キャンプに釣り、そして登山。「自然に触れていないと生きていけない」と語るほどのアウトドア愛好家である、俳優の金子貴俊。そして、日本のさまざまな文化を紹介する「BEAMS JAPAN」のディレクター/バイヤーとして日々、日本各地を巡っている鈴木修司。木漏れ日が差し込むキャンプサイトで、シングルモルトウイスキー「グレングラント」を楽しみ、語らいの時を過ごす。
針葉樹林の中に設けられたキャンプサイトで金子貴俊と鈴木修司のふたりを出迎えるのは、スコットランドのスペイサイドでつくられるシングルモルトウイスキー、「グレングラント アルボラリス」。
キャンプとウイスキーといえば、夜に焚き火を眺めながら、というシーンを多くの人が思い浮かべるだろう。しかし現在の時刻は午前11時。「まだウイスキーには早い」、そう考えるのが普通の時間だ。しかしこのグレングラント アルボラリスはいわゆるスモーキーさを前に出したものではなく、明るく爽やかで、フルーティで華やかなフレーバーが特徴だ。
金子は水割りで、そして鈴木はロックで。シェラカップに注がれたグレングラント アルボラリスを片手に、キャンプについて語り合うふたり。芸能界きってのアウトドア愛好家の金子は、キャンプで飲むウイスキーは格別だと話す。
「僕の場合は、ウイスキーを楽しみにキャンプに行っている感じです。家で飲むお酒もいいんですが、僕はウイスキーがおいしく感じるのはやっぱり自然の中だと思っていて。木の樽で育てられているお酒だから、こういう森林のサイトに来ると木の香りや土の香りがウイスキーとものすごくマッチして、より芳醇になる感じがするんです」と金子。
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そんな金子の言葉になるほどと頷く鈴木。「BEAMS JAPAN」のディレクター/バイヤーとして日本全国を巡るなか、訪れた土地では必ず居酒屋を2軒、3軒とはしごするほどのお酒好きだ。しかし、キャンプ場を訪れるのは数年ぶり。このシチュエーションでお酒を飲むのは新鮮だという。
「金子さんの実体験から出てくる言葉を聞くと、自然の中で飲むウイスキーのおいしさがとてもよくわかります。僕も山の中に入っていって漆の職人さんのところでお話を聞いたり仕入れたりをするんですが、そういう時はわざわざ市街地まで帰ってきて宿泊するんです。でも、食材を用意してキャンプ場に泊まってお酒を飲んでみるのもいいなという気持ちになりました」と鈴木。
「鈴木さんのように全国を旅している方にとっては、キャンプを通じて環境を肌で感じることで、その土地の自然や、その自然が育んだ文化の成り立ちを体感できて面白いと思いますよ。海が奇麗だったり、今日のような森だったり、行った場所によって楽しみ方も違うので」と金子が応える。
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特に金子が思い出に残っているのが、香川県にキャンプに行った時に立ち寄った父母ヶ浜(ちちぶがはま)。
「日本のウユニ塩湖っていわれる場所で、潮の満ち引きによって砂浜が鏡のようになって、そこにすごく奇麗な夕焼けが映って素敵な景色を見ることができるんです。その近くにキャンプ場があって、砂浜から瀬戸内海の穏やかな風景を見ながら、讃岐牛のステーキを焼いて食べるとか。地元の精肉店に行くとミスジのステーキがリーズナブルに買えるんですよ。その土地で、その場所だからこそ楽しめるものがあって。白馬でキャンプした時には、白馬三山を見ながらおいしい湧き水でウイスキーを水割りにしたり」と金子。
「僕はいつも居酒屋とかバーとか、インドアで飲んでいましたが、金子さんのお話を聞いているとキャンプに行きたくなりますね」と鈴木。訪れた土地でつくられる焼き物を仕入れる機会も多く、各地で出合った器を使ってキャンプをすれば、当地の食材やお酒もまたひとつ深く理解できるかもしれない、そう想像を膨らませる。
「金子さんが教えてくださったように、木の樽から生まれるウイスキーを、木と土のなかで飲むことでおいしさが倍増するということは、僕にとって目からウロコでした。ウイスキーはどっちかというと、気の利いたバーで飲むとか、家でしこたま食べたあとに寝酒のように飲むイメージでしたから。ウイスキーの新しい飲み方を教えてもらいました。キャンプは道具を用意したり準備の手間もかかりますが、山の中にふらっと出かけて、ヴィンテージのスキレットでおいしいウイスキーを持って行って飲んでみたいですね」と鈴木。
