「自然との遊び」を満喫! ゴールドウインが創業の地・富山で複合施設プロジェクトを始動

  • 文:高瀬由紀子
  • 写真:榊 水麗
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ザ・ノース・フェイスやヘリーハンセンなど、数多くのブランドを展開しているスポーツアパレルメーカー、ゴールドウイン。近年は「プレイアース(PLAY EARTH)」というコンセプトを掲げ、人と自然とのつながりを深める場所づくりへの取り組みを始めている。この構想の最初の拠点として、同社の創業の地である富山県で2026年オープン予定の「プレイアースパーク ネイチャリング フォレスト(PLAY EARTH PARK NATURING FOREST)」のプロジェクトがスタートした。豊かな緑や水に恵まれた地で展開される“自然との遊び場”とはどんな場所なのだろうか。

未来の子どもたちに向けた、自然とつながる理想の場所づくり

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スキー・登山・水泳をはじめ多様な分野でブランドを展開し、最新技術を用いた製品開発を行うゴールドウイン。社内には同社のものづくりの歴史を総括したアーカイブ展示も。

時代とともに多様なスポーツマーケットの創造を担ってきたゴールドウインが、創業70周年である2020年に掲げた「プレイアース」というコンセプト。スポーツの起源は地球の自然の中での遊びから始まったといわれるが、その進化の過程で築いてきた人と自然との関係性を大切にし、未来の子どもたちに向けて人と自然がつながり想像力を刺激し合える場所づくりを行っていきたいという思いが込められている。

この構想を具現化するにあたって選ばれたのが、同社の創業の地である富山県だ。標高3000mの立山連峰から水深1200mの富山湾までの地形は変化に富み、日本有数の生物多様性を誇る。2023年1月18日には、南砺市の桜ヶ池周辺エリアが最初の拠点に決定したことを告知するプレス発表会が開催。豊かな自然に恵まれた桜ヶ池は、四季折々の風景を愛でながらの散策が楽しめ、県民の憩いの場所となっているのだ。

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左から、ゴールドウイン代表取締役社長・渡辺貴生氏、ゴールドウイン代表取締役会長・西田明男氏、富山県・新田八朗知事、南砺市・田中幹夫市長

プレス発表会に登壇した富山県の新田八朗知事は「官民連携のリーディングプロジェクトとして、関係人口の拡大にも期待しつつ、皆で富山県の未来をつくっていきたい」とコメント。南砺市の田中幹夫市長は「市で10年来にわたって取り組んできた“エコビレッジ構想”は、自然と共生しつつ次世代に命をつないでいくことを目指しており、今回のプロジェクトと方向性が同じ」と説明した。

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  「NATURING」に込めた、本来の意味での「人と自然との共生」

もともと南砺市には、「土徳(どとく)」と呼ばれる昔ながらの精神風土が根付いている。民藝運動の創始者である柳宗悦が、自然とともに人がつくりあげてきたこの土地の品格を表現した言葉といわれており、あらゆるものに感謝して生きていく浄土真宗の「他力本願」の教えともリンクしている。

今回のプロジェクトの施設名「プレイアースパーク ネイチャリング フォレスト」の「ネイチャリング」にも、人と自然が作用し合って、よりよい環境をつくっていくという意図を込めたと渡辺社長は語る。

「本来の自然の営みは、利他的な循環にあると思います。しかし、地球上の生物の重量の中でわずか0.01%に過ぎない人間が、最も負荷の高い存在になってしまっている。ですから、地球上の営みのサイクルの中に、私たち人間の生活をうまく組み込めるよう、デザインし直すことが必要ではないでしょうか。そうした、本来の意味での自然との共生を実現するために、自然と遊びながら学ぶ場所にしていきたいのです」

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ガーデン、キャンプ場、ジムなど、多彩な「自然との遊び場」を創造 

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豊かな自然の中で過ごすことができる「ネイチャリング ガーデン(NATURING GARDEN)」のイメージ。四季折々の自然が楽しめるこの公園を軸に、キャンプサイトやジムなどのさまざまな施設を順次オープンしていく。

最初に予定しているのは「ネイチャリング ガーデン」の造園だ。四季折々の自然とともにある時間を楽しめるよう、豊かな植生のガーデンを設営する。また、ガーデンに隣接して、自然との遊びに没頭できるキャンプサイトや農園も開設。農園では野菜を中心に栽培し、収穫物を施設内のレストランで提供する。さらに、地域の人々がガーデンの花を日常的に楽しめるようフラワーショップも設ける予定だ。

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キャンプサイトのイメージ。緑と水に恵まれた土地の魅力を存分に味わえる環境だ。

そして、森エリアに展開するのは「ネイチャリング ジム(NATURING GYM)」。自然の中で日常的に楽しく運動できるフィットネス施設や、スポーツの原型である「自然との遊び」の体験をサポートするアクティビティセンターの開設を構想している。センターでは、クライミングやトレッキングなど、周辺地域とも連携したアクティビティを提供していく予定だ。

子どもたちと共に文化を育む場所として「ネイチャリング ミュージアム(NATURING MUSEUM)」の開設にも力を入れる。子どもの自由な遊びをサポートする遊具を配した公園や図書館、アートのインスタレーションなどを配し、遊びと学びが横断的に体験できる施設となることを目指す。

ゴールドウインは、2022年に東京ミッドタウンや富山県美術館などで子どもたちに地球とのつながりを深める遊び場を提供するイベントを開催している。地球を構成する「地」「水」「火」「風」「空」の5つのエレメントをテーマに、さまざまな建築家がデザインした遊具を公園空間に設置し、大盛況となった。「この時の遊具のように、子どもの創造力を刺激する場にしていきたい」と渡辺社長は語る。

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「ネイチャリング ミュージアム」のイメージ。自然の中でのスポーツの原体験を通して、子どもたちの健やかな未来を育むことを目指す

さらに渡辺社長は、「2026年の開業を目指し、まずはガーデンから取り組んでいきます。官民連携の大規模なプロジェクトですから、10年規模の取り組みになるでしょう。将来的には、南砺市以外にも県内広域で展開し、地域に密着した事業で持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたいです」と力強く語った。

大人も子どもも楽しみながら、自然との健やかな関係性を育んでいく場。そんなプレイアースパーク ネイチャリング フォレストの完成を楽しみに待ちたい。

問い合わせ先/GOLDWIN INC.
https://www.goldwin.co.jp

 

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