2021年11月16日、高級トースターや扇風機などのデザイン家電を扱うBALMUDAが新ブランド「BALMUDA Technologies」を立ち上げ、同社初となるスマートフォン「BALMUDA Phone」を発表した。
スマートフォンの大画面化が進む中、4.9インチという小型の端末、かつ日本メーカーの新規参入ということで大きな話題となったが、その価格はSIMフリーモデルで10万4800円、SoftBankでは14万円超。ハイエンドスマートフォンでは珍しくはない価格付けだが、BALMUDA PhoneはSnapdragon 765搭載のミドルクラス端末であり、同スペックの端末は5万円以下で購入できる状況だった。このため、発表直後から「高すぎる」「コスパが悪い」といった意見がネット上では吹き荒れた。
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BALMUDA Phoneは、製造こそ京セラが請け負っているものの、そのデザイン設計などはBALMUDAが自ら手掛けている。画一化的になっているスマートフォンが多い中で、手になじむデザインや、使い込むほど味わいが増す質感などを取り入れたとしている。爆発的なヒットを目指した製品でもないので、設計を含めた製造コストが製品単価に反映されるのは仕方がないところだろう。実際、そうしたコスト面での事情を察する意見も見受けられた。また、もともとBALMUDA製品は高価なものが多かったので、「ブランド品」と見なせば妥当な金額だったと言えなくもない。
ただ、そうした事情は消費者にとっては関係がない。いっそのこと、往年のVertu(数十万~数百万円する裕福層向けの高級携帯ブランド)やSamsungの心系天下シリーズ(企業役員など上流階級向けのハイエンドシリーズ)のように振り切ってしまえば良かったのかもしれないが、BALMUDAは「自由な心で夢見た未来を、技術の力で実現して人々の役に立つ」を会社のミッションとして掲げている。一部の裕福層向けの端末とすることを、良しとは出来なかったのかもしれない。
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そんなBALMUDA Phoneだが、端末の出来自体はそう悪いものではなかった。消費者目線では価格相応とは言いづらいが、片手で楽に扱えるサイズ感にUIのデザインもよく練り込まれている(個人的には、背面カメラと間違えやすい指紋センサの位置だけはいただけないが)。
特に独自アプリのスケジューラーや計算機は、単に機能を盛り込むだけではなく、利用シーンや利用者を考えた作りになっている。その分、とりわけスケジューラーは利用者を選んでしまうかもしれないが、アプリ単独でGoogle Playで配信されているので、日に何件も予定が入るような生活をしている人にはぜひ試してみてほしい。
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ともあれ、こうした良さは、手に取ってもらえないと伝わらない部分ではある。BALMUDA Phoneの評価の低さは、そこを怠ったBALMUDAにも責任はあるだろう。
その反省も踏まえてか、BALMUDA Phoneの発売1周年を記念して、特設サイト「Another Story」が開設された。BALMUDA Phoneの開発エピソードや、ユーザーによる使いこなし方法などが紹介されている。発売直後ならまだしも、1年経ってからこうしたサイトが立ち上がるのは非常に珍しい。
残念ながら、BALMUDA Technologiesの次期製品、つまりBALMUDA Phone 2の投入スケジュールは後ろ倒しになることが11月に発表されている。これは開発が遅れているわけではなく、現在の急激な円安により原価率上が上昇してしまい、製品投入のタイミングを計りかねているという状況のようだ。
Another Storyの立ち上げは、BALMUDA Phoneの良さをアピールしつつ、次期製品まで話題を提供し続けるという目的もあるのだろう。サイト紹介には、「物語はすべて進行形で、次の表現へと続きます。ぜひ、ご期待ください」との一文が記されている。次期製品がBALMUDA Phoneの評価を覆せるようなものになるのか、いまから楽しみにしておきたいところだ。
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スケジューラー
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計算機アプリ
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カメラアプリ
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