そして、アートの場は、感覚や感情、人間性を開放する場でもあると実感できるのです」とサンズさん。
フランスに6万人いるという「メティエダール(工芸作家)」の作品。2〜3カ月ごとに商品を入れ替えている。

渋滞を抜けて左岸から右岸へとやってきたサンズさんは、初めて運転したハイブリッド車の感想を語った。「エンジン音が静かでゆったり運転できること、そして積極的に電動に切り替わり無駄にガソリンを使わないことに驚きました。いま乗っているクルマを買い換えるときは、いよいよ電気自動車と思っていたけれどハイブリッドもいいな、と思いました。充電の不安からも解放されるのも魅力です」。
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3.お気に入りのティーサロンへ
マレ地区に来たら必ず立ち寄るのが、ティーサロン「コダマ」。店名は『もののけ姫』の精霊から取っている。販売されているお茶の名前は「天使の分け前」「学校のずる休み」「憂鬱の治療薬」などウイットに富んでいる。「香りと味にギャップがないのが、ここのお茶の素晴らしさ。たとえば、緑茶とアプリコットとラベンダーというようなブレンドでもそれぞれの味と香りが生きていて、補完しあってひとつの味わいになっているのです。デリケートさバランスなどが、おいしいお茶のキーワードだと思います。茶葉以外の原料は最大3つくらいまでなので、複雑すぎないのもいいのです」。

「コダマ」の共同経営者のひとりであるマルタン・レさんとサンズさん。大きなガラスのカップに注がれるお茶から、甘い香りが立ち上る。https://kodamaparis.com
台湾でお茶に出あい魅力にはまった3人が2015年に起業したティーサロン。いままで150以上のブレンドレシピを発表してきた。いまでは、ネットで販売もしている。日本、台湾、中国のお茶だけでなく、フランス産の麦茶や蕎麦茶も取りあつかう。サロンでは、毎日3種類のクッキーやマフィンなどの手づくりのお菓子も味わえる。

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パリ暮らしに寄り添う、優美なコンパクトカー

日々パリを駆け回るサンズさんは、5歳と3歳のふたりの女の子の母親でもある。週末には、友人宅にディナーに呼ばれたり、家族でノルマンディーへショートトリップすることもある。
「クルマは、移動の自由を与えてくれます。決まった行き先に決まった時間に行くだけでなく、急に予定を変えることもできます。小さい子どもがいると、それはとても大事なことです。ルーテシアはコンパクトカーだから、家族4人では小さすぎると思い込んでいましたが、インテリアがゆったりとしていて、後部座席も十分。ラゲッジルームも、ショートトリップなら大丈夫なサイズ。ルーテシアは小型でも5ドアだから子どもも乗り降りしやすい。パリの渋滞、縦列駐車、そして細い路地にも最適で扱いやすくてしかもハイブリッド。パリで私が乗るにはぴったりです」

シテ島の石畳を行くルーテシア。パリでもハイブリッド車は急速に普及している。ルノーが培ってきたノウハウを凝縮したE-TECH FULL HYBRIDもパリで注目されはじめている。
ルノー ルーテシア E-TECH FULL HYBRID
Renault Lutecia E-TECH FULL HYBRID
サイズ(全長×全幅×全高):4075×1725×1470㎜
総排気量:1.597L
トランスミッション:電子制御ドッグクラッチ マルチモードAT
燃費消費率:25.2km/L(WLTCモード)※1
メーカー希望小売価格:¥3,390,000(税込)〜
問い合わせ先/ルノー・コール
TEL:0120-676-365
https://www.renault.jp
※1 WLTCモード:市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード。