三位一体で紡がれる、ヴァン クリーフ&アーペルの詩情あふれる時計制作【ウォッチズ&ワンダーズ 2023速報】

  • 写真:赤尾昌則(whiteSTOUT)
  • 文:柴田 充

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「エクストラオーディナリー オブジェ」コレクションの最新作「プラネタリウム オートマタ」。ガラス吹き職人が手がけたドームで被われた天空儀には、リピーターに加え、メティエダールを駆使した太陽と惑星が配置され、優美な動きで飾る。

1906年にフランス・パリのヴァンドーム広場にメゾンを開いて以降、さまざまな創造性あふれるジュエリーを世に送り出してきたヴァン クリーフ&アーペル。パリのエスプリと職人の熟練技が高次元で昇華された唯一無二の作品は、見る者を幻想的な夢の世界へといざなってきた。

その情熱は、ジュエリーだけでなく時計にも脈々と受け継がれ、ヴァン クリーフ&アーペルのタイムピースには、ハイジュエラーとして培われた美学と卓越したサヴォアフェールが注がれる。そこに刻まれるのは、詩情豊かな「ポエトリー オブ タイム」。その独自のウォッチメイキングを探るため、スイスのアトリエを探訪した。

機械に生命の温もりを吹き込む、夢のオートマタ工房

ヴァン クリーフ&アーペルの時計制作を語る上で、いまや欠かせない技術が“オートマタ”だ。日本ではからくり時計で知られ、生物や自然界の動きを機械仕掛けで再現する。昨年は天空儀の「オートマタ プラネタリウム」をはじめ、一挙に3つの新作を発表し、改めてヴァン クリーフ&アーペルならではの美とアートが織りなす夢の世界を知らしめた。

ハイジュエラーとして知られるヴァン クリーフ&アーペルだが、時計制作の歴史も古く、実は創業した1906年に遡る。しかもこの時すでにメゾン初のオートマタを発表し、以降もオブジェやテーブルクロックなど数多くの作品を手がけてきた。そして伝統は現代に継承され、2017年に「エクストラオーディナリー オブジェ」と銘打ち、本格的なオートマタ制作を再開したのである。

メゾンにおけるオートマタ制作の要諦となっているのが、現代オートマタの第一人者フランソワ・ジュノとの協業だ。「エクストラオーディナリー オブジェ」の初作品「オートマタ フェ オンディーヌ」から始まった両者の絆は年を重ねるごとに深まり、最新作も大きな話題を呼んでいる。その神技とも呼べる作品の秘密を知るべく、ジュノの工房を訪ねた。

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●フランソワ・ジュノ(François Junod)/1959年、スイス生まれ。オートマタに魅せられ、マイクロメカニックを修得後、オートマタ復元技術士をしながらローザンヌの美術学校でドローイングと彫刻を学ぶ。1984年に独立して以降は、さまざまな超絶技巧を凝らした作品を残し、オートマタの第一人者として名を馳せる。彼のアトリエでは、オートマタの作動構造から機構を開発するとともに、造形に至るまですべてを一貫製造する。壁に並べられているのはオートマタのボディパーツ。5人のスタッフがいるが、ほとんどの工程をジュノ本人が手がけている。

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ジュネーブからクルマで約2時間、ジュラ山脈に位置するサント・クロワは、オルゴールの里として知られ、名門リュージュ社も本社を置く。雪の積もる山腹に工房はあった。

ドアを開けフロアに入った瞬間に、息をのむ。壁には首の彫像が並び、天井からは手や足が吊るされている。そのおどろおどろしい光景に怖気付くほどだ。作業台には無数の工具が並べられ、年代物の工作機械がそこかしこに設置されている。だが一見すると無造作に見えても、主であるジュノにとってはすべて秩序立てられているのだろう。まさに無限の創造性を具現化する夢の工房だ。 

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ジュノの工房があるジュラ山脈のサント・クロワは、かつて冬の時季は雪により周囲との交通が遮断された地であった。オートマタは、パリからこの地に移住した職人によって伝わり、雪に閉ざされた長い冬を支える地場産業となった。ジュノもその魅力の虜になり、オートマタの世界へ。日本からの依頼も多く、海を超えて長年にわたり親交を深めるクライアントもあり、親日家でもある。
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アトリエに置かれていたレオナルド・ダ・ヴィンチ像の背後に回ると体内には精密機械が埋め込まれていた。36枚のカムディスクとふたつのモーターを備える。時計が歯車によって動力を伝達し作動するのに対し、オートマタはディスクで動作を促す。

