勢いが増す店「レショップ」、別注アイテム大集合!マッキントッシュ、ジョンスメドレー、K-スイス……【着る/知る Vol.148】

  • 写真・文:一史
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レショップの2023年春夏シーズン別注アイテムのラインアップ(キャップ4点を除く)。

ファッションの店について服好きの人がときどき嘆くことがある。それは、「どの店もみんな一緒」。オリジナリティが問われるブランドショップは別としても、確かにセレクトショップではひとクセある品揃えの店が限られるようだ。情報がフラットに共有されるネット時代ゆえか、マーケティング発想の店づくりゆえか。ファッションには社会とつながる“時代性”と、自分の“趣味性”の両面がある。そのふたつのバランスが取れたアイテムに出会うと、「こんなのがほしかった!」と夢中になれるものだ。

東京・青山のレショップは、そんな「ほしい」で店内が満たされたスゴ技の店。マイナーなブランドも古着も、服マニアでハイセンスなスタッフたちのお気に入りだけが選ばれている。2015年に誕生した一軒の店ながら(一部のコンセプトショップ展開を除く)、メンズファッション業界で確固たるポジションを築いた。その結果、「レショップさんなら」と海外老舗ブランドが別注オーダーを快諾するまでに。少数生産も、ゼロからつくる完全別注もOKな体制になってきた。

時代感がしっかりと息づいているのも、レショップ別注モデルの大きな魅力。今回のファッション連載「着る/知る」では2023年春夏の別注ラインアップから、大人のワードローブに馴染みやすい品をセレクト。同店の一角にヴァーチャルな特設コーナーを設置してずらりと並べた。この先に順次発売される品が大半だから、店頭の動きをマメにチェックしていただければと思う。

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乗馬用コートを元にしたマッキントッシュ

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マッキントッシュのなかでは珍しいラグラン袖、袖口を折り返すと現れる茶色のテープなどディテールにも凝ったレインコート。¥217,800(税込)
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乗馬用コートがルーツなため、裾の両サイドに深いスリットがある。

すでに発売がはじまったマッキントッシュ。同ブランドのクラシックな乗馬用コートをベースに、形をゆったりとさせたものだ。防水マッキントッシュクロスの生地は、固くバリッとした質感。クリーニングにも一手間かかる。日常着として万人受けするアウターではないとしても、このスタイリッシュな佇まいには抗いがたい強烈な魅力がある。

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ワイドでウール素材の半袖ジョン スメドレー

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ジョンスメドレーの定番ポロニットの、素材とシルエットをアレンジ。手に取っている人物は、企画や買付けも行うレショップ店長兼PR担当の渡邉浩貴。¥39,600(税込)

通常のシーアイランドコットンからメリノウールに変え、さらに身幅と袖をワイドに。「いますぐ着たい」旬のポロシャツである。ジョンスメドレーならではの襟の美しさや、ハンガーに掛かっていてもブランドがわかる品格はちゃんとキープされている。洗濯の色あせが少なくシワになりにくく、ドレッシーなウールを春夏で着る動きが増えてきたなかで、決定打になりそうな優れモノだ。

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日本ニットのバトナーにアンサンブルを別注

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肉厚のコットンで秋冬でも活躍するカーディガンと、スウエットシャツのようなプルオーバー。ライラックの色も絶妙な洒落具合だ。カーディガン¥30,800(税込)、プルオーバー ¥28,600(税込)

企画のスタートは、「ゆったり羽織るウィメンズのようにVゾーンが深いカーディガンがほしい」という思いから。進行するうちにインナーに同素材のプルオーバーニットを着る、ファッション用語でいう“アンサンブル”へと発展していった。手掛けたニットブランドは工場を持つ奥山メリヤスの自社ブランド、バトナー。クオリティを追求する姿勢がこの別注アンサンブルにも息づいている。

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イタリアシャツ職人、サルヴァトーレ・ピッコロ流ワークシャツ

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古着ワークシャツをテーラリング仕立てにしたシャツ。台襟がないリラックスした着心地。左右ともに、価格未定。
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シルエットに丸みがありつつ肩のラインはベーシック。ゆったり服のトレンドが過ぎ去っても着続けられるシャツだ。

イタリア・ナポリを拠点にするシャツブランドの製品は手縫い工程もあり立体的な仕上がりで、着た姿の美しさも身体の動かしやすさも世界一とされる。そのなかでファッション性が高くファン層が幅広いサルヴァトーレ ピッコロに、ビンテージワークシャツを持ち込んでつくってもらったのがこのシャツ。袖幅も身幅もトレンドすぎないゆったり感が秀逸なエレガントカジュアルである。

