宇宙に行くためには、ロケットに乗り、大気圏を突破して、宇宙空間に到達しなければ……と思われるかもしれない。しかし、ごく近い未来、宇宙飛行は「熱気球」で実現するかもしれない。そんな宇宙飛行のために開発中の熱気球のテスト飛行が、間もなく始まる。
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上空40kmからの未知なる眺め
スペイン・マドリードを拠点とするハロ・スペース（HALO Space）。カプセル型の搭乗用スペースが付いた熱気球で宇宙旅行の実現を目指している。この熱気球のプロトタイプについて、2022年12月にインドからテスト飛行を行う予定だ。
この熱気球が到達するのは、上空40km前後。ちなみに、飛行機（ジェット機）が飛行するのは上空10kmあたりで、宇宙飛行士が長期滞在している国際宇宙ステーション（ISS）は400km付近。各種の人工衛星はさらに上空になり、数万kmあたりを周回している。つまり、この熱気球は飛行機より3倍ほどの高さまで到達することになるが、国際宇宙ステーションなどよりははるか低い位置となる。
宇宙航空研究開発機構（JAXA）のウェブサイトによると、厳密にどこから宇宙という境界線があるわけではないが、一般的には上空100kmから上空を宇宙とするという。ちょうどそのあたりから、大気がほとんど存在しないそうだ。そのため、この熱気球の旅行は厳密に言うと「宇宙旅行」には当たらないのかもしれない。しかし飛行機の巡航高度よりもはるか上空までたどり着けるわけで、我々が普段、飛行機の窓から望むものとは違う未知の景色が広がっているのだろう。
カプセル型搭乗スペースは、最大8人乗り。これにパイロット1人を乗せて静かに上空に飛び立つ。360度を見渡せるパノラマウインドウが設置され、あらゆる景色をあますことなく楽しめそうだ。飛行時間は片道4～6時間。価格は10万～20万ユーロ（約1400万円～2900万円）の予定だという。
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今後10年間で激化する宇宙旅行ビジネス
ハロ・スペースでは商業飛行を2025年に開始する予定で、いずれ4つの大陸に飛行拠点を設置するという。2029年からは年間で合計400回、およそ3000人の乗客を乗せていきたいそうだ。
また、アメリカのスタートアップ、スペース・パースペクティブ（Space Perspective）も同じような気球による宇宙旅行を開発中である。
スイスの投資銀行UBSでは、宇宙旅行ビジネスは今後10年間で、30億ドルの規模になる可能性があるとみている。
2021年にはアマゾン創業者のジェフ・ベゾスが宇宙旅行を楽しみ、2023年にはZOZO創業者の前澤友作氏が再び宇宙に旅立つ。前澤氏が宇宙旅行のために支払った費用は100億円ともいわれている。
世界の富豪が宇宙旅行の先陣を切った形だが、もう間もなく、それよりもずっと低い金額で、より幅広い人々が宇宙旅行を熱気球で楽しめるようになる日が着実に近づいているようだ。
【出典】
https://news.yahoo.com/balloon-company-to-take-space-tourists-25-miles-into-space-for-74000-from-2025-134905829.html
https://nybreaking.com/space-firm-will-conduct-test-flight-of-its-balloon-capsule-in-december/
https://www.halospaceflight.com/
https://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/103.html
https://oshihaku.jp/nenkan/page/13727279
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HALO SpaceのHPより
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Space PerspectiveのInstagramより
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