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ヴァン クリーフ&アーペルとの協業は、メゾンの本社の商品開発チームとのやり取りから始まる。パリからアイデアとデッサンが持ち込まれ、プロジェクトメンバーが一堂に集まる。ジュネーブからも時計師が参加し、どのように動かすか、どんな構造が最適かといった大筋から、さらに動力を伝達して精確に制御するムーブメントや、ふさわしい装飾についてなど細かな部分も協議される。

だがそれもスタートラインに立ったに過ぎず、制作を進める過程で機構や仕様は随時変わるため、サント・クロワとジュネーブとパリ、3者の開発チームは三位一体となり、親密なコミュニケーションが求められるのだ。いまだかつて存在しないような詩情豊かな作品づくりには時間やコストの制約はない。高さ約30cmほどになる最新作は、完成までには2〜3年を要したという。

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お気に入りの屋根裏部屋には自慢のコレクションがところ狭しと並べられている。アートばかりでなく、年代物のトースターや扇風機、ストーブなどコレクションは多岐にわたる。テリー・ギリアム監督の『未来世紀ブラジル』を思わせる世界観は、まるで彼の頭の中を垣間見るようだ。

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静謐な山村の工房でオートマタづくりに専心するイメージから思い浮かんだ風変わりな職人像とはうって変わり、ジュノの柔和な表情は、まるでピノキオを生んだ人形職人ゼペットを思わせた。

地元サント・クロワに生まれ、14歳の時にオートマタに出合い、制作者の道を志す。機械工学の専門学校を卒業し、美術学校では彫刻や解剖学も学んだ。子どもの頃からジュール・ヴェルヌのSF小説が大好きで、魔法の世界にも興味があったと笑う。そんなファンタジーへの好奇心が血の通わぬ機械にも生命を注ぐのだろう。

「私にとってオートマタづくりの魅力は、伝統技術を用いながらもこれまで見たことのないような作品をつくることにあり、それは従来の食材でまったく新しい料理をつくるのにも似ています。動きの中に自然な生命力を感じさせること。そのためには実際の動きをよく観察する。そして構造は複雑でもシンプルに見せることを心がけています」

オートマタの制作について語るジュノは、続けて「日本の能の動きからも多くを学んだんですよ」と微笑む。からくり人形をはじめ、職人の仕事を重んじる文化や、自然を慈しみ、その趣とともに暮らす日本人の感性にリスペクトを捧げる。 

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作業は多岐にわたり、工房にはさまざまな工具が揃えられ、内容に応じて作業台も異なる。一部にコンピューターを使うことはあっても、基本は手作業であり、微妙なつくりの遊びが自然な動きを生み出すという。
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屋根裏部屋のプライベートスペースは、スタッフとのミーティングルームでもある。そこには作動の機構図やゼンマイ仕掛けのメカニズムが置かれ、自由な発想や新たな視点が育まれる。

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40年以上にわたる自身のオートマタづくりでも、ヴァン クリーフ&アーペルとの協業は新たな刺激をもたらしたと語る。
 
「私はこれまでオートマタを古典的ではなく、新しい発想を取り入れてよりモダンに革新したいと考えてきました。その中で時間を表現するという、いままでやったことのないメゾンのテーマに強く興味をもちました。そしてもうひとつ私の心を動かしたのは、ジュエリーの装飾です。宝飾による加重は、オートマタにおいてスムーズな動きの妨げとなり、大きな影響を与えます。こうした技術的な問題をいかに解決するかということにチャレンジ精神が湧きましたし、一方でジュエリーの色彩や輝きは他の素材にはない演出効果を与えることも学びました。まさにジュエリーはオートマタに大きな魔法をかけるのです」

ヴァン クリーフ&アーペルとの協業、そしてその成功は、ジュノにとって大きな自信となり、クリエイティビティの限界をなくすことにつながった。

「ヴァン クリーフ&アーペルは、きっと私の求める世界観に最も近いメゾンなのでしょう。詩的であり、物語のあるオブジェを通して、人に夢を与える。その想いは私と共通するものです」

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コンピューターを使っても、カムの歯の角度などの調整や仕上げはすべて手作業になる。何回もテストして満足いくところまで修正を繰り返す。その工程を説明するために手にしたオルゴールで、気になる部分が見つけたジュノは、一心不乱に修正を続けた。

