「渋谷にこそ、サウナが必要だった」
12月23日にオープンする渋谷SAUNAS。マンガ家で日本サウナ大使のタナカカツキさんが総合プロデュースをしています。そのカツキさんがプレオープンの日におっしゃっていた言葉です。渋谷にこそサウナが必要だったってどういうことなのか、まず詳しく聞いてみました。
タナカカツキさん:「都市生活者は脳を休める機会すらないでしょ?脳疲労を感じることは意外とむずかしくて、楽しいと体が疲れていても動いてしまうから、意識がしにくい分野なんです。だから積極的に休ませなきゃいけないんですよ」
リョウコ:「睡眠では脳は休まらないんですか?」
タナカカツキさん:「脳は休むためには適度な五感の刺激が必要なんです。木の動き、水の揺らぎなど、日常生活でふと入ってくる自然の音や感覚くらいの。でも都会にはそういうのを感じられる機会がすごく少ないんです」
リョウコ:「だから積極的にその環境のあるところに自分を置いていかなきゃいけないってことですね」
タナカカツキさん:「都会の人は働き方は知ってるけど、休み方を知らない。だからサウナがこれだけブームになったのは、こうやって休めばいいのかってわかりはじめたからでしょうね」
というわけで、渋谷SAUNASは都会の人たちが積極的に脳を休めさせる場所なんです。これまで、渋谷にはなんでもあるのにひとつ欠けていたのが「サウナ施設」でした。だからサウナ不毛地とまで言われていたり。しかも渋谷は1966年、日本で最初にフィンランドサウナができた場所なのに、です。
そんなフィンランドサウナの原点である渋谷にフィンランドサウナが戻ってきました。それが渋谷SAUNASです。
こんなサウナがあったらいいのに。こんな水風呂があったらいいのに。こんな外気浴ができたらいいのに。わたしが思っていた理想をすべて叶えてくれただけではなく、想像したことも、体験したこともない、もっのすごいサウナ。
どんなサウナなのか、ちょっと説明させてください。でも自分で行って、自分の目で見てびっくりしたい、体験したい方はここでストップで大丈夫です。予習しておきたい、サウナってどんなものなのか興味ある方は、どうぞお進みください。
まずSAUNASの概要から。建物全体でサウナは9つ。水風呂は4つ。さらっと言いましたけど、規格外です。サウナは男女別で毎日入れ替えなので、女性サウナ好きのあるあるなんですが「男性側はどんなふうかな」と想いを馳せることがありません。2回行けばすべてのサウナを楽しめます。
1階はレストラン、ワーキングスペースとショップ。
2階、3階がサウナです。
サウナ室、いきますね。
VIHTA SAUNA
その名の通り白樺の枝が束ねられたヴィヒタでいっぱいのサウナです。ここはラーメン一蘭のように、ひとりずつのスペースに仕切りがあって完全に1人の空間になれるサウナです。好きだなぁ。
HARMAA SAUNA
オートロウリュのサウナ。背中の壁が少し斜めになっているので絶妙なリラックス姿勢で座れました。足の部分も内側に傾斜がついていました。こだわりが感じられるサウナでした。
BED SAUNA
サウナがすいている時しかできない寝っ転がり。普段は怒られること、人目を気にしてできない寝っ転がりを堂々とするためのサウナ室。ここにしばらくいたら寝ちゃうかも。
MUSTA SAUNA
フィンランドのスモークサウナはぼんやり明かりがあるだけでほぼ暗いことが多いのですが、ここはそれが再現されたようなサウナ室。セルフロウリュのサウナです。落ち着きますね、照明の暗いサウナは。じわじわ蒸してくる感じもいいです。
KELO SAUNA x 2
こちらはウィスキング専用のサウナ。フィンランドでは「木の宝石」と呼ばれるものすごく希少な木材ケロが張り巡らされているケロサウナ。香りがすごくよかったです。この部屋でウィスキングを受けることを想像しただけで、一瞬ふわっと飛びました。
TUULI SAUNA
ここはアウフグースをするサウナ室です。この日は永井テツヤさんのアウフグースを受けられたのですが、大好きなヒバの香りのアロマで仰いでくれました。優しい顔なのに耳がもげそうなほどの熱波をバンバン容赦無くぶつけてくる永井さん、うぅ〜好きですよ!窓が大きいので外に揺れる緑を見ながら「水風呂水風呂」とこの後の天国を想像していました。
TEETÄ SAUNA
「TEETÄ」はフィンランド語でお茶。ここはドアも小さく、低く、にじり口のようになっていて、ドアを開けると、はい茶室のイメージです。ストーブを取り囲む冊、ここに足を載せていいんですって。お茶のロウリュができます。いい香り!
SOUND SAUNA
これまで8個のサウナ、すべて感激しましたが、このSOUND SAUNAだけは感激を飛び越えて、違う星にたどり着いてしまったような、今まで見たことも味わったこともないサウナです。まず、サウナはスピーカー屋さんが作ったそうです。サウナ室はまるでコンサートホールのような、壁と屋根。音と熱が跳ね返ってくるように設計されています。というか、もうスピーカーの中に入ってるみたいです。
音楽はとくさしけんごさん。これまでもMUSIC FOR SAUNAなど、サウナのための音楽を作っている作曲家さんです。サウナ音楽は世界第一人者だと思います。他にサウナのための音楽こんなに出している人、いないです。その方が作った音楽なんだから、もうサウナとの相性完璧。
ここだけは本当に異次元で、「異」なのにとても心地よくてずーっと音と熱につつまれていたくなる感覚でした。
しかしそうしていては、ぶっ倒れてしまうので水風呂へ。
SYVÄ
「深い」の意味で、深さ160cm。関東では一番深い水風呂で、頭まですっぽり入ってよし。
MATALA
こちらは寝ながら入る浅い水風呂。頭をヘリに乗せて、足を出して入るスタイルです。
水風呂のあとは外気浴。渋谷のど真ん中で、こんな自然の中にいるような外気浴スペース。
目に入ってくる情報は木と緑だけ。都会にいると情報が過多すぎて、神経が疲れ切ってしまいます。刺激的なので、交感神経が立ち上がったままイケイケドンドンと進んでいると、ある日突然プツリとダウンしてしまったりするのかもしれません。そんな都会人の体と脳をリセットするためのセラピーみたいな場所になるのが、渋谷SAUNASなんじゃないかなって思います。
渋谷SAUNAS
東京都渋谷区桜丘町18-9
不定休
営業時間:8時〜23時
料金 ¥3,080〜 ※要予約
https://saunas-saunas.com
文筆家、イラストレーター
コロラド大学大学院東アジア言語文明学科卒。2009年から外務省専門調査員として在シアトル総領事館勤務。在米中に出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』がベストセラーとなり世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でもあり、フィンランド政府観光局サウナアンバサダーに任命されている。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA!』がある。
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コロラド大学大学院東アジア言語文明学科卒。2009年から外務省専門調査員として在シアトル総領事館勤務。在米中に出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』がベストセラーとなり世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でもあり、フィンランド政府観光局サウナアンバサダーに任命されている。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA!』がある。
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