いま世界中で、2000年代のファッションを掘り起こす動きが進行している。「Y2K(Year 2000)」と呼ばれるこのブームを牽引しているのは、10〜20代のユース層。幼少期の記憶の片隅に残っているのかもしれない。ゼロ年代はヒルトン姉妹らのLAセレブがシーンに影響を与え、華やかでセクシーな服装が増えた時代。ストリートダンスとリンクする、身体を動かしやすいスポーツ系の服も街着としてブレイク。男性の服装は年を追うごとに細くタイトになっていった。
このY2Kとリンクする旬の注目アイテムが、腿の両サイドにポケットがあるカーゴパンツだ。ダンサーが穿いていたようなゆったりシルエットを選び、女性の場合は超ショート丈のコンパクトなトップスを着るのがコーデのお約束。まさしくゼロ年代のスタイルだが、もとはメンズ定番なのだから我々男性陣も穿かない手はない。ポケットが多くバッグいらずの機能的なこのパンツ一本で、23年を乗り切ってしまうのもアリだろう。
ただし本物ミリタリーの古着を大人が小綺麗に穿きこなすのは難しいもの。ラフな服を着ても洒落見えする現代のモデルを選ぶのが吉だ。ここに紹介する3ブランドのカーゴパンツ3型は、ミリタリーの味わいを持ちつつファッション性高く仕上げられた逸品。3型の大きな違いは素材にある。化繊混の光沢タイプ、シルク混のソフトタイプ、サマーウールのドレッシータイプにわかれている。色はスラックス感覚で穿きやすいダークカラー。若いZ世代とも気持ちがつながる最新スタイルを存分に愉しもう。
---fadeinPager---
玉虫色の光沢で色気さえもプラス
腰周りがフィットして腿から幅広いカーゴパンツ特有の形をベースにした1本。ただし裾は絞るドローコードがなくフレアで、1970年代的「フィット&フレア」のムード。光の具合で表情が変わるテクニカルな玉虫色の生地は、スポーティなうえに色気さえも漂わせる。カーゴパンツのアクティブなディテールが、ゴージャスさをほどよく中和している。Tシャツやスウェットシャツなどの日常着とも合わせやすいだろう。古着とモードを融合させたデザインセンスは、スウェーデンのアワー レガシー(OUR LEGACY)らしいもの。インスタグラムのフォロワー数が30万を越える彼らには、ベーシックの一歩先をいく時代のスタイルがある。
---fadeinPager---
---fadeinPager---
シルク素材のソフトな穿き心地
カーゴパンツのスタンダードといえるアメリカ軍モデルのディテールやシルエットを再現したパンツ。ただし素材が大幅にアレンジされている。約半分をシルクにしたコットン・シルク生地により、イージーパンツのごとく柔らかに仕上げられた。 シルク混でもスカーフのような艶はなく、スエードのごとくマット。カジュアルなのに上品で穿き心地は高級という、何層にも複雑なレイヤーを持つパンツだ。手掛けたニッポンのリノ(LENO)は、ヴィンテージへの忠誠心と旬のファッション性とを併せ持つブランド。カーゴパンツも普通では満足しきれない大人の愛用品になること請け合いの逸品である。
---fadeinPager---
---fadeinPager---
優雅なサマーウールで夏もドレス気分
スーツやジャケットに使われるシャリ感のあるサマーウールのカーゴ短パン。優雅なドレープが出るウールのカーゴパンツは、探してもなかなか出会えないニッチなアイテムだ。カジュアル気分のまま品格を上げたい夏の着こなしで大活躍するだろう。このパンツがミリタリーの本物に基づく点も服好きの心をくすぐる。60年代までフランス軍が採用していたM47がベースだ。ゆとりのあるM47の下半分をカットし、ドレスパンツに仕立てられている。ミリタリーを愛するパンツ専業ブランドのタンジェント(Tangent)ならではのこの傑作、洒落心を忘れたくない夏の必需品になりそうだ。
---fadeinPager---
---fadeinPager---
【画像】Y2Kファッションで人気復活のカーゴパンツを、大人が選ぶなら? 【着る/知る Vol.147】
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。