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芸術と先端技術が融合し、時の物語を紡ぐアトリエ

スイスのジュネーブ市街からもほど近いメイランに、リシュモングループの技術部門がある。そこはカルティエを筆頭に、ジャガー・ルクルトやパネライ、ロジェ・デュブイ、ボーム&メルシエといったブランドが集積する、まさにスイスが誇るウォッチメイキングの中枢でもある。そしてヴァン クリーフ&アーペルのアトリエもここに位置する。

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メイランのアトリエでは「ポエティック コンプリケーション」も制作され、昨年の「レディ アーペル ユール フローラル ウォッチ」の調整が行われていた。開いた花の数で時刻を表示する複雑機構では花びら一枚の動きにも神経が注がれる。

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ヴァン クリーフ&アーペルにおける時計制作は、1906年のメゾンの創業当初からスタートしている。当時、女性の社会進出を背景に、ヴァン クリーフ&アーペルもエレガントなジュエリーウォッチを手がけていたが、特にシークレットウォッチは周囲に気づかれることなく自分だけの時間を密かにもつ喜びを女性たちにもたらした。

ジュエリーの輝きと渾然一体となった独自のタイムピースは進化を遂げ、やがて複雑機構と結び付く。2006年に誕生した「ポエティック コンプリケーション」だ。それは従来の複雑機構に対し、時間の計測というよりも詩情を語るという独創的なテーマを追求し、そこにはオートマタの技術やノウハウもふんだんに盛り込まれ、蠱惑的な世界を時計で表現したのだ。

そこに貫かれるのは「ポエトリー オブ タイム」という想いであり、アトリエではアートに匹敵するメティエダールや精緻を極めたウォッチメイキングによって、詩情あふれる時の物語が紡がれている。スタッフの間ではこんな言い伝えがあるという。もしアトリエの空に虹が架かっていたら、それは新たな物語が生まれた時――。他に比類なきヴァン クリーフ&アーペルの作品を見れば、そんな素敵な話も現実味が増すだろう。 

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オートマタの世界観をさらに小さな腕時計で再現する。最先端の設計や製造技術を注ぎ、最終的な組み立てや調整は人間の手が担う。そして美しきサヴォアフェールによって仕上げられ、手にしたものの腕で詩情豊かな物語が紡がれるのだ。

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ジュノとの協業で発表された2023年の2点の新作

ジュネーブで開催中の時計見本市「Watches & Wonders」にて発表された、フランソワ・ジュノのアトリエと共同で制作された2023年の新作は、2点のオートマタだ。「フロレゾン デュ ネニュファール」(フランス語で睡蓮の開花)と「エヴェイユ デュ シクラメン」(シクラメンの目覚め)と題された作品は、高さ約 30cmのオートマタで、オンデマンド式のアニメーションが作動すると花が開き、中に隠れていた蝶が姿を現す仕掛けが施されている。

蝶の飛翔をリアルに表現するために、膨大な時間をかけて研究と実験が重ねられたという。本物と見まがうような自然なリズムで数秒間羽ばたいた後に、蝶がもといた花の中央に戻ると、すべての花びらがゆっくりと一斉に閉じる。花が開閉するシーンでは、それぞれのオートマタのために特別に作曲された澄んだ音色が響くサプライズも用意されている。

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フランソワ・ジュノとの協業により制作された新作「フロレゾン デュ ネニュファール オートマタ」。土台は、グリオッテという大理石と、ブルーからグリーンの色調をもつ銅の珪酸塩鉱物であるシャッタカイトから構成されている。これらの素材は、メゾンの宝石鑑定士によって厳選された後、細心の注意を払ってカットと研磨が施された。さらに、ヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーのアトリエで培われた技術が、蝶に生命を吹き込む。蝶のボディはホワイトゴールド製で、ターコイズとダイヤモンドが飾られている。H27×W21.5cm。パワーリザーブ約8日間。¥345,840,000(参考価格)

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パリを拠点とするヴァン クリーフ&アーペルのジュエリーのアトリエで培われた技術は、その造形にも活かされている。美しく咲き誇る睡蓮の花を表現した「フロレゾン デュ ネニュファール オートマタ」を例に見てみよう。

イエローゴールド製の花冠は、熟練の技を要するエアブラシを使ったラッカー仕上げで、繊細なニュアンスの色彩を纏っている。花が開き蝶が舞うと、花冠の内側にはイエローサファイア、マンダリンガーネット、ダイヤモンドがセットされており、太陽のような輝きを放つ。

