スポーツカーが高性能のSUVになった、「911ダカール」なる驚異のモデルが登場

  • 文:小川フミオ
  • Photography Porsche AG

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ポルシェが「911ダカール」という、じつに魅力的なモデルを発表した。いってみれば、スポーツカーとSUVの合体だ。

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2022年秋のLAオートショーで発表され2500台だけ限定販売される

カッコは911なのだけれど、車高が高い。しかも車体にはステッカー、ルーフにはキャリア(ステッカーとキャリアはオプション)。

知っているひとはすぐ気づくと思うけれど、往年の「パリ−ダカールラリー」出走車のイメージを活かしたモデルだ。

ポルシェは、じつはラリーに熱心なメーカーで、1960年代から世界ラリー選手権に911で参戦してきた歴史をもつ。

もっとも有名なのは、モンテカルロラリー。68年の911T、69年の911S、70年の911Sと、3年連続で優勝している。しかもどの年も、2位も911。

今回の911ダカールは、苛酷な砂漠のラリー「パリダカ」において優勝した、1984年の953と、86年の959をイメージの下敷きにしている。

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911のボディにラリー用に開発された4WDシステムを組み込んだ953

953は、ラリーのために開発した4輪駆動システムを、911に組み込んだモデル。総合優勝だから戦闘力はかなりのものだった。

953の4WDシステムは、本来はグループBという世界ラリー選手権のモンスタークラスに投入しようとしていた959のために開発していたものだった。

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超がつく高性能で高い戦闘力を発揮した959は86年の「パリーダカールラリー」総合優勝

ポルシェはそこで、959をパリ−ダカールのために作りかえ、それで二度目の総合優勝をものにしたのだった。

959は、ルマン24時間レースなどに出走していた962C用の水冷ヘッドをもった2.8リッター水平対向6気筒エンジン搭載。

大小のターボチャージャーが段階的に働く、シークエンシャルターボを組合せ、最高出力は450馬力などと言われた。加えて、当時画期的だった電子制御の4WDシステムの組み合わせ。

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1983年にコンセプトが発表されてそのスタイリングも驚きだった「グルッペB」(WRCのグループB参戦を目的に開発中だったマシン)

911ダカールを見ると、上記のような事柄がパパッと頭に浮かぶ。953や959のロスマンズカラー(スポンサーだったタバコブランドのRothmans)を思わせるカラリングが特徴的だ。今回は「Roughroads」だけれど。

性能は、現代のスポーツカーだけあって、かなりのもの。353kW(450ps)の最高出力を発生する6気筒ツインターボエンジンに、4WDシステムの組み合わせ。

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911より50ミリ車高が高く、さらにエアサスペンションによって前後とも30ミリずつ車高を上げることもできる911ダカール

リアアクスルステアリング(後輪操舵機構)、911 GT3からのエンジンマウント、PDCCアンチロールスタビリティシステムも標準装備。

「911カレラのスポーツサスペンション仕様車を50ミリ上回る車高」で、「SUVに匹敵」するロードクリアランスが謳われている。かつオフロードを走るためのオールテレインタイヤ装着。なのに、時速100キロまで3.4秒で加速してしまう。

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フルバケットシート装備でリアシートもないものの、質感高く仕上げられている内装

ドライビングモードは911ダカール専用。ステアリングホイールの回転式のセレクターには、「ラリーモード」と「オフロードモード」が加えられた。911にはないモードだ。

「ラリーモードは、起伏のある緩い地面に最適なモード」(ポルシェ)。後輪の駆動力を重視した4WDとなる。オフロードモードは「難易度の高い地形や砂地でトラクションを最大限に引き出します」とポルシェ。このモードでは、車高が自動的に上がる。

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911ダカールには「ラリーモード」と「オフロードモード」が用意される

オフロードでのスポーツ走行を可能にしているのが、さすがポルシェというべきか。「ラリーモード」と「オフロードモード」にも、ローンチコントロールがそなわる。

アクセルペダルを強く踏み込んでもタイヤが空転しないよう、コンピューターが制御しながら、かつ、するどい加速をもたらすための技術がローンチコントロール。

「約20パーセントの車輪の空転を許容し、緩い地面での抜群の加速を可能にします」とポルシェではしている。

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「Pirelli Scorpion All Terrain Plus」タイヤ(フロント245/45ZR19、リア295/40ZR20)を専用開発

ボディには、炭素樹脂製固定式軽量リアスポイラーをはじめ、911GT3から採用されたエアアウトレットをもつ炭素樹脂製フロントラゲッジコンパートメントリッドを装備。

車体前後には赤色で塗装されたアルミニウム製けん引バー。さらに、クリアランスの大きなホイールハウス、幅広なサイドシルも目をひく。フロント、リア、サイドシルにはステンレススチール製のプロテクションが設けられている。

ルーフバスケットはオプション。42キロの耐荷重をもち、燃料や水筒、折りたたみ式シャベル、トラクションボードなどの”ラリー装備”を積載することができるそうだ。

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ルーフバスケットに装着されたライトの一般公道での使用は禁止、というのもなんだかオーナーの心をくすぐるではないか

インテリアでは、フルバケットシートが標準装備。リアシートは装着されない。このあたりもスポーティな演出といえる。

軽量ガラスと軽量バッテリーによる軽量化によって、車重は「911カレラ4GTS(PDK仕様)よりわずかに10kg重い」(ポルシェ)1605キロ。

ステアリングホイールの位置は左右いずれからも選べ、価格は3099万円と発表されている。「1984年パリ−ダカールラリーの優勝車をイメージしたスタイリングのラリーデザインパッケージ」は433万7000円のオプション。2500台限定で、2022年11月17日から日本国内では受注が開始されている。

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1984年パリーダカールラリーの優勝車の外観を再現したという「ラリーデザインパッケージ」未装着のモデル

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【画像】スポーツカーが高性能のSUVになった、「911ダカール」なる驚異のモデルが登場

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2022年秋のLAオートショーで発表され2500台だけ限定販売される

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911のボディにラリー用に開発された4WDシステムを組み込んだ953

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超がつく高性能で高い戦闘力を発揮した959は86年の「パリーダカールラリー」総合優勝

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1983年にコンセプトが発表されてそのスタイリングも驚きだった「グルッペB」(WRCのグループB参戦を目的に開発中だったマシン)

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911より50ミリ車高が高く、さらにエアサスペンションによって前後とも30ミリずつ車高を上げることもできる911ダカール

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フルバケットシート装備でリアシートもないものの、質感高く仕上げられている内装

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911ダカールには「ラリーモード」と「オフロードモード」が用意される

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「Pirelli Scorpion All Terrain Plus」タイヤ(フロント245/45ZR19、リア295/40ZR20)を専用開発

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ルーフバスケットに装着されたライトの一般公道での使用は禁止、というのもなんだかオーナーの心をくすぐるではないか

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1984年パリーダカールラリーの優勝車の外観を再現したという「ラリーデザインパッケージ」未装着のモデル