マームとジプシーがクラウドファンディングを実施 沖縄の過去と現在を見つめた2作品の映像化プロジェクト 

  • 文:梶原博子

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演劇作家の藤田貴大率いる劇団「マームとジプシー」が、10年にわたり沖縄に向き合い生まれた作品「Light house」「cocoon(2022年度版)」の2作をDVDとブルーレイとして販売するに当たり、製作費を2022年12月17日(土)10時よりCAMPFAIREにてクラウドファンディングで集める。

収録される2作は、いずれも2022年に上映されたもの。「Light house」は、2021年10月に沖縄県那覇市に開館した劇場「那覇文化芸術劇場なはーと」のこけら落としシリーズとして発表された作品だ。人がひとつの場所に集まることが特別になった現代において、「劇場」という場の幕開けを暗闇に向けて光やシグナルを発し続ける「灯台=Light house」と形容するところから構想した物語だ。空間演出に現代美術家の小金沢健人、衣装や空間を制作する橘田優子(kitta)、フィールドレコーディングエンジニアの東岳志、写真家の岡本尚文、装丁家の川名潤などの多くのクリエイターが作品の下に集まり、沖縄に流れる「今」という時間を見つめて、一つの作品を作り上げた。

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2022年2月から3月にかけて上演された「light house」。さまざまなクリエイターが集まり、沖縄の今を表現した。

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2022年7月から9月にかけて全国9都市で巡演された「cocoon」。

「cocoon」は2013年に音楽家の原田郁子とともに、沖縄戦に動員される少女たちに着想を得た今日マチ子の漫画「cocoon」を原作に、少女たちの賑やかな日常が戦争によって否応なしに死と隣り合わせの日々へと変貌していく様子を描いた。2015年に東京芸術劇場とマームとジプシーがタッグを組み、沖縄を含む全国6都市ツアーを開催。2020年に再再演を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となってしまう。同じメンバーで2年間の準備期間を設け、2022年7月から9月にかけて沖縄や北海道を含む全9都市で巡演を果たした。しかし、コロナの影響で「Light house」は全16回のうち11回、「cocoon」は全9回のうち7回が中止を余儀なくされ、マームとジプシーが主催して興行した東京公演は、約4500名分のチケット収入を得ることが出来なくなってしまった。本プロジェクトは、10年間沖縄を見つめ続けたマームとジプシーの記録を残すこと、そして観劇の機会が失われたより多くの人たちに作品を届けることを目的として、DVDとブルーレイを製作し、クラウドファンディングで5000枚以上の販売を目指す。

「Light house」「cocoon(2022年度版)」DVD/Blu-ray化クラウドファンディング
募集期間:2022年12月17日(土)〜2023年2月26日(日)
問い合わせ先/マームとジプシー
mum_gypsy@yahoo.co.jp