蝶のボディはホワイトゴールド製で、ターコイズとダイヤモンドを纏うとともに、羽ばたくとプリカジュールエナメルで彩られた羽は光を美しく透過する。時刻を示す回転リングに鎮座するのは、ブルーサファイアがあしらわれたホワイトゴールド製の妖精であるのも、ヴァン クリーフ&アーペルの詩情性を物語る。

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ジュノのアトリエにて制作中であったオートマタの基礎部分。巻き上げたゼンマイの動力により、花びらが開き、蝶が舞う。その動きを制御するレギュレーターは時計の機構に近いものだ。音色を響かせる一方で、作動音を抑えるのにも技術を要する。

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天体の公転周期を再現した、超複雑機構搭載のプラネタリウム

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rendu_fixe_03_4096x4096.jpg2023年の新作として発表された「プラネタリウム オートマタ」。太陽の周囲を公転する惑星の周期を正確に再現するため、永久カレンダー搭載の精巧な機械式ムーブメントを採用した超複雑時計。中心に位置する太陽のすぐ隣にある水星は88日をかけて1周し、最も外側にある土星はなんと29.5年をかけて軌道を一周する。3番目の惑星である地球は27.3日で周回する月を伴って移動する。H50×W66.5cm(扉が閉じている状態)。パワーリザーブ約15日間。¥1,438,800,000(時価)

ジュノが作成したオートマタとは別に、メゾンが手がけた作品で「Watches & Wonders」で世間を驚かせた時計がある。「エクストラオーディナリー オブジェ」の最新作「プラネタリウム オートマタ」で、昨年に次ぐ天空儀の第2弾だ。高さ50cm×直径66.5cmのオブジェには、太陽の周囲を6つの惑星と月が周回し、惑星の軌道はそれぞれの公転周期に基づき正確に再現される。

そしてボタンを押すとオリジナルメロディが流れる中、突如姿を見せた流れ星が周回を始め、惑星も上下運動しながら回転する。まるでバレエのような華麗な動きを見せた後、流れ星は再び闇の中へと姿を消し、惑星ももとの場所に戻るのだ。 

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「プラネタリウム オートマタ」の台座のうち、原動力にあたる部分。惑星の公転周期を司るレギュレーターやパーペチュアルカレンダー機構を内蔵する。完成状態では側面が開き、時分針の文字盤や均時差なども表示する。
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惑星の公転周期は、水星は88日、金星は224日、地球は365日、火星は687日、木星の11.86年、土星に至っては29.5年となる。本作では実際の公転周期で軌道を一周する。こうした天空儀のメカニズムはこれまでもあったが、さらに任意で惑星を上下に動かし、回転させるギミックを加えた。複雑なメカニズムは内に秘め、決して外にはさらさない。

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名実ともにまさにスターとなる惑星たちには、クリソプレーズ、ローズクオーツ、ターコイズ、ジャスパー、オブシディアンといった石がふんだんに使われ、流れ星にはサファイアやエメラルドがミステリーセットであしらわれる。ハイジュエラーの本領発揮だ。

基本的な機構は前作と共通だが、大きく変わったのは新たな素材の採用と奏でる音色だ。オルゴールと鐘の組み合わせから15個の鐘に代わり、それぞれに対してふたつ、計30のハンマーで打音する。この鐘も17世紀に創業した教会の鐘の専門メーカーに依頼し、まるでカテドラルを再現したような荘厳な鐘の音がそこに響くのである。 

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太陽と惑星と流れ星には希少な貴石が用いられ、職人がダイヤモンドやエメラルド、サファイアなどをひと粒ひと粒手作業でセットする。オートマタでは重量も動作に影響を与えるため、設計は困難を極めた。任意の操作で扉が開き、ゴールドにダイヤモンドをちりばめた流れ星が20秒で1周し、再び収まる。

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上左:オブシディアン製の土星は、ホワイトゴールド、イエローゴールド、サファイア、ダイヤモンドからなる環で飾られている。 上右:レッドジャスパーの温かな色みに包まれた火星は、ローズゴールド、 ピンクサファイアと相まって、その鮮やかな色合いをさらに際立たせている。 下左:地球は、ターコイズを中心として、その周囲にホワイトゴールド、サファイア、ツァボライトガーネット、ダイヤモンドによるジュエリーの構造体があしらわれている。 下右:金星にはローズクオーツが選ばれ、イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクサファイアとともに美しい色彩の調和を生む。

