建築家の山之内淡氏と、氏の主催するスタジオ「AWGL」が、戸建て住宅「ある作家の自邸」を設計。昨年秋に都内に完成した。
大地から立ち上がるかのような姿が印象的なこの邸宅は、日常の一部でありながらどこかフィクション性が漂う意匠を目指して設計されたという。
海外のデザイン情報サイトにも取り上げられている。
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日常とファンタジーの狭間で
山之内氏はAWGLのウェブサイトを通じ、コンセプトは「日常から数cm浮いているような建築」だと語る。
施主は新進気鋭の作家であり、自宅兼作業場となるこの邸宅を出ることなく作業を完結でき、なおかつ創作活動への刺激を与える空間作りが求められた。
そこで、日常生活を行う実用的な場でありながら、同時にどこか非現実的な雰囲気の漂う建築を目指したという。
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海外サイトも注目
建築・デザイン情報サイトのデジーンは、「日本のコミックの一種である漫画のストーリー・テリングを採り入れた」邸宅だと紹介している。
ファサードは大地がめくれ上がるイメージを込め、曲面耐震壁となっている。この曲面壁をくり抜いたアプローチから、邸内にアクセスする趣向だ。
山之内氏はウェブサイトを通じ、「日常から非日常に足を踏み入れる意図を持たせた特徴的なアプローチ」だと説明している。
現実味に満ちた都内の空気を離れ、フィクション性を重視した邸内の空間へと誘う。目を引くエントランスは、そんな重要な瞬間を演出しているようだ。
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公私のメリハリに対応
内部は奥側が3階構造になっているのに対し、手前方を2層のスキップフロアでつないでいる。このほかにも一部の床面にあえて極端な高低差を持たせるなど、立体感のある仕上がりとなっている。
コロナ以降はアシスタントが施主宅で共同作業することもなくなったが、依然として邸内で打ち合わせが開かれる機会は多いという。
ヴォイドがもたらす垂直方向への連続空間が印象的である一方で、このような来客にも対応できるよう、プライベートとパブリックの場のメリハリがつく設計になっているという。
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ストーリー性を体感する空間づくり
同サイトはまた、作家が住むこの邸宅が、「目に見える我々の日常とのつながりを保ちながらも、空想上の物語のような感覚を想起させる空間を生み出している」とも称える。
自由な発想と合理性の両面からなるユニークな作家の自邸は、海外の各建築サイトにもインパクトを与えているようだ。