UFOとの遭遇件数が急増 「半数以上がドローンなど、しかし残りは正体不明…」米報告書 

  • 文:松丸さとみ

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2015年にアメリカ海軍のパイロットが撮影した「ジンバル」として知られるUFO動画。今回の報告書にはこれに似た目撃情報も含まれているという。

366件中150件以上が「正体不明」

アメリカ連邦議会用に作成された未確認航空現象(UAP)、いわゆる未確認飛行物体(UFO)に関する報告書によると、ここ1年間で確認された目撃情報366件のうち、気象観測用の気球や中国のドローンなどの説明がつくものが半数以上を占めるが、残りの150件以上は説明がつかず、その正体は謎のままであるという。イギリスのタブロイド紙デイリーメールが報じた。

この報告書は、アメリカの情報機関を統括する政府機関、国家情報長官室(ODNI)が作成した。10月28日付のニューヨーク・タイムズ紙など複数のメディアが、10月31日の週に報告書が連邦議会に提出される見込みだと報じていた。これは、2021年末に署名された2022年度国防権限法により、アメリカ政府は2026年まで、毎年10月31日までにUFOに関する報告書を議会に提出する義務があるためだ。

しかし、実際に提出されたか否かについての報道は今のところ出ていない。また、報告書が間もなく公開されると報じた11月3日付のロイター通信は、ODNIの報道官が報告書の内容について発言を拒否したとしていた。

一方でデイリーメールは、ODNIの消息筋が匿名で同紙に情報を提供したとして、報告書の詳細を報じている。同紙によると報告書は、ここ1年で目撃されたUFO情報366件について22ページにまとめている。報告書に記載されていた目撃情報には、「チックタック」や「ジンバル」などとして有名な、米軍の戦闘機パイロットが撮影した動画(国防総省が2020年に正式に公開しており、一連の資料とともにダウンロードが可能だ)に似たものが含まれているという。

今回の報告書では、366件のうち地球上の物体として確認されたものは、半数以上を占めた。米軍のパイロット訓練に関する情報を収集しようとしていた中国のスパイ・ドローンや、気象観測用の気球などだ。残りの150件以上は、「正体不明」だという。

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報告件数急増、将来的にはより詳細に?

FOXニュースでのインタビューに答えるデイリーメールのボズウェル記者

ODNIが2021年6月に報告書を公表した際には、2004年から2021年に報告された144件(うち説明がつかなったのは143件)のUFO目撃情報をまとめていた。今回は1年間で366件と急増したことになる。この理由について、アメリカのニュース専門テレビ局FOXニュースに出演したデイリーメールの記者ジョシュ・ボズウェルは、「報告手続きがしっかり作られたこと」と説明しながらも、「UFOとの遭遇件数は増えているようだ」とも述べた。

デイリーメールに情報を提供した消息筋は、機密扱いの動画で「ものすごいもの」はとにかくたくさんある、と話しているという。また、動画に映っているものが何だかまったく分からないため、ODNIはこの動画について語りたがらない、とも述べたという。

とはいえ、消息筋が同紙に明かした話によると、ODNIはこれまで、積極的にUFOの情報を探すというより、偶然遭遇したデータを分析していたが、ここ半年ほどの新たな動きとして、今後は能動的に調査を行う計画を立てているようだ。消息筋はデイリーメールに対し、「将来的な報告書は、もっと詳細になり、もっと多くのデータが盛り込まれるようになると思う」と説明している。

国防総省が公開しているUFO動画などの資料

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【動画・画像】UFOとの遭遇件数が急増 「半数以上がドローンなど、しかし残りは正体不明 …」米報告書 

2015年にアメリカ海軍のパイロットが撮影した「ジンバル」として知られるUFO動画。今回の報告書にはこれに似た目撃情報も含まれているという。

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報告件数急増、将来的にはより詳細に?

FOXニュースでのインタビューに答えるデイリーメールのボズウェル記者

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国防総省が公開しているUFO動画などの資料(※画像をクリックすると資料に)

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【動画】「今まで聞いた音で一番気味が悪い」 NASAが投稿したホラー映画のような“ブラックホールの音”にネット民騒然

宇宙を頭に思い描くとき、どんな音を想像するだろうか? 宇宙は真空なので音はしない、と思われがちだが、実はそうではないらしい。このほどアメリカの航空宇宙局(NASA)が「ブラックホールの音」をツイッターに投稿したところ、まるでSFホラー映画ばりのおどろおどろしい音に、ツイートが拡散されて話題になっている。

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この音は、ペルセウス座銀河団にあるブラックホールから発せられている。ブラックホールから音が出ているという事実は、2003年にX線天文衛星「チャンドラ」が音波を観測したことで明らかになっていた。ブラックホールから出てくる圧力波が、銀河団内にあるガスに波紋を起こして音になるという。とはいえ、この音は中央ハ(ピアノでいえば真ん中のドの音)よりも57オクターブほど下の音階になるため、そのままでは人間の耳で聞くことはできない。

そこでNASAは、「ソニフィケーション」(可聴化)と呼ばれる、データを音に翻訳する作業を行った。ペルセウス座銀河団のブラックホールの音データやその他のデータを加工して増幅し、人間の耳に聞こえるようにしたのだ。この音源は5月、NASAがブラックホール・ウィークを開催した際に公開されていたが、今回NASA Exoplanetsのチーム(太陽系外惑星や生命体の可能性について研究しているチーム)がツイッターに改めて投稿したところ、48万件以上のいいねが付くなど、大きな反響となったのだ。