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遊び心を宿し、詩的な時を奏でるレディスウォッチ 

腕時計ではレディスの最新作が登場した。「ルド シークレット ウォッチ」は、1934年に発表したブレスレットのデザインをモチーフに、モデル名は創業者のひとりであるルイ・アーペルのニックネームにちなむ。

上下のサークルを指先で寄せると、跳開橋のように上部が開き、時計が現れる。女性が時刻を見るのはマナー違反とされた当時のスタイルを蘇らせ、機構を内蔵するとともに完成度を高めた。サプライズと遊び心が楽しめるシークレットウォッチだ。

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「ルド シークレット ウォッチ」は、ヴァン クリーフ&アーペルの代表作のひとつである「ルド ブレスレット」にオマージュを捧げる新作。1930年代に女性たちの間で流行ったベルトのデザインを受け継ぎ、レンガを重ねたようなブレスレットとの一体感あるスタイルが特徴だ。煌びやかなローズゴールドにダイヤモンド、またはピンクサファイアのアンサンブルが美しい。ホワイトマザーオブパールのダイヤルもよりいっそう華やかな印象を添える。クオーツ、18KRGケース&ブレスレット。ダイヤモンド¥23,892,000、ピンクサファイア¥22,176,000

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「ポエティック コンプリケーション」の最新作「レディ フェアリー ローズゴールド」は、文字盤の小窓の数字と妖精の魔法の杖が指す数字インデックスで時分を表示する。

33mmのドレッシーなサイズに、精細な彫金やエナメル装飾をあしらい、ダイヤモンドとゴールドの輝きがひと際目を引く。そこに宿るのはまさに詩的な時の物語である。

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新たにローズゴールドを採用した新作「レディ フェアリー ローズゴールド」。ストラップからダイヤルにかけて繊細なピンクのトーンで統一されている。ジャンピングアワーとレトログラード表示を組み合わせたコンプリケーションながら、その複雑さを感じさせず、妖精の美に目を奪われる。自動巻き、18KRGケース、ケース径33㎜、パワーリザーブ約36時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、30m防水。¥16,632,000

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制作現場で継承される、「ポエトリー オブ タイム」の哲学

細密画、彫金、エナメル、象嵌といった伝統的なメティエダールと、最先端の時計設計や製造技術が一体化したアトリエは、それ自体が精緻なオートマタのようだ。メゾンのウォッチメイキングについて開発部の部門長は「技術はアルファベットのようなもの」と語る。

「その数は決まっていても無限のストーリーを生むことができます。でも技術も私たちにとってはツールにすぎません。あくまでも物語を完成させるためにあり、それは旅を思わせます。目的地を目指す過程で多くの発見があり、時には道を変え、後戻りもしなくてはなりません。でもそうして到達してこそ感動を呼ぶのです」

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ソルボンヌ大学の数理生物学者による、時の概念の数式。時間はそれぞれの感情によって自在に長さが変化するという内容は、時の計測を新たなアプローチで考える 「ポエトリー オブ タイム」の哲学にも通じる。

ヴァン クリーフ&アーペルのタイムピースは「ポエトリー オブ タイム」という詩情あふれる時を刻み続ける。アトリエの壁面には、高名な数理生物学者が時の概念について証明した数式が記されていた。これを理解する術もないが、時はそれだけ深遠であるということであろう。

さらに階段には、時の物語を紡ぎ続ける者を励まし、勇気づける文言が記されていた。そしてその“時の物語”には、いまも新たな章が加えられているのである。

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工房内の階段に書かれた「ポエトリー オブ タイム」についての文言。 「ヴァン クリーフ&アーペルは、誕生以来、人生の詩的なビジョンを持ち続け、時計製造に夢と感情という独自の次元を導入する。創意工夫と夢想を組み合わせ、紡がれる時間は優雅で魅惑的な瞬間にあふれる」。

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壁面には葛飾北斎の版画をはじめ、さまざまアートピースが飾られている。こうした作品がアトリエのスタッフの創造性にも刺激を与える。その横には「prends le temps de vivre l'heure que je te donne」(意訳すると「一度きりの人生をまっとうする」)という文言も添えられる。

問い合わせ先/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク
TEL:0120-10-1906
https://www.vancleefarpels.com/jp