「僕にとっても、昼からウイスキーを飲んだのは新しい体験でした」と語る金子。昼のキャンプサイトでグレングラント アルボラリスを飲んだことで気がついたことがひとつあるという。
「たぶん、森の香りが夜と昼では違うんですよね。太陽の日射しを浴びた森が元気に呼吸をすることで、森の中の香りがふわっと豊かになる。それを感じながらウイスキーを飲むから最高なんですよね。森の天然のアロマと、このウイスキーのアロマのマリアージュっていうのは新鮮でした」
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その言葉に強く頷いた鈴木は「金子さんは“昼のウイスキーの親善大使”になれると思います」と笑い、そしてお酒の印象をこう語った。
「昼間、しかも午前中からウイスキーという概念はなかったですし、家では『ウイスキー用のグラスはこれ』と決めたものがあってそれでしか飲まないので、シェラカップで飲むことも新鮮でした。でも、その新鮮さはいつもウイスキーを飲む際の状況やシーンの違いだけではなくて、このグレングラント アルボラリスの味と香りからも来ていると思います。長期熟成のスコッチのような重厚感はないけれど、華やかで満足感はしっかりあって。このシチュエーションにすごく合うお酒だなと感じました」
「尖ったパンチがまったくなくて、口当たりがまろやかですよね。身体に違和感がなく優しく味わいが広がって、エレガントという印象です。“アルボラリス”というのは木漏れ日という意味だそうですが、いつも食のレポートをしている僕のような人間からすると、悔しいくらい的を射た素晴らしいネーミングで。まさに木漏れ日のようなウイスキーだと思います」と金子。
ふたりが新鮮に感じたのは味わいや香りだけでなく、もたらされる酔いもまた違っていたようだ。
「先日は東北に行ってきたんですが、もう山が紅葉で赤く染まっていて。陽の光を浴びた山が、まるで光っているように感じたんですね。その光景を見た気持ちと同じような高揚感を、このウイスキーからは感じます」と鈴木。
「クセの強いウイスキーを飲む時って一人のときが多いのですが、このグレングラントはもっと開放的でみんなと飲みたいなという感じですね。とてもまろやかで飲みやすいから、ウイスキーに慣れていない人でも飲みやすいでしょうし」と金子が続ける。
「自然の中でのお酒の楽しみ方を金子さんに聞いて、とても勉強になった」と、うれしさで表情をほころばせて鈴木が話せば、「日本全国の真面目に努力してものづくりをしている方々のことをよくご存じの鈴木さんの目線でものを考えられたことは新鮮でしたし、もっといろいろ鈴木さんのことを知りたいと思いました」と金子。
「そんな気持ちにさせてくれるのも、キャンプ場という状況と“グレングラント アルボラリス”の両方があって、心の壁がすっと取り払われたからだと思います。すごくいい気持ちになる体験でした。こんな幸せな取材があっていいのかな(笑)」
問い合わせ先/グレングラント www.glengrant.com
キャンプ道具:シェラカップ各¥1,890/トウキョウクラフト(トウキョウクラフト カスタマーサポートinfo@tokyocrafts.jp) センターテーブル¥38,500/ドゥーグー(アンバイジェネラルグッズストア TEL:03-6328-0577) 金子さんが座った椅子¥49,500/ネイタルデザイン(スキャターブレイン TEL:03-5300-8164) 鈴木さんが座った椅子¥11,990/ドベルグ、鈴木さんの横に置いたワイドテーブル¥46,750/ドベルグ×ネイチャートーンズ(ともにカンパネラ TEL:0776-63-6418) 焚き火台¥17,050/ジ アイアン フィールド ギア(興栄企画 TEL:0877-98-7797) 金子さんの横に置いたクーラーバック¥27,500、トラッシュボックス¥16,500/ともにブリーフィング(ブリーフィング表参道ヒルズ店 TEL:03-6459-2448)