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別のブラックホールからはまったく違う音も

NASA Exoplanetsのツイートには、「ゾッとする音だ」や「チベットの僧侶の声みたい」「今まで聞いた音で一番気味が悪くて今夜眠れないかも」などのコメントが寄せられている。また、映画『スペース・オデッセイ』で使われた音楽に似ているとの指摘もあった。

映画『スペース・オデッセイ』トレイラー

画像の中でレーダーのように回転しているイメージは、さまざまな方向に放出されている音を捉えている様子を視覚化したものだという。また、青や紫の部分は、人工衛星チャンドラが捉えたエックス線のデータを視覚化した。

ブラックホールというと、あらゆるものを吸い込む恐ろしいもの、というイメージがあるのではないだろうか。今回ツイッターに投稿されたペルセウス座銀河団のブラックホールはまさにそのイメージにぴったりの恐ろしい音だが、同じブラックホールでも別の場所だと違うようだ。

NASAは、おとめ座銀河団にあるメシエ87のブラックホールから発せられているデータもソニフィケーションしている。こちらは、X線、可視光線、電波という3つのタイプの光の波長を音に解釈したもの。実際の音データを使用したペルセウス座銀河団のブラックホールの音とは性質が異なるが、あのおどろおどろしい音とは打って変わって、リラックスできそうな爽やかな音になっている。

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【動画・画像】「今まで聞いた音で一番気味が悪い」NASAが投稿したホラー映画さながらの“ブラックホールの音”にネット民騒然

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映画『スペース・オデッセイ』トレイラー

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おとめ座銀河団にあるメシエ87のブラックホールから発せられているデータもソニフィケーション

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スペース・オデッセイに似てる、と指摘するツイート

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【動画】60年代、ソ連が闇に葬った女性宇宙飛行士がいた? いまも残るSOSの音声記録

人類初の有人宇宙飛行を成功させ、宇宙開発史にその名を残したソ連のユーリー・ガガーリン。1961年にこの偉業を成し遂げたガガーリンだが、彼の成功直後に宇宙を目指し、闇に葬られたソ連の女性宇宙飛行士がいたという噂が囁かれている。

イタリアの無線愛好家の兄弟が1961年、燃えゆくソ連の宇宙船から助けを求める女性宇宙飛行士の声を傍受したと主張し、世間を驚かせた。これを録音したとされるものが、現在も残る。

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【動画】録音された、助けを求める女性宇宙飛行士の声


Lost Cosmonaut-YouTube

英デイリー・スター紙が要所の英訳を掲載しているので、さらに日本語訳にした形でご紹介したい。

残された音声は生々しいトーンで、徐々に悪化する船内の状況を訴えている。「聞いて……聞いて! 応答せよ、応答せよ、応答せよ。話して! 話して!」「暑い! え? 45、50。よし、よし。息、息。酸素、酸素。暑い、危険じゃない?」

声は次第に感情的になりながらも、交信を確保しようと試みる。「本当に……そう……これは? 何? 応答して! どう発信すれば。そう。何? 発信を開始。41。こうだ。できた。暑い。本当に……暑い。暑い。」

最後には炎がコックピットに達したのか、次のような言葉が残されている。「炎がみえる。炎がみえてる! 暑い。暑い。32。32。41。墜落するの? そう、そう。暑い。暑い! 再突入する」

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大気圏再突入に失敗?

この音声データが事実であれば、ソ連がガガーリンの直後に有人宇宙飛行に失敗し、犠牲者を闇に葬っていたことになる。デイリー・スター紙は、「この宇宙飛行士は地球の大気圏に再突入する際に技術的問題に見舞われ、『消えた』とされる」と報じている。ミッションが失敗したことで、ソ連はミッションの存在自体を隠ぺいしたとの見方がある。

時系列を整理すると、ガガーリンがボストーク1号に単身搭乗し、人類初の有人宇宙飛行を成功させたのが1961年4月だ。「地球は青かった」との名言を残したのもこのときだ。より忠実な訳では、「空はとてもとても暗く、地球は青みがかった色をしていた」となる。

早くも約1ヶ月後の同年5月5日、当時激しい宇宙開発競争を繰り広げていたアメリカは、マーキュリー3号にアラン・シェパード氏を登場させ、有人宇宙でソ連に追いつく。

リードを広げたいソ連は同年8月、ボストーク2号にゲルマン・チトフ氏を乗せ、地球17周の旅を成功させた。チトフ氏はソ連で2番目の宇宙飛行士として名を残している。

一方、本音声は同年5月23日に傍受されている。帰還に成功していれば、ソ連で2番目の宇宙飛行士、かつ世界初の女性宇宙飛行士として知られることになっていたのかもしれない。ただし、この音声記録については陰謀論の類だとの捉え方もあり、必ずしも信憑性があると考える人ばかりではないようだ。

いずれにせよ、鬼気迫るこの音声は人々の興味を惹き、数年ごとに話題となっている。2014年には、実際の音声をもとに事件を映像化した5分間の短編映像作品『Kosmonauta』が制作された。

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【動画】実際の音声をもとに映像化した『Kosmonauta』

Kosmonauta-Vimeo

今日ではイーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏などが率いる民間宇宙企業も含め、ロケット開発の進展が華々しい。その影で、2003年にはアメリカのスペースシャトル「コロンビア号」が大気圏再突入に失敗して空中分解する痛ましい事故が起きるなど、宇宙開発は成功と失敗の繰り返しだった。歴史の影に、人知れず犠牲となったソ連の宇宙飛行士がいたのかもしれない。

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