若手社長(満島真之介)がオフィスでリモート会議をしていると、突然、左右の窓から大きな手が侵入してくる。顔や体を触わられ、悲鳴を上げる若手社長。実は彼がいるのはテレビ番組の “ブラックボックス”。中に入っているものを当てようと、男性が手を入れていた…。「オフィスの借り主さんが、どんな人なのかは分かりにくい」というコピーとともに9月30日から放送された、ジェイリースのCM「オフィスにて…」篇だ。
ジェイリースは2004年に創業し、家賃保証サービスで成長した新興企業。家賃保証(賃貸保証)とは、アパート、マンションなどの家賃滞納があった場合に、連帯保証人に代わって家主や不動産会社に立替え払いをするシステムだ。核家族化や高齢化の影響で連帯保証人を立てられない借り主が増え、ニーズが高まっているという。同社では、オフィスや店舗の「事業用賃貸物件」でも同様のサービスを展開。こちらもコロナ禍以降の退去企業増加などで需要が高まり、2020年から2021年にかけては売り上げが158%急伸したという。今回はさらなる認知向上を図りたいと、満島真之介を起用したCMを企画した。
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監督は『突撃!南島原情報局【神回】』の渋江修平
企画を手掛けたのは、電通の吉川隼太氏。ロッテのアイスクリーム「爽」の仕事で木べらのスプーンを鉛筆を模した形にリ・デザインしたり(「お絵かき爽ハッピー」)、神戸新聞の防災キャンペーンで、避難所生活に必要なものを新聞に乗せて集められるようにしたり(「並べる防災」)と、ユニークな企画を展開してきたクリエイティブディレクターだ。
監督は、今田美桜が“聖子ちゃんカット”で歌った「タマホーム」や、松平健が弁当を食べて“マツベンサンバ”を披露する「松屋」などのCMを手掛けた渋江修平。池松壮亮主演の『シリーズ横溝正史短編集』や、満島ひかり主演の『シリーズ江戸川乱歩短編集』(ともにNHK)といったドラマも演出している。とりわけ秀逸だったのは、長崎県南島原市のブランディングムービー『突撃!南島原情報局【神回】』だ。満島ひかりが観光振興課の職員や天草四郎にふんして話題となり、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2021の「BRANDED SHORTS」の最高賞などに輝いた。ジェイリースのCMも、渋江氏のセンスが生かされたものといえる。
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リアクションを引き出すアナログな撮影
メイキング動画を見ると、撮影では巨大な柔らかい棒で指を再現。リアルに満島真之介の顔を突いたり、歪ませたりした上で、CGの指に置き換えている。バーチャルな撮影に対応し、キレの良い演技を見せる満島もさすが。シンプルなアイデアと俳優の演技で楽しませる、小気味よいCMだ。
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ジェイリースCM「オフィスにて…」篇(30秒)
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ジェイリースCM「オフィスにて…」篇/メイキング映像 (1分30秒)
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