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レトロなテニスシューズ、K-スイスの“ショップエクスクルーシブ”

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レザーアッパーだった往年のクラシックモデルをキャンバスに変更した一足。¥14,300(税込)
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アメリカブランドであるK-スイスのモダンラインからの、レショップセレクトアイテム。¥20,900(税込)

アラフィフ以降の男性のノスタルジーを刺激する、かつての定番ワードローブのK-スイス。レトロなコートシューズが再び人気のいま履きたい新鮮なスニーカーだ。上写真の2点はともに正しくは別注でなく、日本国内ではレショップだけが販売する“ショップエクスクルーシブ”。レショップが価値を認めたレアなスニーカーで人に差をつけよう。

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ヴィンテージを再現したフリスコジーンズ(Lee)

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ウエストをタブで絞れる実用的なワークパンツ。ポケットの形状もフリスコジーンズのアイコニックなディテール。¥26,400(税込)
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フリスコジーンズは18世紀に誕生し、1940年代にリーに買収されたワークパンツブランド。

レショップの別注アイテムはたいてい、スタッフが見つけた古着がベースになっている。単なる復刻でなく素材をモダンに変更したり、シルエットやディテールを変えたり、アレンジのセンスが際立つ。店の立ち上げ時から深く関わるリーに今回オーダーしたのが、黒と白のフリスコジーンズ。ダボダボサイズを選びサスペンダーで吊って着るのも楽しめるユニークなパンツである。

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ジンターラに発注した贅沢すぎるワークブーツ

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奥がペコスブーツ、手前がエンジニアドブーツ。パッと見ではワークブーツと気づかないほどの貫禄と、整った美しさを誇る。ともに、価格未定

これぞレショップの真骨頂といえる、ラグジュアリーなワークブーツ2型。アメリカの某有名ワークシューズブランドの定番であるエンジニアドブーツとペコスブーツがデザインのベース。それをイタリアのジンターラがつくるとこうなるという見本のような出来栄えだ。なによりスゴいのはアッパーの革質。吸い付くようにヌメリのある高級レザーがふんだんに使われた贅沢すぎる傑作だ。

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クラフトスタッズ、HTC別注シリーズ

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右端のデニムシャツは古着のラングラー。左端のトートは古着のLLビーン。ともにスタッズはHTCのオリジナル。中央のベルトはバックルが古着でベルトがHTC製の新品。シャツ¥55,000(税込/参考価格)、ベルト¥77,000(税込/参考価格)、バッグ¥30,800(税込/参考価格)

スタッズ(金属の鋲打ち)ワークで名高いアメリカのHTC。スタッズと彼らが所有するビンテージの服小物とを、レショップスタイルで組み合わせたのが今回の別注シリーズである。なかでもユニークなのが、宝飾店ティファニーのビンテージ銀製バックルと、HTC製ソフトレザーを組ませたベルト。古いミリタリーベルトのムードを醸す1点モノだ。

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9種類の同じTシャツ!? レショップ定番をサンスペルが生産

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レショップが発信するLEの、同一仕様で9種類のTシャツをサンスペルに別注。3点ともに各¥12,100(税込)

レショップのオリジナルブランドLE(エルイー)には、同じ生地とディテールを使った同一仕様のモデルを、着丈や身幅などのバランスを変えて9種類展開するコンセプチュアルなシリーズがある。そのシリーズの通常Tシャツを、イギリスのサンスペルに製造依頼したのがこのTシャツ。全9種類が用意され、色は白とネイビーの2タイプ。つるっと滑らかな風合いはサンスペルならでは。

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スリッパを狙った、ユッタ・ニューマンのレザーサンダル

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カラーバリエーション豊富なユッタ・ニューマン。ブランドのアイコンマークがソール端につく。¥71,500(税込)

手づくりレザーサンダルの最高峰であるユッタ・ニューマンに、スリッパ風サンダルをオーダー。ウィメンズをメンズに応用した別注モデルである。土踏まずを盛り上げて足の形状に沿わせる、ユッタ・ニューマン流レザーソールの仕立てはここでも健在。味わい系サンダルを求めている人は要チェックだ。

