アストンマーティンが日本で手がける住宅? 南青山に4階建てが誕生予定

  • 文:小川フミオ
  • Photography Aston Martin Lagonda

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自動車メーカーはいま、ライフスタイル企業を志向している。いい例が、英国のアストンマーティン・ラゴンダ社だ。多分野での活動に積極的なのだ。

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N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martinのファサードはハイテクイメージ

2022年11月28日に発表されたのは、「N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martin」と名付けられた住宅。

タイトルどおり、東京・南青山に、日本の不動産会社とプライベートホームを建てるというプロジェクトだ。

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N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martinの内装はアストンマーティンのデザイン部門がキュレーションを行う

いま、高級自動車ブランドがファッションを手がけるのは当たり前の感があるが、アストンマーティンは早かった。紳士服のHacket Londonとは2004年にパートナーシップを結び、スポーティなガーメントを送りだしている。

家具の分野でも、伊のFormItalia社と提携し、ソファ、デスク、ドロウアー、チェアなど、数多くの製品を手がけている。基本造型はシンプルながら、色づかい、素材、そしてアクセント的なひねりが特徴的だ。

「N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martin」もアストンマーティンのもつ、ぜいたくさを強く感じさせる設計になりそうだ。

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N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martinの屋上のイメージ

「メタルブレードのようなハイテクイメージのファサードをもち、中央階層にガラスをはめ込んで眺望が楽しめるような設計です。ワインセラー、ホームシアター、ジム、プライベートスパをそなえています」

この企画を進めてきたアストンマーティンでヘッドオブパートナーシップを務めるスコットランド出身のカハル・ラフナン氏は、ジャーナリスト向けの発表会の席上で上記のように語った。

「最初の段階から、デベロッパー、施工会社、設計者、それにアストンマーティンのデザイン部、そして施主も加わって、毎週オンラインで企画を進めるという、業界としてはた大変珍しいスタイルで進みました」

この住宅を手がけた不動産会社、VIBROAの吉田利行代表取締役CEOは、そう説明してくれた。

この「デザイン・バイ・アストンマーティン」住宅は、115坪の土地を使って建てられる。地上3階、地下1階の、個人邸宅。

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N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martinの部屋から車庫が眺められるオートモーティブギャラリー

「なかでも、私たちがオートモーティブギャラリーとよぶ、家のなかからクルマを眺めていられる部屋にこだわりました」(ラフナン氏)

自動車メーカーとしてのこだわりも見せている。車庫と部屋を隣接させるのは、けっこうたいへんなようだけれど、それもクリアしたと、前出の不動産会社VIBROAの担当者は語る。

アストンマーティンは日本より前に、住宅分野に進出を果たしている。

マイアミはビスケーン湾のタワー型高級レジデンス「アストンマーティン・レジデンシズ」や、ニューヨーク州ラインベックの個人邸宅。アジア初となった日本では、この先、京都でも計画があるとか。

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2019年に、米G&G luxury residential developmentとマイアミに作ると発表された66階建てのアストンマーティンレジデンシズ

「これは(アストンマーティン・ラゴンダ社=正式社名の)戦略的成長計画の一環です」

英国本社でヘッド・オブ・コーポレート&ブランドコミュニケーションを務めるポール・ガーベット氏は、アストンマーティンが積極的に他社とのコラボレーションを進める背景を教えてくれた。

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エアバス・コーポレート・ヘリコプターのACH130

たとえば、ACH(エアバス・コーポレート・ヘリコプター)と組んで開発中のラグジュアリアスなヘリコプター「ACH130アストンマーティンエディション」。

戦前の名門二輪ブランドが復活したブラフシュペリアとの「AMB001」なるモデルの制作。マーケットを大きくとらえているのが特徴的だ。

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1919年から40年までの英国の高級バイク、Brough Superiorが2013年によみがえり、19年にAMB001を発表

997ccの88度Vツインターボエンジンを搭載し、134kWとおどろくほどの高出力をしぼりだすサーキット専用のスーパーバイクだ。アストンマーティンとのコラボレーションモデルは100台限定という。

「F1由来の技術をフルに活かしたヴァルキリーやヴァルハラのようなハイパースポーツカーや、プレミアムSUVのDBX707などを手がけるいっぽう、さまざまな分野でプレゼンスを確立していくのが重要」

前出のポール・ガーベット氏の言葉である。

クルマをテーマにした住宅というと、かつてクライン・ダイサムアーキテクチャー(T-SITEやGinza Place)が手がけた名古屋の「Vrooom!」(1999年)などが思いつく。6台の車庫とリビンススペースを合体させたユニークな発想の建物だ。

日本での住宅、資産価値を考えるとあまり冒険はできないかもしれない。でも、スポーツ性とかラグジュアリー性とか環境適合性とか、アストンマーティン車と共用できるイメージは多いはず。これからも期待したい。

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【画像】アストンマーティンが日本で手がける住宅? 南青山に4階建てが誕生予定

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N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martinのファサードはハイテクイメージ

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N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martinの内装はアストンマーティンのデザイン部門がキュレーションを行う

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N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martinの屋上のイメージ

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N°001 Minami Aoyama Designed by Aston Martinの部屋から車庫が眺められるオートモーティブギャラリー

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2019年に、米G&G luxury residential developmentとマイアミに作ると発表された66階建てのアストンマーティンレジデンシズ

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エアバス・コーポレート・ヘリコプターのACH130

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1919年から40年までの英国の高級バイク、Brough Superiorが2013年によみがえり、19年にAMB001を発表