ワイヤレス充電規格のQiを策定しているWireless Power Consortium(WPC)は1月3日(現地時間)、次世代規格となるQi2(チーツー)を発表した。Qi2対応の充電器やスマートフォンが、2023年末までに発売される予定となっている。
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Qi2は、WPCのメンバーでもあるAppleからMagSafe技術の提供を受け、それをベースに磁力で位置合わせを行える「Magnetic Power Profile」を導入。充電効率の向上と高速化を実現するとのことだ。
MagSafeは、Appleが2020年に発売した、iPhone 12シリーズから導入されているワイヤレス充電技術。Qiなどの従来のワイヤレス充電では、充電台にスマートフォンを置いた際に位置がずれて充電ができなかったり、充電が遅くなったりするという問題があったが、MagSafeでは、リング状に配置されたマグネットを利用することで位置ずれの問題を解決した。また、この磁力を利用して、モバイルバッテリーをiPhoneの背面に貼り付けたり、スタンドやカーマウントに貼り付けたりといった様々な使い方が生まれている。これをうらやましく思っているAndroidユーザーも多いだろう。
Qi2の具体的な仕様について言及はされていないのだが、開発者コミュニティサイトXDA-DevelopersがWPCの広報担当から聞いた話によると、まずはMagSafeと同じ最大15W充電を提供し、その後、より高出力な仕様も策定していくとのことだ。
従来のQiやMagSafeとの互換性が気になるところだが、WPCはプレスリリースの中で「業界をひとつのグローバルスタンダードの下に統合する」としているので、少なくともQiとの互換は維持するものと考えられる。
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現在、ワイヤレス充電と言えばMagSafeを含めてQiを真っ先に思い浮かべる人が多いのではないだろうか。だが、数年前まではQiとならび、AirFuelという規格も存在していた(もちろん、いまも存在している)。特に北米ではQi以上にシェアが高く、スターバックスなどにもAirFuelの充電器が採用されていたほどだ。
ただ、AppleがiPhone 8のワイヤレス充電規格としてQiを採用したあたりからAirFuelは急速に下火になった印象がある。その後、大きな動きはなかったのだが、WPCがQi2を発表したのと同じ1月3日、AirFuel RFという新規格を発表した。無線を利用し、数メートル離れたデバイスを充電可能にするというものだ。部屋などの特定空間にいるだけで、充電台などに置くことなく、充電を行うことが可能となる。
こうした数メートル単位の空間充電は、Xiaomiも2021年に「Mi Air Charge Technology」を発表しているが、出力が5Wと通常のワイヤレス充電と比べて低出力なのが難点。AirFuel RFも同様だが、今回はスマートフォンの高速充電ではなく、IoTなどの低電力デバイスへでの利用をターゲットにしているようだ。
「電子棚札やウェアラブル、IoTセンサーなどの小型デバイスにも組み込めるため、大規模で低電力なデバイスにとって魅力的なオプションになる」としており、特定の空間内にありさせすればバッテリーを気にすることなく使い続けられるので、確かにスーパー等での電子棚札(価格や商品情報を表示する小型ディスプレイ)には便利そうだ。
EUが2024年末までにモバイル機器にUSB Type-Cの搭載を義務化したことで、今後iPhoneもUSB Type-Cを搭載、あるいはポートを無くして完全無線化するという噂もある。もし完全無線化するのであれば、また何かしらのApple独自規格を用意するのではないかと考えれられる。いずれにしろ、2023年はワイヤレス充電の話題が盛り上がりそうなので、注目していきたいところだ。
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