スポーツハッチの魅力を再認識させてくれる、最強のフォルクスワーゲン・ゴルフRがすごい

  • 文:小川フミオ
  • 写真:フォルクスワーゲンジャパン
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もっともアイコニックなクルマといえるのが、フォルクスワーゲン・ゴルフ。1974年に初代が登場いらい、いまだに”鉄板”ブランドである理由は、絶えざる進化によるものだろう。

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見かけはアンダーステイテッド(控えめ)なのも特徴(写真:筆者)

いい例が、今回紹介する「ゴルフR」だ。ひとことで解説すると、シリーズ最強のゴルフ。高性能がこのクルマのセリングポイントだ。運転しても、感心するほどの性能ぶり。

高性能ゴルフといえば、75年に初代が登場し”アウトバーンのポルシェキラー”などと呼ばれたゴルフGTIがよく知られている。

GTIは初代から受け継いでいるフロントグリルのレッドラインをもち、かつLEDのシグネチャーランプをそなえた大型ハニカムグリルで、一目でわかる個性をもつ。

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太い4本のテールカッターは「R」のシンボルともいえるもの(写真:筆者)

2022年10月に日本発売された新型ゴルフRは、235kW(320ps)の最高出力と420Nmの最大トルクを発生する2リッターエンジン搭載。

GTI(180kW、370Nm)よりはるかにパワフル。かつ、GTIが前輪駆動にこだわるのに対して、Rは全輪駆動。ここも大きくちがう点だ。

外観上は、より大型化したエアダム一体型バンパーが眼をひく。車名の「R」はレーシングを意味していることから、大型エアダムは、速く走るための重要な機能部品だ。

リアに回れば、GTIが2本出しエグゾーストパイプをもつのに対して、Rは4本。ハイウェイで追い抜かれたとき、”あ、Rだ”とわかるだろう。

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10インチのタッチスクリーンは使いやすい位置にそなわっている

リアビューは、このようにドイツのメ−カーが、エクステリアデザインのなかでも大事にしてきている。ブランドを植え付けるのに、もっとも効率的だからだ。そこがおもしろい点。

GTIとおなじ2リッターエンジンながらより大きなパワーを受け止めるRの「4モーション」なる4WDシステムは、今回さらに改良されている。

新たに採用された「Rパフォーマンストルクベクタリング」は後輪駆動用に2つの多板クラッチを採用。左右後輪のトルク配分を適切にコントロールする。

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「R」モードでは回転計(中央)が大きくなり、右にGメーター、左にはトルク値が表示される

ステアリングホイールの操舵角や、アクセルペダルの踏み込み具合などをパラメターに使い、カーブを曲がっているとき、外輪の後輪により多くのトルクを配分。

加えて、電子制御式ディファレンシャルロックXDSとアダプティブシャシーコントロールDCC(後者はオプション)を統合制御する「ビークル ダイナミクスマネージャー」も用意される。

はたして、これらのシャシー技術によって、カーブを曲がるときの姿勢変化を最適化。

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Rパフォーマンストルクベクタリングの作動図

クルマって、カーブを曲がっていくとき、G(重力)が車体を外に押しだす自然の法則の影響を受ける。外に押しだされると、前に進む力が弱まってしまう。

そのため、上記のあたらしい4モーションなるシステムでもって、車体の向きをなるべく直進に向けていく。そうすると、前に進む力が強くなるからだ。つまりカーブを速く走れる。

ドライブしてみると、なるほど、すばらしい操縦感覚なのだ。高速道路の大きなカーブも、峠道の小さなカーブも、路面の線路があって、その上を走るように乱れなく、くいくいと曲がっていける。

かつ、パワフルなエンジンのトルクを存分に使わせてくれるツインクラッチ式変速機の制御もおみごと。

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インフォテイメントシステムのモニターから4つあるドライブモードを選ぶことができる

ドライブモードは「エコ」「コンフォート」「スポーツ」など好みで選べる。なかでもステアリングホイール上に「R」というスイッチがある。「レース」モードを親指で呼び出せる。

私などは「スポーツ」でも、いや「コンフォート」でも楽しめるのだけれど、「R」というか「レース」は、エンジンが活き活きと上の回転で回り、足まわりがシャキッとする。ゴルフRの真骨頂だ。

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「R」モード(レースモード)はステアリングホイールのスイッチのワンプッシュで呼び出せる

同時に、私が感心したのは、乗り心地。上記のように、スポーツカーのように走るのだけれど、路面への追従性がよく、高速では路面に吸いついたようなフラットな乗り心地で、不安感ゼロ。

荒れた路面でもやたら跳ねることがなく、凹凸をていねいに吸収してしまう。どんだけ足まわりにお金かけているんだと、感動ものだ。これこそ、フォルクスワーゲンの開発チームの面目躍如だろう。

大型化したブレーキの効きがいいのも、さすがスポーツゴルフである。ペダルを踏む力の強弱にも繊細に対応。いいスポーツカーは、ブレーキがすべてだと、あらためて思わせてくれる。

外観は、標準モデルに対して、大型のスポイラーと一体化したフロントバンパーが特徴。ただし悪目立ちしていない。

太いサイズのタイヤを履くが、車幅は扱いやすい1790ミリに抑えられているのも高評価ポイント。

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サイドサポートが大きいスポーツシートはゴルフR専用(写真:筆者)

内装は、専用のスポーツシートに、太巻きの小径ステアリングホイールなど、機能パーツがおごられている。同時にブルーのステッチが多用されていて特別感がしっかりある。

でも、印象としては、おとなっぽい。4本出しのテールパイプなど、知っているひとが見れば”お、Rだ”とわかるだろうけれど、知らないひとには、それほど強い印象を与えないかも。

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後席はスペース的に余裕があり、家族でも使える(写真:筆者)

そこがゴルフRのいいところだと、私は思っている。価格は639万8000円。同時に同じ内容でステーションワゴンボディのゴルフRバリアント(652万5000円)で発売された。

ハッチバックでクルマの楽しさに目覚めた世代は、いまいちど、この楽しいハッチバック車、いわゆるスポーツハッチに戻ってみるのもいいかもしれない。

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ゴルフ標準モデルより全高は15ミリ低くなっていてホイールハウスのクリアランスもぎりぎり

全長×全幅×全高 4295x1790x1460mm
ホイールベース 2620mm
車重 1540kg
1984cc直列4気筒ターボ 全輪駆動
最高出力 235kW@5350〜6500rpm
最大トルク 420Nm@2100〜5350rpm
8段ツインクラッチ変速機
燃費 12.3km/l(WLTC)
価格 639万8000円

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【写真】スポーツハッチの魅力を再認識させてくれる、最強のフォルクスワーゲン・ゴルフRがすごい

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見かけはアンダーステイテッド(控えめ)なのも特徴(写真:筆者)

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太い4本のテールカッターは「R」のシンボルともいえるもの(写真:筆者)

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10インチのタッチスクリーンは使いやすい位置にそなわっている

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「R」モードでは回転計(中央)が大きくなり、右にGメーター、左にはトルク値が表示される

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Rパフォーマンストルクベクタリングの作動図

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インフォテイメントシステムのモニターから4つあるドライブモードを選ぶことができる

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「R」モード(レースモード)はステアリングホイールのスイッチのワンプッシュで呼び出せる

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サイドサポートが大きいスポーツシートはゴルフR専用(写真:筆者)

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後席はスペース的に余裕があり、家族でも使える(写真:筆者)

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ゴルフ標準モデルより全高は15ミリ低くなっていてホイールハウスのクリアランスもぎりぎり