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番外編:裏も同じ生地のオリジナルコート

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身幅がゆったりとしたクラシックな古着コートをベースにした、LEの新作コート。¥85,800(税込)
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裏地まで同じ生地になったことで、気軽に着られる印象のコートになった。共生地のウエストベルトつき。
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元はキモノの仕立て用語である、表地と裏地を同一生地にした「無双仕立て」による贅沢な仕上がり。

別注でもエクスクルーシブでもない通常のショップオリジナルながら、この春に見逃せない逸品があるのでご紹介しよう。表地と同じ生地を裏地に使った「無双仕立て」と呼ばれるバルカラーコート(ステンカラーコート)である。形の元になったのは、某一流コートブランドのビンテージ。別の生地で展開していたコートをこのたび、やや光沢のあるコットンに載せ替えて制作。羽織って映画の主人公を気取りたくなる、“ファッション”を超えた永遠性のある一着だ。

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レショップ 青山店

東京都港区南青山3-17-3 1F
営業:12時〜20時
不定休
TEL:03-5413-4714

https://lechoppe.jp

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【画像】勢いが増す店「レショップ」、別注アイテム大集合!マッキントッシュ、ジョンスメドレー、K-スイス……【着る/知る Vol.148】

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マッキントッシュのなかでは珍しいラグラン袖、袖口を折り返すと現れる茶色のテープなどディテールにも凝ったレインコート。¥217,800(税込)
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乗馬用コートがルーツなため、裾の両サイドに深いスリットがある。

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ワイドでウール素材の半袖ジョン スメドレー

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ジョンスメドレーの定番ポロニットの、素材とシルエットをアレンジ。手に取っている人物は、企画や買付けも行うレショップ店長兼PR担当の渡邉浩貴。¥39,600(税込)

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日本ニットのバトナーにアンサンブルを別注

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肉厚のコットンで秋冬でも活躍するカーディガンと、スウエットシャツのようなプルオーバー。ライラックの色も絶妙な洒落具合だ。カーディガン¥30,800(税込)、プルオーバー ¥28,600(税込)

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イタリアシャツ職人、サルヴァトーレ・ピッコロ流ワークシャツ

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古着ワークシャツをテーラリング仕立てにしたシャツ。台襟がないリラックスした着心地。左右ともに、価格未定。
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シルエットに丸みがありつつ肩のラインはベーシック。ゆったり服のトレンドが過ぎ去っても着続けられるシャツだ。

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レトロなテニスシューズ、K-スイスの“ショップエクスクルーシブ”

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レザーアッパーだった往年のクラシックモデルをキャンバスに変更した一足。¥14,300(税込)
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アメリカブランドであるK-スイスのモダンラインからの、レショップセレクトアイテム。¥20,900(税込)

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ヴィンテージを再現したフリスコジーンズ(Lee)

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ウエストをタブで絞れる実用的なワークパンツ。ポケットの形状もフリスコジーンズのアイコニックなディテール。¥26,400(税込)
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フリスコジーンズは18世紀に誕生し、1940年代にリーに買収されたワークパンツブランド。

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ジンターラに発注した贅沢すぎるワークブーツ

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奥がペコスブーツ、手前がエンジニアドブーツ。パッと見ではワークブーツと気づかないほどの貫禄と、整った美しさを誇る。両ブーツともに、価格未定。

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クラフトスタッズ、HTC別注シリーズ

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右端のデニムシャツは古着のラングラー。左端のトートは古着のLLビーン。スタッズはHTCのオリジナル。中央のベルトはバックルが古着でベルトがHTC製の新品。シャツ¥55,000(税込/参考価格)、ベルト¥77,000(税込/参考価格)、バッグ¥30,800(税込/参考価格)

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9種類の同じTシャツ!? レショップ定番をサンスペルが生産

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レショップが発信するLEの、同一仕様で9種類のTシャツをサンスペルに別注。3点ともに各¥12,100(税込)

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スリッパを狙った、ユッタ・ニューマンのレザーサンダル

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カラーバリエーション豊富なユッタ・ニューマン。ブランドのアイコンマークがソール端につく。¥71,500(税込)

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番外編:裏も同じ生地のオリジナルコート

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身幅がゆったりとしたクラシックな古着コートをベースにした、LEの新作コート。¥85,800(税込)
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裏地まで同じ生地になったことで、気軽に着られる印象のコートになった。

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元はキモノの仕立て用語である、表地と裏地を同一生地にした「無双仕立て」による贅沢な仕上がり。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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