「自分が実際に感じたり、共感できるような疑問を抱えている」浜辺美波が考える、仮面ライダーが愛される理由

  • 写真:筒井義昭
  • 文:SYO
  • スタイリング: 瀬川結美子
  • ヘア&メイク:寺田祐子

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3月18日に公開を控える『シン・仮面ライダー』。緑川ルリ子を演じた浜辺美波が語る、本作の魅力とは? 現在発売中のPen最新号『シン・仮面ライダー徹底研究』より抜粋して紹介する。

2月28日(火)発売のPen最新号では、映画『シン・仮面ライダー』の公開に合わせ、初期のテレビシリーズや石ノ森章太郎の功績を振り返りながら、庵野秀明監督をはじめとするクリエイターたちのこだわりや、仮面ライダーやサイクロン号などのデザイン、出演者たちの想いを徹底取材。


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浜辺美波●2000年、石川県生まれ。東宝シンデレラオーディションを経て11年にデビュー。『君の膵臓をたべたい』で日本アカデミー賞など各種映画賞で新人賞獲得。4月よりNHK連続テレビ小説『らんまん』に主人公の妻役で出演予定。

幼少期から『仮面ライダー』シリーズのファンだったという浜辺美波さん。出演した東宝の企業カレンダーが庵野監督の目に留まったことから、緑川ルリ子役のオファーに結び付いた。「実際の仮面ライダーに会えるのがうれしかった」と語る姿が微笑ましい。

「小さい頃は仮面ライダーが地球のためにヒーローとして戦うカッコいい姿に憧れていましたが、いま思うと現実の世界線に本当にいそうな人間らしさが好きだったんだろうなと感じます。成長していくなかで落ち込むことも多くありましたが、そんな時に『同じ世界で仮面ライダーたちが戦っているんだから、私も頑張らなきゃ』と彼らの存在を支えにしていました」

実在を信じられるほどの“等身大性”はどこからくるのか? 浜辺さんは「自分が実際に感じたり、共感できるような疑問を抱えているところ」だと分析する。

「劇場版の仮面ライダーシリーズでは『僕はなんのために戦っているのか』と悩む仮面ライダーたちが時折登場します。明確な理由なしに地球を守るカッコよさもありますが、葛藤し自責を問いながらも戦う姿にこそ、私は本当の“強さ”を感じました。『仮面ライダー』が50年以上も続くコンテンツになった理由は、みんながもっている正義の心に火をつけてくれるからではないでしょうか。身を賭して守るべきもののために戦うから好きなんだと思います」

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浜辺が演じた緑川ルリ子は、本郷をオーグメンテーションした緑川博士の娘。SHOCKERの一員だったが理念に疑問を抱いて組織を抜け、本郷と行動をともにする。頭脳明晰で冷静沈着、「私は常に用意周到なの」が口癖。

本郷猛に守られながらも、彼を導く重要な役どころである緑川ルリ子。もと組織の人間であるという複雑な境遇のなか、己を信じて進む強い意志のある女性を浜辺さんは演じ切った。

そうした主題の解像度がさらに強化されたのが映画『シン・仮面ライダー』だという。

「本作では、パンチやキックといった暴力をふるうことへの疑問が細やかに描かれています。身体はオーグメンテーションされているけど脳まではカスタムされていないので、人間らしさが残っている。『こういうアプローチや描き方があるんだ!』と夢中になって台本を読みました」

さらに浜辺さんを驚かせたのは、SHOCKER(ショッカー)の描き方。単純な悪の組織ではなく、人類の幸福を目的とする秘密結社という位置づけに、現代社会との共通点を見た。

「最初は正義を掲げ世界を救うために生まれたものが、方向性を間違えて暴走してしまう。一方向から見たら信念でも、俯瞰したらそれは押しつけではないか? 幸せなのか? という問いは、現代の感覚を反映していると感じます」

戦うことに葛藤しながらも、行きすぎた正義の凶行を止めるために力を行使する──。ヒーローたらしめるのは力ではなく生き様であるという想いは、「本郷をヒーローとして最初に認識したのは緑川ルリ子」という発言にもにじむ。

「信じる人がいて初めて神という存在が祀られるように、守られて助けられた人々がいるからこそ、本郷は“ヒーロー”であり続けるはず。ある意味、本郷をヒーローへと導いたのはルリ子の存在なんですよね。だから、ルリ子はただ守られる立場ではなく、本郷が背中を預けられる、肩を並べて歩けるバディでありたいと思いながら演じました」

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『シン・仮面ライダー徹底研究』

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『シン・仮面ライダー』

監督/庵野秀明
出演/池松壮亮、浜辺美波、柄本佑ほか 2023年 日本映画
2時間1分 3月18日より全国公開予定。
https://www.shin-kamen-rider.jp

 

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