大河初出演にして主演、『どうする家康』で松本潤が表現する“新たな家康像”

  • 写真提供:NHK
  • 文:SYO

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本記事では、その中から、NHK大河ドラマ『どうする家康』で主演を務める家康役の松本潤にインタビューした記事を抜粋・再編集して掲載する。

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2023年1月から放送されるNHK大河ドラマ『どうする家康』。脚本家・古沢良太による斬新かつ大胆な徳川家康像が話題になる中、大河初出演にして主演の大役を務める家康役の松本潤に作品への想いを訊いた。

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NHK大河ドラマ『どうする家康』

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『どうする家康』2023年1月8日放送開始/毎週日曜20時~20時45分 脚本/古沢良太 写真提供:NHK

現在の愛知県東部・三河の岡崎城主であった松平氏の嫡男として生まれた元康(幼名は竹千代)。「桶狭間の戦い」を経て、今川家からの独立を機に家康と改名。古沢良太が紡ぐ新たな家康像に、松本潤さんが息吹を与える。

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戦国時代は生死を分ける選択の連続。
周囲の得意不得意を見極めた、
適材適所の人材配置が家康の強み

60歳を超えて征夷大将軍に就き、江戸幕府を開いた徳川家康。織田信長、豊臣秀吉の出世の裏で着々と地盤を固めた遅咲きの名将、その知られざる青年期を描く『どうする家康』で、満を持してNHK大河ドラマに初挑戦するのが松本潤だ。撮影開始から約半年を経た折に話を訊くと、彼の口からは「選択」という言葉がこぼれ出た。

「これまで撮り終えた前半パートは、家康が悩む姿にフォーカスを当てています。都度、難題を突き付けられて『どうしよう』と悩み、なんとか乗り越えたらまた次の課題が・・・・・・という連続。まさにタイトル通り『どうする家康』で、演じる僕も常に翻弄されて『どうする松本』状態です(笑)」

描かれるのは、引っ込み思案でナイーブなのに、プリンスとして生まれた宿命に抗えず、苦悶する若き家康像。「“狸おやじ”と形容されるような、恰幅のいいおじさんのイメージを家康にもっていた」という松本さん自身、脚本を読んだ際には驚かされたという。

「家康に対して抱いていた印象が覆されましたね。同時に、彼が生き延びたことの凄さを実感しました。戦国時代は毎日が生きるか死ぬかの選択の連続。周囲の国や武将と比べて自分の非力を痛感しながら、選択を見誤らないように神経を張り巡らせるのがどれだけ大変だったか。別の道を選んだら死んでいたかもしれないところを、運も含めて、生き延びるほうを選び続けたからこそ彼は長生きできた。その結果、戦国時代を終わらせて将軍となり、江戸時代を切り開けたのではないかと思います」

家康の卓越した生存戦略。そのカギはなんだったのか? 松本さんは「自分の力でやらなかったこと。僕の中の家康像は、誰がやるかはあまり重要ではないと思っている人」と持論を展開する。

「彼が重要視していたのは『どうやって早くかたちにして成功させるか』。たとえば地理を調べて水路を引いて...というタスクやゴールに対して、最適な人物を配置できるのが家康の強み。周りが優秀だったという見方もあるでしょうが、家康は周囲の人間の得意不得意を見極め、情報をきちんとフェアして託す能力に秀でていたと感じます。適材適所は、選ぶ側に観察眼がないと難しいですから」

その根本にあるのも、松本さんの言う「選択」と「決断」であろう。そしてこのキーワードは現代にも通じる。実は松本さん、本作のオファーを一度断った経緯があるという。嵐の活動休止直前に飛び込んできた話だったためだ。

「まさか自分が大河ドラマの主演のお話をいただけるとは思っていませんでしたし、しかも家康!と驚きました。重大な決断こそ短い期間で下せるものではないと考え、ありがたいと思いながらも一度お断りさせていただいたんです。でも、粘り強く、心の準備が整うまで待ってくださいました。その熱意に身が引き締まりましたね」

苦渋の決断が、時に最良の選択となる。家康の“教え”を自ら体現する松本さんの雄姿が、まもなく顕現する。

松本潤

1983年、東京都生まれ。嵐のメンバーとして99年「A・RA・SHI」でCDデビュー。グループでの活動に加え、俳優として『金田一少年の事件簿』『ごくせん』『花より男子』『99.9 -刑事専門弁護士- 』など、人気ドラマに多数出演。映画では『僕は妹に恋をする』『陽だまりの彼女』『ナラタージュ』などで主演を務める。

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