曲者アーティスト、泉太郎の個展が開催。「わからなさ」と向き合うための思考プロセスを体験する

  • 写真・文:中島良平
Share:
展示風景より。泉太郎による展示は、音声ガイダンスに従って作品を体験する参加型インスタレーション。

映像やパフォーマンス、立体に絵画とメディアを限定せず、鑑賞者の理性と感性に問いかけるインスタレーションを展開する曲者アーティスト、泉太郎の個展『Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx. :泉太郎』が東京オペラシティアートギャラリーで開催中だ。会期は3月26日まで。

会場に入ると、並んでいる椅子にQRコードを記したシートが置かれており、そこにいる人のほとんどが白いマントのようなものを着ている。QRコードを読み取ると、音声データへと導かれる。女性と男性のひそひそ話が聞こえてくる。「いまから、いくつかのルールをあなたに伝える」という女性と、「それはできない」という男性の声。

POT_8326.jpg
会場に入ると、コインロッカーでマントを受け取ったら最初の展示室へ。「再野生化(=インスタレーションを体験すること)」に向けてのレクチャーを受けるような感覚で、QRコードからリンクする音声ガイダンスに耳を傾ける。

女性の声を聞いていると、野生に戻る(=展示を回る)ためのルールとインストラクションだということがわかる(男性は「やだよ」とか「やりたくないよ」という掛け合い)。まずコインロッカーに行き、そこに入っているのがみんなの着ている白いマントなのだ。これを着ることで、美術館の壁に溶け込んで「美術館のコスプレ」をする。早速上着を脱いで羽織り、会場奥へと向かう。

---fadeinPager---

POT_8344.jpg
泉太郎が過去に手がけた作品の数々が、「仮病」を使ったような状態で展示されている。

---fadeinPager---

POT_8343.jpg
携帯電話を用いての撮影は、会場入口に置かれた曇り鏡を介してのみ可能。そんなルールも述べられているように、冒頭の音声ガイダンスは丁寧に展示の楽しみ方を伝えてくれる。

この個展で作家は、古墳や陵墓、ストライキ、再野生化、仮病、鷹狩りにおけるマニング(懐かせる)やフーディング(目隠し)など、数々のキーワードが絡み合う思考のプロセスと、コスプレ、キャンプ、被葬のような体験を織り交ぜ、不可知に向き合い続けるための永久機関を立ち上げることを目指している。野生になることはどういうことか。17分ほど続く話し声にきちんと耳を傾けて、ルールに従って展示を回ってほしい。最後にはマントを脱いで古墳に見立てたテントを立て、VRによる被葬体験が待っている。泉太郎が仕掛けたプレイに乗っかることで、演劇に参加した演者のような作品体験ができるはずだ。

---fadeinPager---

POT_8346.jpg
会場壁面には、作家による展示を巡るためのガイダンスを記した箇所も。

 

POT_8348.jpg
展示を巡ったのちにマントを脱いで裏返し、ポールに立てたのがこのテント。

---fadeinPager---

POT_8337.jpg
そして最後に待っているのが、画面奥の装置で体験できるVR作品。日や時間帯によっては順番待ちが必要なので時間に余裕をもって訪れたい。

『Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎』

開催期間:2023年1月18日(水)〜3月26日(日)
開催場所:東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:11時〜19時
※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
※祝日の場合は月曜開館、翌火曜日が休館
入館料:一般¥1,200
※予約優先チケットあり
https://www.operacity.jp/ag/